参加者C:我々は自分たちの根元を確かめてみたいのです。本当に美しいものは何かと言うことを知りたいのです。宇宙開発はぜひ続けてほしいと思います。ただ、技術的な面ではなく、人間の奥深いものを伝えていただきたい。そのために、JAXAは努力をしていただきたいと思います。
的川:人間の根元に関わることとしては、第1部でテーマとしていることが大事なことではないでしょうか。芸術分野の話については、いまは宇宙に行ける人が宇宙飛行士に限られていますが、日本の文化を発信できる人を宇宙に連れて行ってみるというのはどうでしょうか。山崎飛行士は琴の演奏ができますが、琴を宇宙で演奏したいと言っています。それに限らず、宇宙飛行士に宇宙で浮かんだ発想を音楽に託するとか、歌を詠む、といったことが開けていくかもしれませんね。
参加者D:宇宙へ向かう目的は真理の追究であり、突き詰めていくと「私たちは何なのか」という問いにつながると思います。ひょっとすると生命は宇宙からきたのではないかと思うこともあります。そういった宇宙の生命と交信する価値もあると思います。
土井:私は宇宙にクレヨンを持っていって絵を描いていました。持っている感覚が地上と違うのを自分で確かめてみたいと思ったからです。本当の芸術家が宇宙へ行ったとしたら、彼らが描けないような絵が描けると思います。宇宙では上下感覚がなくなります。そこから新しい、地上では考えられない絵、芸術が生まれるのではないでしょうか。
参加者E:「なぜ人類は宇宙を目指すのか」という問いへの答えは意外と単純で、飛びたいからではないでしょうか。私は宇宙人に会いたいです。
的川:日本で宇宙開発が始まったのは50年前です。そのときのロケットはマイクくらいの大きさのペンシルロケットでした。その頃は、宇宙にいろいろなものを送るということに関しては寛容で、打ち上げに失敗しても何も言われませんでした。いまや、使っている予算の規模からすると、なかなか「行きたいから行かせて」といえない状況になってきました。大勢の人の気持ちに一致した活動を行わなければなりません。
よその星の生き物という点については、太陽系外に120個以上の惑星が続々と発見されています。いずれきっと地球のような星が見つかり、空気がある惑星が発見され、人間らしい生物がいることが発見されるときがくるかもしれません。そういうことは宇宙開発の中で大きな意義を占めるのではないでしょうか。
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