郷に入りては郷に従え?! ソユーズ宇宙船打ち上げ前に行われる伝統的なイベント
2015年6月4日(木)
- 宇宙飛行士と国際宇宙ステーション(ISS)
油井宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(43S/TMA-17M)の打ち上げが延期となりました。本人のツイートによると、油井さんは一旦自宅のある米・ヒューストンへ戻って英気を養っている様子です。 |
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ロシアの有人宇宙船打ち上げ前に行われる伝統的なイベント
ロシアの有人宇宙船といえば1967年から脈々と運用されているソユーズ宇宙船が有名ですね。
その打ち上げ回数の合計は、あのスペースシャトルですら遠く及ばないほどです。
今でこそ盤石の信頼性を誇るソユーズ宇宙船ですが、初期の運用においては重大なトラブルも起きており、そこで得られた教訓を元に徹底的な改良が施されています。
初期の運用を踏まえてなのか、ロシアでは有人宇宙船に搭乗する前には独特の風習がルーティンワークとして行われています。そのいくつかを2011年にISS長期滞在ミッションに参加した古川宇宙飛行士が自身のツイッターで取り上げています。
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どうして縁起が悪いんでしょうね…。編集部で鋭意調べているので分かり次第、情報を追加します! |
宇宙開発に詳しい科学ジャーナリスト・寺門和夫氏のブログによると、 『砂漠の白い太陽』の舞台は中央アジアの砂漠と、カスピ海に面した村です。時代は1920年ごろ。ロシア革命後の内戦が続いていた時代で、故郷へ帰る赤軍兵士と、革命政府に帰順しない現地の部族との戦いが描かれています。 とのこと。 |
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これは有名な伝統ですね。写真の油井宇宙飛行士の指し示す先には、若田宇宙飛行士のサインが! 油井宇宙飛行士自身がサインをする日が待ち遠しいですね。 |
関係者に聞いたところ、ソヴィエト時代1983年頃のEarthlings (Земляне)というアーティストによる“The Grass Near my Home” (Трава у Дома )という音楽で、それがかけられるのも伝統とのこと。@Astro_Satoshi
試聴してみたところ、“ABBA”っぽいメロディラインですね。アップテンポな感じではないのですが、「これを聞くと故郷を思い出すなぁ」的な一抹の哀愁が漂う一曲でした。 |
℗ 2013 Студия СОЮЗ |
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古川さんのツイートからの引用なので、ご本人の写真を掲載したいところですが、あいにく見つけることができなかったので、若田さんの出発シーンをご紹介。 |
世界で初めて有人宇宙飛行を経験したガガーリン宇宙飛行士のふるまいが脈々と受け継がれていることにまず驚きますが、実際に用を足すかどうかはよくわかりませんでした。
日本人宇宙飛行士の搭乗するソユーズ宇宙船の打ち上げ支援に参加したJAXA職員によると、
バスに乗り込んだクルーは射点に向かう途中、一度バスから降りて立ち寄るところがあるという。それはガガーリン飛行士が打ち上げ前に「小用を済ませた」場所である。飛行士たちは安全祈念のゲン担ぎのために、同じことをするかどうかはわからないが、同じ場所に立ち寄るのである。
とあり、件の場所に立ち寄ることが一種のルーティンワークになっている模様です。
いかがでしたでしょうか? 一流のアスリートには特定の所作があり、集中力を高めるためのトリガーにしているという話を聞いたことがありますが、これらのルーティンワークは打ち上げの瞬間に向けて宇宙飛行士の集中力を最大限高める効果があるのかもしれませんね!