夜光虫と人工衛星?

2017年5月15日(月)

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夜光虫!

この記事はざっくりまとめると:
今年のゴールデンウィークに話題になった夜光虫の正体はプランクトン → 2017年度打ち上げ予定の気候変動観測衛星「GCOM-C」は赤潮のような海面の変化も観測するよ → 5/31(水)まで愛称募集をしているので、どしどしご応募を!(ロケット打ち上げ見学ご招待が当たるかも…?!)
というお話です。ぜひ最後まで読んで、愛称を応募してくれたら嬉しいです。

夜光虫の写真(2017年5月5日鎌倉で撮影 ※長時間露光しています)

夜光虫の写真(2017年5月5日鎌倉で撮影 ※長時間露光しています)

これ、何の写真か分かりますか?
実は夜の海。光っているのは「夜光虫」です。青い光がとってもきれい!

ゴールデンウィークの後半、鎌倉から逗子の海岸で、広い範囲にわたって夜光虫で光る波が見られました。ニュースやSNSでも話題なったこともあって、夜中まで大勢に人が見物に来ていたみたいです。

夜光虫で輝く波の動画(2017年5月5日鎌倉で撮影)


プランクトンと赤潮

さて、この夜光虫、正体はノクチルカ・シンチランスという植物プランクトン。
近くで見ると、ぷつぷつした丸い粒がいっぱいあって、一つずつが光っているのが分かります。これだけ大量に発生して同じ場所に集まっていると、昼の明るい時間帯は海が赤く染まる「赤潮」として見えます。

AVNIR-2が観測した鹿児島湾沿岸の赤潮

AVNIR-2が観測した鹿児島湾沿岸の赤潮
(クリックして拡大)

こちらは、陸域観測技術衛星「だいち」(2011年まで運用)が撮影した、2006年の鹿児島湾で赤潮が出ていた時の様子です。湾内の全域に、うずまき模様みたいに広がっていて、すごい規模です。宇宙からはこんな風に見えているんですね。

赤潮の原因になるプランクトンはノクチルカだけではなく、また、池などで見かける水面が緑色に染まるアオコ(青粉)なども同じような現象です。
夜はとてもきれいで幻想的な夜光虫ですが、異常発生したプランクトンは、魚や貝を採る漁師さんたちにとっては困った存在。水の中の酸素が足りなくなったり、えらにプランクトンが詰まったりすると、水の中にいるいきものは呼吸ができなくなってしまいます。
実際に、夜光虫の出ている海はいつも、けっこう生臭いにおいがします……。


~地球の彩りを宇宙から~「GCOM-C」(5/31まで愛称募集中!)

2017年度に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定の気候変動観測衛星「GCOM-C」は、19種類の様々な色(波長)を観測して、地球環境の今を調べます。
海の色も「GCOM-C」が見つめる色のひとつで、赤潮の発生状況を判断したり、海面水温データから魚の集まる場所を推定したりできないか、と期待されています。
「GCOM-C」には「だいち(ALOS)」や「しずく(GCOM-W)」といった先輩の地球観測衛星たちのような愛称がまだありません。5/31(水)まで絶賛募集中ですので、ぜひ皆さんで素敵な名前をつけてあげてください!

気候変動観測衛星「GCOM-C」

気候変動観測衛星「GCOM-C」

愛称の名付け親になった方から抽選で1組/2名様が、種子島宇宙センターでの「GCOM-C」打ち上げ見学に招待されます。

同時に打ち上げられる、超低高度衛星技術試験機「SLATS」の愛称も一緒に募集中です。どちらかの衛星だけへの応募もOKですが、打ち上げ見学はそれぞれの愛称で1組ずつ当たりますので、両方に応募した方が、チャンスが増えるかも…?お一人様、何度でも、いくつでも応募できますので、ふるってご参加ください。


Amanoのひとこと

鎌倉の海岸のこのあたりは潮が溜まりやすいのか、毎年春から夏にかけて、夜光虫が見られることがあります。暑くなってもいつも赤潮が出るわけではなく、赤潮なら必ず夜光虫が見られることもないので、見たいと思っても、最後は運任せです。行っても真っ暗で家に帰ったら、隣の海岸では出ていた、なんて話を後から聞いてがっかりすることも…。
「GCOM-C」での赤潮の観測はまだ検討段階ですが、将来「GCOM-C」や世界のいろんな地球観測衛星が活躍すれば、もっと詳しい赤潮情報が手に入るようになるのかも?!
がんばれ、「GCOM-C」!


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