彗星探査機「ロゼッタ」、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着!

2014年10月23日(木)

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欧州宇宙機関 (ESA) の彗星探査機「ロゼッタ」が、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着、初期の観測が始まりました。
2014年1月20日に長い冬眠から目覚めたロゼッタはその後も順調に飛行を続け2014年8月6日に彗星から100kmの地点に到達。彗星との相対速度を1m/sまで減速し、史上初めて彗星とランデブーした探査機となりました(これまでの探査機は彗星の近傍を通過するフライバイでした)。
おめでとうございます!

Credit: ESA/S.Bierwald
ロゼッタの彗星到着を喜ぶオペレーションマネージャーのアンドレア・アッコマッツォさんとミッションディレクターのパオロ・フェッリさん。うれしそうですね。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(2014/8/19撮影)
Credits: Image: ESA/Rosetta/NAVCAM; Dimensions: ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA

これがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星です。はやぶさが向かった小惑星イトカワも変わった形でしたが、この彗星も中央がくびれた何とも不思議な形です。イトカワはラッコでしたが、こちらはお風呂に浮かべて遊ぶアヒルの人形に似ているというもっぱらの噂。表面の感じも、すべすべの所とごつごつしたところがあるのがイトカワに似ているような気もしますね。一方でイトカワにほとんどなかったクレーターがあちこちに見えます。面白い! 

少し注意しなければいけないのは、イトカワとチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星はサイズが全然違うということです。イトカワは長さが530m、直径が200-300mほどでしたが、こちらはさしわたし数キロメートルの大きさがあります。宇宙では空気がないのと他に比べるものがないために大きさが分かりにくくなってしまうんです。

イトカワの +270 度面

[クリックで拡大]
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の中央部(2014/9/19撮影)
ESA/Rosetta/NAVCAM

これは9月19日に彗星から28kmの地点で撮影された写真です。中央のくびれた部分からガスのようなものが吹き出しているのが見えるでしょうか? そう、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は「彗星」です。表面が太陽の熱で熱せられてガスが噴き出しているんです。まさに彗星の尾ができるところを捉えた写真です。これからさらに太陽に近づくにつれて活動が活発化すると予想されています。いったいどんな光景が見られるんでしょうか?

着陸機「フィラエ」の着陸候補地点
Credits: ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA

さて、ロゼッタはさらにチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に接近しながら、着陸機「フィラエ」の着陸地点の選定に入りました。候補に挙がったのは5箇所。地形が面白そうな場所、着陸しやすそうな場所。科学者たちが喧々諤々の議論をして決まったのは...この写真の場所。ちょうどアヒルの頭の上です。

着陸機 着陸機「フィラエ」の着陸予定地
Credits: ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDAA

「フィラエ」は3本の足を持ち、大きさが約1m四方、燃料を含む重さが100kgの着陸機。10個の観測装置を積み、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面で様々な観測・実験を行います。2014年11月12日は史上初の彗星への着陸が試みられる予定です。楽しみですね!

探査機「ロゼッタ」と着陸機「フィラエ」(打ち上げ前の想像図)
Credit: ESA-C. Carreau/ATG medialab