謎の漂着物…その正体は
2015年10月9日(金)
- プロジェクト
- ロケット
9月18日、「航空機か? 函館の海岸に謎の残骸」という写真付きの記事が、北海道新聞とそのインターネットサイトに掲載されました。
航空機か? 函館の海岸に謎の残骸|どうしんウェブ
“台風の影響で高波が寄せた11日、同町の熊別川河口付近に4片が打ち上げられた。最大で縦2.7メートル、横2.2メートル、厚さ4センチの湾曲した板状で、ハチの巣状のハニカム素材を板で挟んだ構造。住民らの通報を受けた函館海保は航空機の一部の可能性が高いとして同事務所に連絡した。”(同記事より引用)
お昼休みの時間にこの記事をみつけた編集部のスタッフ、ピンときました。
「これって、ロケットの“フェアリング”じゃないか?」
そして8日後の9月26日、「謎の残骸はロケット部品 函館の海岸で発見」という記事が再び北海道新聞に掲載。
謎の残骸はロケット部品 函館の海岸で発見|どうしんウェブ
“2013年1月27日に鹿児島県の種子島宇宙センターで打ち上げたH2Aロケット22号機の一部と判明した。” (同記事より引用)
他の記事も総合するとスタッフの予想通りフェアリングだったようです。
南の島・種子島から打ち上がったロケットのフェアリングがはるか北国に流れ着いたなんて、驚きですね!
フェアリングってなに?
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フェアリングとはロケットの先端部に位置し、打ち上げの際の大きな音響や振動、大気中を飛行する際に生じる熱などから搭載物(人工衛星や、「こうのとり」)を護る役割を果たしています。とても大きく、H-IIBロケットのフェアリング(5S-H)はなんと全長15m! | |
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また熱や衝撃に強いだけでなく、頑丈さと軽さの両立が求められます。 軽い金属であるアルミ素材をつかう、蜂の巣のような「ハニカム構造」にするなど、強度を落とさずに軽量化する工夫が詰まっています。だから、海に浮かぶんですね。 |
漂着したってことは、空から落ちてきたの?
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ロケットが決まった高度(120km~)に達すると、フェアリングは2つに分かれて海上へ落下します。かなり軽く作ってあっても大きなものですので、誰かにあたったら大変。そんなことがないよう、安全な海域に落下させています。 なお、フェアリングには位置を特定する装置がつけられており、着水後にあらかじめ待機している船で海上回収に努めています。しかし海に落ちた際に破損してしまうこともあり、その一部が長く海を漂ってどこかに流れ着くことがあります。 |
過去にも漂着している
今年(2015年)の3月、沖縄県の石垣島の宮良湾で「ひまわり8号」を打ち上げたH-IIAロケット25号機のフェアリングが見つかっています。 また過去には、2011年7月、2009年3月、2007年5月にも同じく沖縄県に漂着しています。
フェアリングの落下予想範囲は沖縄本島からみて東南の海域が多いので、沖縄県にはたびたび漂着しています。しかしながら今回の函館(北海道)まで漂流することは珍しく、まさかロケットの部品とは! という、驚きもうなずけますね。
フェアリングのホンモノを見たい、欲しい!
フェアリングを間近で見てみたい、触ってみたい、欲しい…というあなた。海岸を歩いても簡単に見つかるものではありません。
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実は、H-IIBロケット3号機のフェアリングを切り出したものが販売されています。これはJAXA新事業促進部が企画したもので、採用された数社の企業より販売されていますので、ぜひ検索してみてください。
なお、漂着先に譲渡したものや、回収後のものをお譲りして展示している施設もあります。 |