JAXAタウンミーティング

第2回:前橋テルサ 2004年9月19日開催
テーマ2 日本が宇宙開発に貢献できることは何か


参加者A:固体ロケットは日本が技術的に優位に立っているのですから、これで日本が高い技術を持って開発していくというのはどうでしょうか。また、日本の宇宙開発は、旧宇宙研が進めていた科学分野や実験分野の方向性で進む方がよいのではないでしょうか。


的川:固体燃料のロケットは、いまはM-V型があります。来年度の天文衛星の打ち上げ後の動きはまだ不明ですが、世界最高水準の技術を開発してきたことは間違いありません。


野本:ロケット開発にはいろいろな考え方があると思います。
自分のものを持っていないと相手の言いなりになってしまう。日本が独自の宇宙飛行士を持つのであれば、スペースシャトルを輸送手段とするならアメリカの都合に合わせることになります。また、アメリカの新宇宙政策に伴ってスペースシャトルが引退するという話がありますが、宇宙ステーションに物資を輸送するためにHTVという補給機を開発しています。
日本が何もかもやる必要もありませんし予算もありませんが、かなりの分野をやっていることは確かです。日本の宇宙開発でやりたいことをやるためには輸送手段を自前で持つべきですが、有人までそれを拡大するとしたらもっと議論が必要だと思います。日本はペンシルロケットから始めましたが、それは宇宙のことを知りたいという科学者が作り出したものです。
2年前にノーベル賞を取ったジャッコーニ博士の言葉で「自分が衛星を上げたら、宇宙と電話がつながったような気がした(宇宙の謎が衛星を通じて次々解けたような気がした)」という言葉があり、それがすごく印象的でした。
また、なぜ日本が実用衛星の開発を行ったかという背景には伊勢湾台風の大被害があります。日本が気象衛星を上げればあの被害は防げたかもしれません。日本の宇宙開発はアメリカや旧ソ連のように国威発揚や軍事ではなく、科学や生活といった身近な側面から始まってきています。他の国はともあれ日本はそれをすべきではありません。ただ、北朝鮮がロケットをこちらに向けているときに漫然としているわけにも行きません。私自身は平和目的が必要だと思いますが、そればかりでも難しいと思います。どのくらいのバランスをとっていくかをこれから考えていかなければなりません。私たちがやっていて失敗したというと「何百億をパーにした」と言われますが、それを少しでも取り戻すのはその後の話です。失敗から何を学ぶかが重要だと考えています。


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