宇宙技術で災害リスクの軽減を目指す

2016年3月16日(水)

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JAXAは世界の宇宙機関や防災機関と協力し、様々な国際的枠組みを通じて、より多くの人工衛星による災害対策への貢献を目指しています。
災害リスクを減らすために、地球観測衛星がどのように貢献しているか、ご紹介します。

災害リスク軽減に向けた人工衛星の貢献

何度も見るからわかる 地盤沈下、地すべり
~アクセス困難な被災地域を把握

集中豪雨などにより発生する地すべりや地盤沈下の被災エリアを、観測時期の異なるレーダ衛星画像を重ね合わせることで把握することができます。

インドネシア東部・ニューギニア島

夜間、悪天候でも様子がわかる 津波、洪水、高潮 ~広域に拡がる浸水地域をレーダ衛星で把握

浸水、洪水による被害は広域に拡がる傾向があります。地球観測衛星は、広大な浸水地域を幅広い観測能力で、短時間かつ、夜間や悪天候の影響を受けずに把握することができます。

右図:だいち2号からの浸水域抽出画像(2015年 常総市)

煙をつきぬけて観測 火山噴火 ~観測困難な火口をレーダ衛星で把握

日本には110、世界には約1500の活火山があります。全ての火山を常時地上観測することは難しいため、地球を周回する人工衛星での定期的な観測による監視が期待されています。観測画像は入山規制の判断情報にも活用されます。

西之島

いち早く知る 地殻変動 ~火山活動の推移から噴火に備える

地震や火山の噴火活動では、地面のわずかな変化にいち早く気づくことが重要です。地球を周回する人工衛星の特長をいかし、時期の異なるレーダ衛星画像を重ね合わせて地面の浮き沈みや変動をcmオーダーで定期的に把握できます。

桜島

広がる国際協力、向上する災害対応

災害リスク軽減には、より多くの人工衛星で統合的に取り組むことが大切であり、JAXAは国内だけではなく、国際的な枠組みにておいても貢献しています。

その一つである「センチネル・アジア」は、アジア太平洋域の自然災害の監視を目的とした国際協力プロジェク卜です。地球観測衛星で得た災害関連情報をインターネッ卜上で共有し、台風、洪水、地震、津波、火山噴火、山火事など自然災害被害を軽減、予防します。
緊急時における自然災害被害の把握だけでなく、予防段階(ハザードマップの作成)や復興段階(被災地の復興状況の定期観測)にも対応しており、2005年に提唱され、翌年プロジェクトチームが発足しました。
現在では日本、台湾、インド、タイ、韓国、シンガポール、ベトナムなどの宇宙機関を含む100の地域の防災機関および国際機関などが参加。2006年以降、200回以上緊急観測し、データを提供しています。

[主な観測実績]
フィリピン火山噴火(2009)、タイ洪水(2010)、東日本大震災(2011)

センチネル・アジアの緊急観測フロー

また、JAXAは宇宙機関を中心とする国際協力枠組みである「国際災害チャータ」のもと、大規模災害発生時に地球観測衛星データの提供等を通じて、災害の把握、復興に協力しています。他にも、地球観測に関する政府間会合「GEO」、地球観測委員会「CEOS」に参加し、地球観測衛星による災害管理への貢献を目指しています。