宇宙へ行く時は必ず着用!ソコル与圧服と専用シートのお話

2015年7月8日(水)

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  • 宇宙飛行士と国際宇宙ステーション(ISS)
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ロシアのプログレス補給船(59P)国際宇宙ステーション(ISS)ドッキング断念を受けて延期された、油井宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(43S/TMA-17M)の打ち上げ。7月8日現在の目標日時は、7月23日(木)6時2分(日本時間)となっています。
油井宇宙飛行士は、米国ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センター(JSC)でこれまでに習熟した訓練の復習や医学研究での追加実験データ取得等を行った後、現在はロシアに移動し、さらなる訓練を実施しています。ISS長期滞在でのミッション遂行に向けての準備も大詰めですね。
7月3日には、仕切り直しとなったプログレス補給船(60P)もISSドッキングに成功し、油井さんの打ち上げに向け、下地が着々と整いつつある今日この頃です。
ファン!ファン!JAXA!編集部では「油井宇宙飛行士ISS長期滞在プレスキット」に掲載されている興味深いコラムのいくつかを引用して皆さんにご紹介したいと思います。

ソユーズ宇宙船に搭乗するクルー(真ん中が若田宇宙飛行士)
(写真提供:JAXA/NASA/Bill Ingalls)

ソユーズ宇宙船に搭乗する時に、宇宙飛行士が着用している白地に青い模様の特別な服は「ソコル」(Sokol:ロシア語でハヤブサや鷹の意味)スーツと呼ばれています。ソコルスーツは、打ち上げ時とドッキング・分離時、帰還時に着用する与圧服で、ある程度の減圧や熱に耐えられます。

大西宇宙飛行士も自身のGoogle+で驚いていましたが、お腹の袋の所から内部に入って着用します。この袋の口の部分は最後に束ねてひもで縛ることで気密を保つことが出来ます。最後に表面生地のジッパーを閉じて着用完了となります。

古川宇宙飛行士のTwitterによると「万一ソユーズに穴があいて減圧し、ソユーズ宇宙船内が真空になっても、ソコル宇宙服内は約0.4気圧に保たれ、クルーが守られる。」そうです。
2013年からは6時間弱でISSに到着できるようになったため、スーツを脱ぐのはドッキング完了後となっています。

ソコル与圧服を装着する様子

着地時の衝撃に耐えるために、帰還モジュールには各クルー専用に作られたシートが使用されます。このシートには足方向がピボット部で固定され、頭上方向に衝撃吸収用ダンパーが取り付けられており、着地の約10分前にダンパーを上に伸ばし、衝撃を吸収する仕組みになっています。

(写真提供:NASA)

このシートは、クルー毎に石膏で型とりをして衝撃が集中することのないように体にピッタリとした形状で製造されます。大気圏突入時のGは、ソユーズTM宇宙船の場合で通常約4~5G、最大でなんと約10~12Gもの圧力がかかるそうです。

左)シートライナーを石膏で型とりする様子(写真提供:ESA)
右)座席にシートライナーを装着した状態 (写真:カナダ人宇宙飛行士Chris HadfieldのTwitterより)

ソユーズ宇宙船は帰還モジュールがパラシュートで地上に降下してきますが、この時にこれほどの圧力がかかっているとは…。地味ながらこの「シート合わせ」は宇宙飛行士の身体を守るためにとても重要な作業だということがわかりますね!

ただ、最新のソユーズ宇宙船の帰還モジュールには地表高度約80cmで4基または6基の固体ロケットモータ(推力各2,500kg)を自動的に噴射させて、着地時の衝撃を緩和する機能が装備されています。これにより、エアクッションのような効果を生じさせて衝撃を緩和しています。

 

左)ソユーズTMA-13が着陸する様子 右)ソユーズTMA-11の衝撃緩和用ロケット
(写真提供:NASA)

ただし、座席と体の間に隙間があるとそこに力が集中して怪我する危険性があるので、着地時には身体をシートに密着させるよう指示されているそうで、それでも強い衝撃が加わることに変わりはないようです。鍛錬に次ぐ鍛錬で鋼の肉体を備えているであろう、油井宇宙飛行士がどう感じるのか興味深いですね。

いかがでしたでしょうか? ソコル与圧服は打ち上げや帰還の衝撃や急激な減圧に備えるために着用が欠かせないんですね! いつか皆さんも宇宙旅行に行く日が来たらどうぞお忘れなく~。