参加者A:宇宙でいろいろな実験がされているようですが、実際に宇宙で実験して得られたデータの中で、実用化されたものはあるのでしょうか。
土井:いちばん身近なのは、フライパンのテフロンやタンパク質の結晶など(薬に応用されている)です。もう1つおもしろいこととしては、燃料電池があります。これは環境に優しいエネルギーで、公害を出さないため、新エネルギーとして期待されています。実は、この燃料電池の開発を進めたのがNASAでした。スペースシャトルにも燃料電池が3基搭載されていて、そういった技術がそろそろ私たちの生活に入ってきています。
的川:あとは、国家予算でできるだけ成功率の高い打ち上げに取り組んでほしいです。
的川:めがねのチタンフレームも宇宙開発から得られたものです。また、バーコードも宇宙開発の品質管理から生まれてきました。宇宙開発から生まれてきて日常生活に入り込んでいるものは結構多いです。ただ、人間が宇宙を目指す理由は副産物ではなく、その正面の理由が必要なのではないでしょうか。
参加者B:いまこうやって宇宙開発ができるのも、何千年もの蓄積があったからだと思います。いまここでやめるわけにも行かないでしょう。科学以外でも、世の中では課題が山積しています。宇宙開発もその中の大きな1つの分野だと思います。難しいですが、そういう意義はあると思います。これからの大変な世の中をいい方に導いていく中で、科学とともに人類の課題を考えていかなければならないと思います。私自身は子どものペットボトルロケット打ち上げをやっていますが、最初は興味を持たないけれど、最後はものすごく興味を持ちました。何かのきっかけが必要なのではないでしょうか。
的川:人間が旅をしたいという直接的な目的ではなく、長い歴史のなかで生み出した大きな課題を我々が抱えていて、それを解決するために宇宙へ行くというのは大切な要素だと思います。
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