米国とロシアの太陽電池はどのような役割を果たすのですか?
国際宇宙ステーションについて
ISSは、元々アメリカが計画していた宇宙ステーション「フリーダム」とロシアが計画していた「ミール2」をまとめて、ひとつの宇宙ステーションとしたという経緯があります。
そのため、両国が最初に設計していた自分たちの太陽電池パドルを搭載することになりました。
基本的には、ロシアの太陽電池からの電力はロシアのモジュールで使用し、アメリカの太陽電池からの電力は日米欧のモジュールなどで使用する方針です。
しかしISSは段階を追って建設しますので、初期の段階では、相互に電力を融通することにしています。
最初は米国の太陽電池が搭載されていないので、ロシアの電力をISS全体で使用しますが、アメリカの太陽電池が到着した後は、逆にアメリカ側からロシア側へ不足分の電力が送られるようになります。
米露両国が太陽電池を持っているので、将来どちらかが故障した時に電力を互いに融通することもできます。
アメリカとロシアの太陽電池搭載方法には違いがあります。
ロシアは各モジュールを無人で打ち上げてドッキングさせるため、それぞれのモジュールに太陽電池パドルがついており、分散型といえます。
一方アメリカは、ISSの中央を進行方向に対し直角に横切るトラスと呼ばれる長い(数10m)の構造物の両端に8枚の大型太陽電池パドルを取り付けるので、大規模な専用の発電所を持っているようなものです。
アメリカの太陽電池パドル1枚の長さは約33mになり、約9.5kWの発電が可能です。組立完了段階では、アメリカ、ロシア合わせて約110kWの発電を行うことができる予定です。
最近の大型通信衛星でも、発電能力はようやく10kW程度ですので、ISSの発電規模がかなり大きなものであることが判ります。