「はやぶさ2」が2回目着地で地下物質採取に挑戦‼(7月11日(木)11時ごろ)
小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星Ryugu(リュウグウ)の探査を目的とし、2014年12月3日(水)に種子島宇宙センターから打ち上げられました。
目次
2回目着地・試料採取の管制の様子をライブ配信します!
7月11日(木)(予定)、インターネットのJAXA Channelで、小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星「リュウグウ」への2回目着地の解説、管制の状況等をライブ配信します。(着地の映像が見られる訳ではありません)
今回の着地予定地も猫の額!
人工クレーター自体は深く傾斜もあり着地困難なため、噴出した地下物質も採取できるよう、20m程離れ、1cm程の堆積が推定される地域(C01-Cb)を、着地予定地に選びました。
ただし半径3.5m程しかなく、前回同様に難しさは変わりません。
もうこれ以上リスクは・・!?(2回目着地・試料採取)
2回目着地について、苦労して採取した1回目試料の地球帰還を最優先し、もうリスクを冒すべきではない、との意見もありました。
また、誘導制御に重要な機器が曇るという課題もありました。
しかし、以下に示す様々な意義も踏まえ、これまでの実績による実力アップと周到な準備に基づき、探査機の安全を最優先に、更なる世界初に挑戦します。
1回目試料は、リュウグウの代表か?(世界初の複数地点の試料採取)
リュウグウ到着後の上空からの観測では、表面物質は地域毎に大きな差は無さそうでした。
しかし、地域毎の違いを良く知るため、計画当初から、世界初となる複数地点で試料採取し地球に持ち帰って詳細に分析・比較することにしています。
人工クレーターで地下物質を噴出させることで、敢えて不均質な地点を作って観測するとともに、2地点目の表面物質と地下物質を同時採取できます。
地下物質は掘らない?!(世界初の画期的な人工クレーター法)
リュウグウの地下物質は、太陽風や宇宙線による変質が少ないと考えられます。特に有機物の有無を調べるには重要です。
ドリルで穴を掘る方法は、重力が非常に小さいため、反動で探査機が浮いたり動いたりします。
一方、人工クレーターで地下物質を地表に噴出させれば、①観測で地表・地下物質の性質の違いがある程度分かり、②採取・帰還して地球で詳細分析できます。
さらには、③人工クレーター形成時やその後の状況の観測によって、小惑星の固さ、岩石の大きさ、内部構造など、小惑星の様々な情報が得られます。
2回目の試料採取で、世界初の画期的なこの一連の探査手法を確立できるのです。
様々な困難を乗り越えた1回目タッチダウンで実力アップ!
半径50m以上の平地を想定していたのに、リュウグウはどこも岩だらけでした。
それでも、3次元地形、膨大な数の岩の大きさ、場所毎に異なる重力などの詳細な分析、ターゲットマーカーによる高精度誘導など、あらゆる工夫を尽くし自信をもって1回目着地に挑戦しました。
その結果、2月22日に、超高難度の半径3m地点に誤差約1mで着地し、試料採取に成功しました。
4月に高精度で人工クレーター形成(世界初)
4月5日に、高度約300mから銅の塊を高速で発射し、半径200mの目標範囲の中心から約25mの位置に衝突させ、人工クレーター形成に成功しました。
はやぶさ2から衝突装置を分離する際の位置・方向・速度の慎重な制御によって、高精度での命中を可能にしました。
目印のターゲットマーカー投下精度も1回目より格段の向上!
5月30日に、着地候補地点周辺の詳細観測のために低高度まで降下した際に、着地の目印となるターゲットマーカーを、目標地点から約3mの精度で投下できました。
1回目着地の際のマーカーの誤差約15mに対し格段の実力向上です。
1回目着地でレンズが曇った! 誘導制御できる?
2月22日の1回目着地でリュウグウから飛散した粒子が、はやぶさ2の誘導制御に必要なカメラや測距装置の受光部を曇らせてしまいました。
そのため、それらを前回より低高度のみで使うことにし、5月30日と6月13日に低高度まで降下した際に、ターゲットマーカーの反射光の捕捉や、測距の較正ができることを確認しました。
ただし、低高度では視界が狭くなることと、低高度まで前回以上に高精度で誘導する必要があり、周到な準備をしています。