参加者F:宇宙開発が戦争を促進しているという現実を忘れてはいけないと思います。
的川:ではどうしたらよいのでしょうか?人間が戦いを起こしていることは突き詰めていけば人間の利益のためです。その考え方を改めるためにも、宇宙が軍事に利用されていることを改めないといけません。
中村:6500万年前に落ちてきたような巨大な隕石が落ちる確率は5000万年に1回ほどです。ひょっとしたらもうそろそろ、同じような大衝突が起こるかも知れません。そのようなことを防ぐためにも、NASAは望遠鏡を使って大きな天体の落下を監視しています。このようなことは私たちが宇宙開発に頼らない限りできないことです。
そういう大危機が差し迫ったときに、地球が一つにまとまるのも重要なことではないでしょうか。日本でも岡山県で、スペースガードセンターが監視を行っています。
参加者G:宇宙へ行って飛行士たちの人生観や価値観が変わるような経験をした人が増えると、昨今のような殺伐とした事件も減るのではないでしょうか。宇宙飛行士と同じような気持ちに私たちがなるような方策を、JAXAでもっとPRするというのもいいのではないでしょうか。
土井:普通の人が日常的に宇宙に行けるような時代になると、いまの宇宙飛行士たちの経験が日常的に誰でもできるようになります。そうすればものの考え方(地球や国に対する)が大幅に変わるのでしょうか?
地球を見ているとすばらしいと思いますが、帰ってくると戦争や環境汚染などの様々な問題があり、そのギャップにとまどいがあります。地球は1つの宇宙船です。これを壊してしまったら私たちは生きられません。それを1人1人が感じるようになれば、戦争や環境破壊をやめようという雰囲気になるはずです。そのためには皆が宇宙に行けることが必要だと思っています。
JAXAは宇宙の商業利用を考えています。宇宙が身近なものになるように、宇宙を利用しようという活動を始めようとしています。これは、突き詰めていくと、宇宙ステーションに日本人が自由に行けるような時代への先駆けになるかもしれません。そこで問題になるのは、宇宙に行くためにお金がかかることです。日本でスペースシャトルのようなものを開発するためには、いまの宇宙開発予算の10倍はかかってしまいます。それができれば日本人は自由に宇宙へ行けますが、それ程のお金をかけていいか。そこを議論してほしいです。
的川:宇宙開発が、世界の人々の幸せに貢献したいという気持ちは、現場の人たちは皆持っています。また現場の人たちは宇宙が大好きです。
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