“L+64” 見える力、見えない力

2015年2月5日(木)

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「はや2」が宇宙に旅立ってからはや2ヶ月を超え、本日2月5日でL+64となりました。

初期機能確認期間は残り約1ヶ月(予定)です。
この1ヶ月間は、小惑星への本格的な航行段階(巡航フェーズ)に向けた、いわば応用編となります。
姿勢軌道制御系の機器(化学推進系、リアクションホイール他)、イオンエンジンなど複数機器を組み合わせた連係動作などを確認していきます。

連係動作の機能確認では、搭載機器以外にも「太陽光の力」も活用します。
「光に力がある」という感覚はイメージしにくいところですが、極々わずかな力(地球の位置で1平方メートルの面積に働く力は1mg程度)が確かにあるのです。
この太陽光圧を使った姿勢制御は、「はやぶさ」初号機でも使われていました。

そして、この太陽光圧を積極的に宇宙空間での推進力に活用し、世界で初めて実証したのが小型ソーラ電力セイル実証機「IKAROS」です。「IKAROS」は若手研究者・技術者が中心となって実施したミッションで、そこで経験と知見を積んだメンバーが「はやぶさ2」では中核を担っています。

2月1日の打ち上げ成功で成功率96.9%をマークした日本の基幹ロケット(H-IIA 他)、国際パートナーから大きな信頼と評価を得ている「きぼう」日本実験棟・JAXA宇宙飛行士の活躍など、「はやぶさ2」以外にも当てはまるキーメッセージだと思います。
もちろん、宇宙航空に限らずさまざまな場面でも。


<「はやぶさ2」航行ステータス>
2015年2月5日14時0分(日本時間) 現在

太陽からの距離 1億5,999万km
地球からの距離 2,576万km
赤 経 80.85度
赤 緯 -16.23度
航行速度 27.8km/s

地球から見た「はやぶさ2」の方向

はやぶさ2と地球、太陽、小惑星1999 JU3 の位置関係(概略図)

はやぶさ2カウントアップレポート“L+(エルプラス)”とは―

打ち上げ後の経過時間を示す際、運用現場では「Launch(打ち上げ)」と「プラス○日」を組み合わせて「L+1(=エルプラスイチ)」と表現します(あくまでも一例ですが…)。
今後、「はやぶさ2」の航行ステータスなどをお伝えするにあたり、6年間という長いミッション期間での“時間経過”を皆さんと一緒に感じていきたいとの想いから、レポートタイトル名といたしました。
“L+”では、月・惑星探査プログラムグループ広報担当者がミッション内容や運用状況にまつわるトピックスをお伝えしてまいります。