“L+272” イオンエンジン追加噴射~地球スイングバイの軌道制御精度の向上のために~

2015年9月1日(火)

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L+272です。
本日9月1日(火)から2日(水)の2日間にて、「はやぶさ2」は地球スイングバイに向けて、軌道制御精度をさらにあげるためのイオンエンジン追加噴射を行います。今回は、2日間で約12時間の稼働を予定しています。噴射結果は、明日以降、このレポートでお伝えします。

現在(9月1日時点)では、「はやぶさ2」は、地球のほぼ後ろ側、約3,870万kmの距離にいて、地球を追いかけて飛んでいます。これから12月の地球スイングバイに向けて地球に追いつき、スイングバイ当日(12月3日予定)には地球を追い越していくことになります。この時同時に、進行方向を小惑星1999 JU3に向けた軌道に変更する訳です。地球の重力と公転エネルギーを最大限活用した省エネ運転ですね。

イオンエンジンに限らず、探査機の軌道や姿勢の制御機器陣は、小惑星から地球の往復航行時の主役ですが、小惑星の観測時には、観測機器の性能を最大限発揮するための裏方として機能します。陰に日向に頑張るために、力の使い処(=運用計画)が大事になるのですね。


観測機器陣も、2018年に小惑星到着した後、1年半にわたる観測でその力を発揮するべく、機能チェックもさることながら、あらゆる場面を想定した観測計画の検討に余念がありません。

<「はやぶさ2」航行ステータス>
2015年9月1日14時0分(日本時間) 現在

太陽からの距離 1億3,695万km
地球からの距離 3,871万km
赤経 -137.63度
赤緯 8.67度
航行速度(対太陽) 32.43km/s

地球から見た「はやぶさ2」の方向

はやぶさ2と地球、太陽、小惑星1999 JU3 の位置関係(概略図)

はやぶさ2カウントアップレポート“L+(エルプラス)”とは―

打ち上げ後の経過時間を示す際、運用現場では「Launch(打ち上げ)」と「プラス○日」を組み合わせて「L+1(=エルプラスイチ)」と表現します(あくまでも一例ですが…)。
今後、「はやぶさ2」の航行ステータスなどをお伝えするにあたり、6年間という長いミッション期間での“時間経過”を皆さんと一緒に感じていきたいとの想いから、レポートタイトル名といたしました。
“L+”では、はやぶさ2広報担当者がミッション内容や運用状況にまつわるトピックスをお伝えしてまいります。