ISSはどのような姿勢で飛行しているのですか?
国際宇宙ステーションについて
ISSの姿勢は、大きく分けてLVLH(エルブイ・エルエイチ)姿勢とXPOP(エックスポップ)姿勢が使われています。
※ XPOP姿勢は初期段階で使用されましたが、2006年9月のISS組立てフライト12A終了後は使用されなくなりました。
以下の姿勢についての説明で使用する座標系は、下の図の通りです。
ISSの座標系
なお、ISSのモデルは、ISS組み立てフライト11A終了後のものを使用しています。
LVLH姿勢
LVLH姿勢は、
- Z軸を地球中心方向
- X軸を進行方向
に向けて飛行する姿勢です。この姿勢は、ISSの+Z側に取り付けられた地球観測用の窓を地球に常に向けることができ、地球観測に好都合であること、ほぼすべての面に太陽光が当たるため、ISSの温度制御が比較的容易なことなどの特徴があります。
LVLH姿勢
ISSでは姿勢制御用のコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)を使って、Z軸を常に地球方向に向けるようにしています。
LVLH姿勢で飛行するISSと地球との関係
(ISSの大きさは見やすくするため大きく表示しています)
XPOP姿勢(X-Axis Perpendicular to Orbit Plane)
LVLH姿勢は、ISSの完成段階には最適な姿勢ですが、ISS組み立てフライト12A.1以前はISSがまだ十分な機能を持っていないため、太陽の位置によっては発生電力が不足してしまいます。このため、そういう時期にはXPOP姿勢という姿勢を取ります。
XPOP姿勢は、
- X軸を軌道面に対して垂直、かつ太陽側とは反対方向
に向けて飛行する姿勢です。
XPOP姿勢(図中の太陽方向は太陽電池パドル面に対してほぼ垂直方向です)
この姿勢は、LVLH姿勢に比べて、
- 姿勢制御が容易
- ISSから見た太陽の方向が常に同じ方向になるため、太陽電池パドルの指向制御を行わなくても発電できる
などのメリットがあります。しかし逆に、
- 常にISSの-X側に太陽光が当たるため、その部分が高温になりすぎ、逆に+X側は冷えすぎる
- ISSから見た太陽の方向が常に同じ方向になるため、太陽電池パドルの指向制御を行わなくても発電できる
- +Z側に取り付けられた地球観測用の窓から地球を見ようとしても1/4周回分しか地球は見えない
などのデメリットもあります。
XPOP姿勢で飛行するISSと地球との関係
(ISSの大きさは見やすくするため大きく表示しています。また太陽方向は画面手前を向いてます。)