JAXAタウンミーティング

第1回:都城市ウエルネス交流プラザ 2004年5月29日開催
テーマ2 日本の宇宙開発をどう進めるか


的川:日本の有人飛行をやる準備というのは、いろいろな考え方が今渦巻いているんです。私個人は、無人の技術と有人の技術はかなり異質のものだという感じがしてますけれども。ですから、有人は有人でもしやる必要があれば、今すぐにでも取り組まなければ世界からかなりおくれをとる、そういう可能性があると考えていて、例えば飛行機が1945年に第2次大戦で日本が負けて、数年間は、7~8年は立ち上がれなかったわけです、飛行機の研究は禁止されてましたから。その間にジェット機というのはどんどん就航していって、決定的に差をつけられたときに、日本がやっと飛行機をできるようになって、50年以上たっても日本の航空というのは全然おくれをとってますよね。21世紀のこれからの100年を考えると、有人技術という点で、できるだけ早い立ち上がりが日本はなければ、恐らく100年後に我々がここで集まってみんなで議論をしたら、生きている人はあまりいるかもしれないけど、やっぱりあのときに立ち上げておけばよかったねということになるんじゃないかという懸念を私は持っています。


でも、そのための条件が何なのかなということはよくわかりませんが、有人技術というものを一挙に、3年後に何かやろうという話じゃなくて、有人技術の達成する目標というのを10年後とか20年後とかにしっかり持って、そのために、2年か4年置きにどういうものを準備していったらいいかという、蓄積していくプランづくりというのを今やらなければいけないんじゃないかなという感じがしています。いずれにしろ、日本という国は有人技術をやるのに日本だけでやるという目標を持つ必要はないんですけれども、日本人が大変得意とする分野ってありますよね、有人に関連した技術、恐らく得意となるであろう分野。そういうものを重点的にやるというのも1つの方法ですし、いずれ世界の有人技術を国ごとに争うというのではなくて、協力し合って、人類が宇宙を目指すという大きなシステムが100年後ぐらいにはできるんでしょうから、そういう構想を積極的に日本が提案するのもいいのではないかなという感じがしています。


最後に出ていた産業化の問題ですけれども、日本の会社の中にはそういう方向でロケットとか衛星とかを一緒にやろうという会社ももちろんいて、虎視たんたんとねらってますけれども、全体として私が弱いと思うのは、日本の会社はほとんどが国に守られながらの経営が多いんじゃないかなというあれですね。いわゆる護送船団方式という、親方日の丸という感じの会社が多くて、ある程度冒険をしてでも自分の会社の設備投資をして、20年後とか20年後に備えるという構えはあまりないというふうに、私の感想ですけれども。その点、車とかエレクトロニクスとか、護送船団方式でなかったものというのは、ここ数十年間世界を制覇するような勢いでずっと伸びていったわけですよね。国が守ったものに限って伸びないのは、そういう分野の会社の体質があるのではないかと、多少厳しすぎる見方ですけれども、もう少し冒険する心というのがあってもいいんじゃないかなと、大企業に勤めていない人間の安易な考え方かもしれませんが、私は思っております。隣の方、お願いします。


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