JAXAタウンミーティング

第2回:前橋テルサ 2004年9月19日開催
テーマ2 日本が宇宙開発に貢献できることは何か


参加者D:お金を得るためには国民の賛成が必要です。そうすると広報に使う予算がないから広報しないというのは、自分からお金を得ることをあきらめていることになりませんか?


的川:宇宙科学研究所時代、研究所の広報は土・日をつぶしてボランティアベースでやっていましたが、いまはそれをもっと組織立ててやろうとしています。「鶏と卵」の関係ではありますが、何とか考えなければいけないと思います。
NASAの例で言えば、ミッション予算の1%は広報に使うという原則があります。JAXAでも、1%は強制的に教育や広報に回すような原則を作っていこうと思っています。
有人の意見の場については、日本の科学政策を決める場所として総合科学技術会議という場があり、ここで宇宙開発についても長期計画を作ろうとしています。宇宙開発委員会などを通じて、ダイレクトに届けるようにはしていますが、最後の決定はそこで行われます。先日もそこで長期計画の案が出ていましたが、20~30年後に日本の有人計画を進めるために立ち上がりつつあります。我々はそれを善意に解釈して、「それならいまから始めてもいいのではないか」として議論していますが、そこはJAXA内の議論になってきます。


土井:有人活動を行うのはJAXAが行うのではありません。みんながやるのです。もし場がないのであれば、まず自分でがんばってみて、草の根の運動を進めてみるというのはどうでしょうか。やりたいと思っている人1人1人が、まず自分たちが何をして国を動かせるかと言うことを考えてみていただきたい。


参加者E:気象や通信、放送といった、宇宙開発がもたらすものはなくてはならないものだと思いましたが、これから人類がどんどん出ていくとしたらスペースデブリの問題が重要だと思います。そこはどう考えているのですか?


的川:スペースデブリの問題は非常に深刻です。10センチ程度のものはアメリカで常時モニターしていますが、それを外挿していくと、1センチ程度のものまで含めれば360万個ほどのゴミが浮いていると言われています。学生の衛星設計コンテストでもこの除去のためのアイディアがいろいろ出てきていますが、なかなか有効なアイディアがありません。ただ、ゴミが打ち上げ時に少なくなるように工夫しようということはなされてきています。
日本でも、岡山県にあるスペースガードセンターでは少なくとも監視は行っていますが、有効な方法を考えないと、100年、200年後に問題になってしまいます。
地球温暖化は、宇宙にいって地球をみることによってよりよくメカニズムがわかるというのが本当の目的だと思います。地球を制御できなかった人間が火星や他の星に行っても新しい環境危機を作り出すだけでしょう。1972年にローマクラブが出した報告書に「人口爆発」の問題が初めて提起され、その後スペースコロニーのアイディアが出されましたが、あまり歓迎されませんでした。いまは地球の環境破壊を防ぐために、宇宙開発を役立てようという方向になりつつあります。


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