FAQ

打ち上げに失敗した人工衛星はどうして回収できないのですか?

宇宙ごみについて

ロケットで衛星を打ち上げる場合、
大きく分けて「ロケット系の故障・失敗」と「人工衛星そのものの故障・失敗」があります。

ロケット系の故障では、打ち上げ途中でロケットの飛行コースがそれて軌道に到達できない場合(1)は、人工衛星は地球に落ちて完全に壊れてしまいます。
また、打ち上げ途中でロケットが爆発した場合(2)は、人工衛星も完全に破壊されてしまいます。また、人工衛星が軌道には乗ったものの、その軌道が予定した軌道ではなく、当初目的とした衛星の利用ができない場合(3)があります。
人工衛星の故障・失敗では、打ち上げ途中で衛星の内部の機械が何らかの理由で破損し、軌道に乗った後、目的の運用・利用ができない場合(4)があります。

(1)や(2)のように、ロケット打ち上げ途中で、衛星が軌道に乗る前の失敗の場合は、回収は不可能あるいは回収できたとしても衛星は完全に壊れていますので、回収は無意味となります。

(3)や(4)の場合は、衛星を回収して再利用できる可能性があります。
しかしながら、衛星は構造上大気圏に再突入して地上で回収できるようには作られていません(もしそうすると衛星はもっと重くなり、打ち上げるためにさらに大きなロケットが必要になります。
また衛星製作費もはるかに高くなってしまいます)。
従って、このような衛星を回収するためには、スペースシャトルのようなもので、軌道上で回収して積んで地球に帰ってくる必要があります。
この回収を行う場合は、シャトルの打ち上げ、回収作業など、相当な費用がかかります。
また、静止衛星で(4)の場合はそもそもそこまで行って回収する宇宙機が存在しません。

いずれにしても、故障した衛星を回収して再利用するか否かは、その衛星の故障の具合、衛星利用の重要度、回収・再利用に要する費用と再度新規に製作・打ち上げをする費用の比較、回収のための技術的な可否、軌道上における衛星の修理の技術的な可否など、さまざまな検討を行うことは必要となりますが、これまでほとんどの場合、回収・再利用は行っておりません(過去に1回、スペースシャトルで、故障した衛星を回収し、地球に持ち帰り、修理した上、再度打ち上げられたことはあります)。
今後、スペースシャトルのような輸送機関が、もっと安価に開発・運用されることになれば、故障した衛星の回収・再利用は頻繁に行われることになるかも知れません。