FAQ

人類が火星などほかの惑星に移住できるようになるのはいつごろですか?

未来の宇宙航空技術について

地球を中心として、人類の活動領域を広げるために他の星に移住をすることは、十分に考えられることです。
近年、一つの惑星を地球のような環境に変えてしまおうという大きな構想があります。
これをテラフォーミングといって、まさに星を地球に似た環境にしようというものです。テラフォーミングしやすい星としての一番の候補は、火星です。
この火星のテラフォーミングを始めたとしても、数百年はかかると予想されています。

テラフォーミングはまだ構想の段階であり、実現するには何代にも渡って計画を練り、実行しなければならない、人類あげてのプロジェクトとなるでしょう。

地球環境は46億年かけて生命と地球が作り上げてきたもので、さらにその環境の中で生命・人類が進化してきました。
つまり、人類は地球環境の中で進化を遂げてきており、テラフォーミングによって人類が未来に向かって生存するためには、少なくとも現在の地球環境に近い状態が必要になります。

人類は科学・技術を武器として生活圏を広げ、活動領域を広げ、豊かな暮らしを目指してきました。しかしながら、結果として地球環境に大きな影響を与えてきたのも事実です。自分たちの故郷の星を守れないような状態で、地球が住めなくなったからといって、他の星に移住した場合、人類は、移住先の星を、汚染しつくし、汚い地球のコピーに変えてしまうでしょう。そのようなことは絶対に避けなければいけません。

私たち生命にとって、地球は唯一のふるさとの星です。この星の環境を守ることは、地球人類の役割であると思います。今、人類はそのことに気づき、地球環境を如何に守っていくかの活動を始めたばかりです。

その一つとして、JAXAでは他の宇宙開発機関と協力し、地球の環境を観測する人工衛星を打上げ、地球環境保護の手助けを積極的に行っています。つまり、宇宙開発は、地球を守るための活動ということが出来ます。

宇宙開発は、人類をはじめとする地球生命体の永続的な繁栄に寄与することをめざして、無限の可能性を秘めた未知なる宇宙を、人類共通の財産として最大限に有効利用できるようにすることを考えて進めています。

直径1万2千キロメートルしかない、この小さな「地球」には、数千万種類ともいわれる生物(生命)と、その生物の一種である私たち人類、50億もの人びとが生活しています。

そして、私たち人類をはじめそれら生物は、相互に関係しあいながら、地球という大自然の環境の中で生きています。
今私たちは宇宙開発を通してこれら地球の生物が将来にわたって豊かな生活が送ることができるよう進めていこうとしています。
そして宇宙にはそれらを実現できる大きな可能性が秘められており、かつ宇宙開発は特定の国や特定の国民のためだけに行うものではなく、全人類のために行うべきであるということです。

宇宙開発をはじめとした人類のさまざまな活動が実を結び、着実に地球の環境は改善されていくことでしょう。こうして地球環境保護を考えていけば、遠い将来テラフォーミングされた他の惑星に移住することとなっても、そこの環境保護を考慮した計画が必ず進められることでしょう。
そして、その計画を練り実行するのは、今の若い世代とそれに続く世代なのです。