ここがスゴイ!「超小型三軸姿勢制御モジュール」

2017年10月13日(金)

  • プロジェクト
  • 人工衛星・探査機
このエントリーをはてなブックマークに追加

ホシモだよ!この間、「Int-Ball」(JEM自律移動型船内カメラ)について話を聞いたけど、今度はInt-Ballの中に入っている超小型三軸姿勢制御モジュールについて聞いてみたよ。
超小型三軸姿勢制御モジュール、難しい名前だけど、一体どんなモジュールなんだろう?

超小型三軸姿勢制御モジュールってなんだ?

左から、Int-Ball、超小型三軸姿勢制御モジュール(31㎜角サイズ)、同モジュール(100㎜角サイズ)

元々は、人工衛星に搭載されている姿勢制御に必要な装置(ジャイロセンサやリアクションホイール等)を、衛星の小型化、低コスト化、省スペース化を実現するために、これまで別々に組み合わせていた装置を一つのパッケージにして詰め込んだのが、超小型三軸姿勢制御モジュールなんだって。最初の大きさは100mm角だったものが、きぼう船内ドローン「Int-Ball」を検討していく中で、もっと小さくしたい要望から、さまざまな工夫をへて、31mmまで小さくできたんだって。



超小型三軸姿勢制御モジュールの特徴

「超小型三軸姿勢制御モジュール」の内部構造をCGで見てみよう!

わずか31mm の立方体サイズの中に、誘導制御計算機や6軸慣性センサ、3軸のリアクションホイール、電磁ブレーキなど、姿勢制御に必要な装置が集約されています。

ここがスゴイ!「超小型三軸姿勢制御モジュール」

こんなに色々入っているのに、31mmに収まってるなんてビックリ!
開発を担当した巳谷さんに超小型三軸姿勢制御モジュールのすごいところを聞いてみたよ。

その1

従来の人工衛星では個々のモジュールとして別個に配置されていた、姿勢を検知するジャイロセンサなどの慣性センサ、姿勢を制御するリアクションホイール、制御信号を計算する計算機の3つの装置が、全てこの一つのモジュールに詰め込まれています。その証拠に、立方体のカドでバランスしたりする制御を、他に頼ることなく、このモジュールだけで行うことができます。

その2

電磁ブレーキに一体となったホイールを採用!電磁ブレーキを使うことでホイールだけでは出せないような非常に高トルクな出力を瞬時的に出すことができます。このモジュールが急に起ち上がったりするのは、実はこの機能を使っています!

その3

慣性センサは1つだけではなくて6台分搭載!その6台を中で複合して制御することでさらに高精度な出力をすることができます。

巳谷 真司主任研究開発員(研究開発部門第一研究ユニット)

その4

量産化されているようなシステムオンチップなど民生の先端部品を積極的に使用!
低コストを実現し、制御プログラムを汎用のコードで自由にプログラミング可能になったため、ユーザーにとっての使いやすさも向上します。

超小型三軸モジュール(10cm)の実験映像(0分29秒)


超小型三軸モジュール(31mm)の実験映像(1分07秒)




巳谷さん、茂渡さん、谷嶋さんは、研究開発部門で人工衛星に搭載できるよう小型モジュールの研究開発を行っているよ。今後は、三軸姿勢制御モジュールの技術をほかにもいろいろなところに普及させたいと考えているそうだよ。今後も研究が進んで、さまざま応用先や量産のためのパートナー探しなども行っているんだって。

左から、谷嶋 信貴研究開発員(研究開発部門第二研究ユニット)、後藤 雅享主任研究開発員(有人宇宙技術部門有人宇宙技術センター)、巳谷 真司主任研究開発員、茂渡 修平研究開発員(研究開発部門第一研究ユニット)

地上のドローンの姿勢安定装置や、月や火星のような重力天体の表面上を転がって移動する探査ロボットにも利用できるかも!? これからの展開が楽しみだね。