人工衛星の金色のものは何ですか?
人工衛星について
人工衛星には、確かに金色をしたもので衛星を包んでいるようになっている部分があります。
この金色をしたものは、「サーマルブランケット」というもので、外部から人工衛星に入ってくる熱を遮断するものです。
人工衛星の内部にはいろいろな機械が入っており、それらの機器からの発熱によって、内部の温度は上昇します。
この温度上昇は、搭載している機器に悪影響や故障の原因となる恐れがありますので、ほとんどの衛星は内部にたまった熱を宇宙空間に放熱するなどの様々な工夫がしてあります。
しかしながら、宇宙空間にある人工衛星は、直接太陽の光にさらされている部分の温度は100度以上にもなります。また、日陰の部分は逆にマイナス100度以下にもなるという過酷な条件にさらされています。
従って、太陽に照らされることによって受ける熱が、衛星の内部に入ることを極力防ぐことが重要になります。
「サーマルブランケット」は、太陽からの熱が衛星の内部に侵入することを防ぐ役割をします。
「サーマルブランケット」の構造は、薄いフィルムとネット上のスペーサを多層に重ねたものになっています。多層に重ねて層と層の間に空間を作り、熱を伝わりにくくすることで断熱効果を高めています。
層と層の間には地上では空気が入っていますので、もしサーマルブランケットを密閉したまま宇宙空間に行くと周囲の気圧が下がるので、膨らんで破裂してしまいます。そのため、断熱材の表面には小さな穴が複数空いており、そこから空気を逃すようになっています。空気が抜けても空間が残りますので、高い断熱性能を発揮することができるのです。
金色に見えるのは、一番外側にあるポリイミドフィルムの色。ポリイミドは黄色っぽい材料ですが、その裏面に銀あるいはアルミニウムを蒸着させることで金色に輝いて見えます。
何層に重ねるか、またどのような素材のフィルムを使うかは、それぞれの衛星の熱設計によって異なってきます。
他にもポリイミド以外の材料を使った、黒や白のサーマルブランケットがあります。1つの衛星でも、複数のサーマルブランケットを使っている場合もあります。
人工衛星を見る機会があったら、ぜひじっくり見てみてください。