スペースプレーンはいつごろ実現しますか?
未来の宇宙航空技術について
大きな問題となるのが母機となる航空機です。
こちらも一般の飛行機ではなく、地上と宇宙両方で使える高性能・高出力の推進装置を持った、専用の航空機が必要で、日本でこういった航空機の開発を行う場合、ゼロからのスタートとなりますので、
膨大な費用が必要になってしまいます。
また、航空機利用の打ち上げの問題点として、打ち上げの回数が少ないとコスト高になってしまうということがあります。
宇宙への輸送手段(ロケット技術)について、JAXAでは静止軌道への4トンの輸送能力を実現するH-IIAロケットを開発し、現在、小さめの衛星をローコストで打ち上げることを目指しイプシロンロケットの開発を進めているところです。
宇宙輸送技術は衛星打ち上げのニーズがあってはじめて利用することができますが、日本では全体の衛星打ち上げ需要が限られており、日本の宇宙政策として、すでに技術蓄積のある、これらの(地上打ち上げの)ロケットの棲み分けを行っていくことが大きな流れとなっています。
使い捨て型と再利用型の輸送機について、当初はコストを抑えることを念頭に入れて開発されたスペースシャトルが、事故を経て、打ち上げ回数が減り、維持管理にかえって費用がかさんでしまうようになったことからも、再利用型輸送機の運用の難しさがうかがえます。
まとめると、使う回数が少ないとコストパフォーマンスが悪いが、現状として日本では需要が必ずしも大きくなく、一方で開発する場合にはゼロから航空機を開発しなくてはならないうえ、既存のロケットもそのまま流用はできず、莫大な費用がかかる、ということです。
これらの背景から、JAXAにおける関連の研究は、現時点では基礎技術の研究にとどまっております。
JAXA 宇宙科学研究所
ATREX: スペースプレーン用空気吸い込み式エンジン