フィリピン共和国の超小型衛星がはじめて宇宙へ!新たな一歩に「きぼう」が貢献

2016年4月28日(木)

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2016年4月27日20時45分頃(日本時間)、フィリピン共和国の第1号超小型衛星「DIWATA-1」を国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟の衛星放出機構から放出しました。フィリピンの宇宙開発の歴史を開くミッションに、「きぼう」が、そして日本が貢献しました。

JAXAはこの様子をライブ中継いたしました。現在は録画がご覧いただけます。

衛星放出成功時のライブ中継の様子。
左は大きなミッションを完了した「きぼう」運用管制室、右は喜びの声で賑わうYouTubeコメント欄。

筑波宇宙センターでは、フィリピン政府の方、日本で開発にたずさわった東北大学・北海道大学の関係者の皆さんが放出の様子を見守りました。

放出に成功し、大喜び!

フィリピンの歴史に刻まれる成功に日本の各機関が連携・貢献

フィリピンも日本と同様に海に囲まれ、農水産業が盛んで自然災害の多い国です。人工衛星は人々の生活や国の発展に欠かせません。DIWATA-1(ディワタワン。DIWATAはフィリピンの言葉で「妖精」という意味)は、そんなフィリピン共和国ではじめての国産衛星です。
DIWATA-1には地球観測用の観測カメラが4種類搭載されており、台風をはじめとする災害の監視、農産物の生育調査や漁業などに役立てられる予定です。これまでも同国は「センチネルアジア」など国際的な枠組みを通じて衛星データを得てきましたが、超小型衛星を持つことでより迅速で柔軟なデータ取得が可能になります。

また、DIWATA-1は、フィリピン科学技術省から派遣された若手エンジニア達が中心となり、東北大学・北海道大学がその開発・製造に協力。搭載されるカメラのうち、液晶スペクトルカメラは北海道大学・東北大学が2014年に打ち上げた超小型衛星「雷神2衛星」に搭載されたカメラの改良型として、大型衛星に搭載されているカメラに劣らない撮像が可能です。低コストで高精度な次世代の宇宙利用を拓くものと期待されます。

このミッションは、JAXAがアジア地域で唯一のISS参加国として「きぼう」利用機会を提供し、国内の大学が人材育成の面で協力しています。

フィリピンの歴史に刻む記念すべき宇宙開発ミッションの成功に日本の各機関が連携・貢献し、日本とフィリピンと関係をいっそう深めました。

JAXA初!「きぼう」発!これまでより大きな超小型衛星の放出成功

ライブ 中継をご覧になった方は、これまでの衛星より大きな衛星が放出されたことにお気づきでしょうか。

左:フィリピン共和国の第1号超小型衛星「DIWATA-1」 右:2013年に放出されたCubeSat(超小型衛星)

これまで「きぼう」の衛星放出機構からは1辺が10cmのCubeSatと呼ばれる衛星の放出を行ってきましたが、衛星放出能力を増強することができました。これからCubeSatも、同時放出数を現在の6Uから12U、18Uに量的増強を進める計画です。
DIWATA-1のように国外の機関とJAXA及び日本国内大学との連携を通じた超小型衛星事業の海外での利用拡大が期待されます。