「こうのとり」が運ぶISSの未来を担う電力
2016年11月24日(木)
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H-IIBロケット6号機により打ち上げられる宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機では、日本製のリチウムイオン電池を使った国際宇宙ステーション(ISS)用新型バッテリを輸送します。「こうのとり」にしかできない新型バッテリの輸送で、日本がISS運用に不可欠な役割を担います。
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ISSで発電した電気をバッテリに充電し、太陽の光がISSに届かない時間帯は、バッテリの電力に頼っています。
これまでISS全体の電力を賄うバッテリは、米国製のニッケル水素バッテリが使用されてきましたが、老朽化が進んでおり、日本企業製のリチウムイオン電池を使用した新型バッテリに交換することになりました。
ISSでのバッテリの搭載位置 ©JAXA |
ISSに搭載するバッテリの組立て、中に入っているのは日本製のリチウムイオン電池(米ボーイング社) |
現在、この新型バッテリを輸送できるのは、日本の「こうのとり」のみです。
このバッテリ交換により2024年までのISS計画の延長が実現されます。ISSの重要な設備に使用される電力系機器類で、日本の製品が採用されるのは初となります。
バッテリ1個につきリチウムイオン電池を複数個束ねるように搭載していき、総重量は250kgほどになります。
リチウムイオン電池の性能は?
現在、ISSに搭載されているバッテリは48個ありますが、リチウムイオン電池を使用した新型バッテリでは半分の24個で必要な電力を賄うことができます。リチウムイオン電池メーカーによると、その特長は3つ、「長寿命」 「高率充放電での利用に適している」 「高いエネルギー密度」になります。
国際宇宙ステーション用リチウムイオン電池(セル)の概要
(1)仕様
製品名 | LSE134-101 |
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公称電圧(V) | 3.7 |
公称容量(Ah) | 148 |
寸法(mm) | W130 × D50 × H263 ※ |
質量(g) | 3,530 |
エネルギー密度(Wh/kg) | 155 |
※ Hには端子部を含まない
(2)特長
- 長寿命
- 満充電、完全放を1サイクルとした場合、サイクルとした場合、5000サイクル以上の利用が可能
- 高率充放電での利用に適した設計
- 限られた時間でも十分に充電可能
- 高い出力
- 高いエネルギー密度
- 求められる高出力を満足しながも150Wh/kg以上の高いエネルギー密度を達成
- 現在国際宇宙ステーションで使用されている電源(ニッケル水素電池)と比較して質量・体積ともに約3倍の高エネルギー密度
(3)開発・採用の経緯
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バッテリ輸送のために改良した曝露パレット
ISS用新型バッテリを輸送するため、曝露パレットの改良を行いました。
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写真上(左右)、下ともに:新型のISSバッテリ6台を搭載した曝露パレット |
図:改良した曝露パレット |
今回の「こうのとり」6号機では6台のバッテリを運びます。残りの18台は、来年度以降の7号機から9号機で順次運ぶ予定です。
また、往路で新型イオンバッテリを輸送した後は、復路で使用済みニッケル水素バッテリを最多で9台を 廃棄する予定です。
曝露パレットの往路・復路形態 |
リチウムイオン電池は宇宙機の必須アイテム
高性能な宇宙用リチウムイオン電池は人工衛星を運用するうえでも欠かすことのできないコンポーネントのひとつです。
JAXA研究開発部門では、人工衛星に共通に使用される搭載コンポーネントやデバイスについて、自律性の確保や国際競争力の強化に貢献すべくプロジェクトに先立って開発しています。
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