《はやぶさ発信電力制御》、実用化へ向けさらに一歩

2016年7月28日(木)

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普段はスーツ姿の人が多く行き交い、時にはコスプレ姿の人であふれかえる東京ビッグサイトで、7月22・23日に住宅設備機器関連の展示会「東京みらい市」が開催されました。JAXAはこの展示会にブースを出展し、《はやぶさ発信電力制御》のデモンストレーションを行いました。
今回の展示でデモンストレーションが行われたうちの一つが、昨年東雲で報道関係者などに向けて公開したスマートブレーカー(以下、スマブレ)付きコンセントによる、ピークカット制御です。

ビッグサイト

《はやぶさ発信の電力制御技術》の核心は、「限られた電力をかしこく配分する、サーバ不要の自律的なシステム」です。電力使用量を目標値に収める「ピークカット制御」をシンプルなしくみで行うシステム、と言い換えてもいいでしょう。それを担うスマブレは、こんな仕事をします。
システム全体の消費電力量が、設定された値からどれほど逸脱しているかを知らされると、スマブレは自分の判断で電力を遮断します(もちろん、遮断しないという判断もありです)。
今回のデモンストレーションでは、「たくさん電力を使っている機器から落ちる」場合と、「後から使い始めた機器が落ちる」制御が混在する場合のデモンストレーションが行われました。

このように聞くと複雑かもしれませんが、家庭での使用シーンになぞらえて説明してみましょう。
たとえばいくつかのスマブレの先にドライヤー、クーラー、炊飯器、掃除機がぶら下げっているとします。クーラー(1000W)、炊飯器(1200W)、ドライヤー(600W)と使い始め、そこまでは制限の範囲内でしたが、4つ目の掃除機(600W)をONにしたとき制限を超えてしまったとします。

通常の家庭のブレーカーでは、このときに全部の機器がいっぺんに止まってしまいます。しかし、それぞれの機器をスマブレの下にぶら下げておけば、切れるのは一つの機器だけになります。ではどのスマブレが落ちるのでしょうか?

「たくさん電気を使っている機器から落ちる」ならば、1200W の炊飯器となりますが、炊飯中にリセットされてしまうのはよろしくありませんね。
そこで「後から使い始めた機器が落ちる」という制御則を適用します。すると後から始動した掃除機の上流にあるスマブレが、落ちます。
実運用上は、ドライヤーが使い終わってから、掃除機のスマブレを手動で復帰し、掃除を始めればいいわけです。これで部屋は涼しく、ゴハンもおいしく炊けて、髪はサラサラ、お部屋もキレイという快適な生活が、電力のピークカット制御と両立することになります。

ノートPC

展示会で行われたもう一つが、ノートPCを使ったピークカット制御のデモンストレーションです。ノートPCはバッテリーを内蔵しているため、電源がなくともしばらくは問題なく使い続けられます。ただ、消費電力もそう大きくはないので、1台のPCの効果はわずかです。しかし、オフィスでは多数のPCが使われているので多くの台数で協調制御を行えば、大きな効果が見込めます。

ノートPCには、川口先生が自らコードを書いたという、《はやぶさ発信電力制御》のアルゴリズムを実現するプログラムをインストール。USB経由でコマンドを受け、電源アダプターから供給される直流電源をON/OFFするソフトウェアスイッチのモジュールがこのために製作されました。(直流電源を扱うのは交流100Vに比べ電圧が低く、危険が小さいからです)。

モジュール

川口淳一郎JAXAシニアフェロー

「1台あたりのピークカットの貢献を金額に換算すると、年間1000円程度とわずかなものです。それでも、台数が多いので事業所では一定の効果が見込めると思います。この後、筑波宇宙センターの施設管理部門と協力して、50~100台規模の実証を行う予定です」(川口淳一郎JAXAシニアフェロー)



このデモンストレーションは、7月29日~30日に行われる「JAXA相模原キャンパス特別公開 2016」でも行われる予定です。

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