“L+54” 運用とホウレンソウ

2015年1月26日(月)

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  • 人工衛星・探査機
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1月26日L+54、「はや2」初期機能確認は順調に進んでいます。
前回のL+44で出題しました「スタートラッカ画像」の答えがどこかお分かりになりましたか?
記事コメントの書き込み以外にも、仕事でお会いする方から「この辺り?」と聞かれます。
実は、、、私も答えを教えられていません!冬の夜空は空気が澄んできれいです。皆さんが星空に想いをはせる良いキッカケに「はやぶさ2」がなれますように、正解発表はもう少し後にとっておきましょう(決して今書けないからではありませんよ)。

これまで探査機や機器について触れてきましたが、初期機能確認期間での運用の体制について簡単にお話したいと思います。
運用は、原則、当番制で行っています。日々のリアルタイム運用(実際に探査機と通信を行う運用)を取り仕切るスーパーバイザー(SV)の下、SV サポート、姿勢制御系担当、メーカー担当者をベースに、5名前後のチームが組まれます。各機器チェックアウトなどの際には、そこに機器担当者も加わって技術的な評価などを行います。
また「リアルタイム運用」の他にも、「オフライン運用」メンバーとして、軌道決定担当、軌道計画担当とコマンド計画担当がいます。軌道決定担当は、毎日の通信データを使って、毎週、探査機の実際の飛行軌道を推定しています。軌道計画担当は軌道決定情報を用いて軌道計画の立案を、コマンド計画担当は探査機に送信する指令(コマンド)の作成、送信順序立案などをそれぞれ担っています。
リアルタイム運用で得られたテレメトリデータ(探査機の状態を示すデータ)・各機器のデータを担当者間でいかに早く正確に共有できるか、が運用を確実に行うミソ。「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」のソフトパワーは、各業務の引き継ぎ、運用開始・終了時のブリーフィングなどさまざま場面で力を発揮しています。

初期機能確認期間の後半は、次の段階(巡航フェーズ)への移行準備も並行して行われます。長い宇宙の旅ですので、SVや各担当者の修練・育成の場、効率的な運用体制構築に向けた整理の場でもある訳です。はやりそこでも「ホウ・レン・ソウ」は必要不可欠です。

探査機とのコミュニケーションだけでなく、運用者同士のコミュニケーションも円滑に。
私自身、原稿を書きながら「ホウレンソウ」の大切さを見返させられるものでした。

これまでの運用状況などに関する報道関係者の皆さまを対象とした説明会を、1月28日(水)15時30分から実施予定です。この説明会の様子を ファンファンJAXA「JAXATV」 にてライブ中継いたします。(映像情報では、ライブ中継終了後も、録画映像として配信いたします。ご都合のよろしい時にご覧ください。)

<「はやぶさ2」航行ステータス>
2015年1月26日14時0分(日本時間) 現在

太陽からの距離 1億5,853万km
地球からの距離 2,172万km
赤 経 77.72度
赤 緯 -19.25度
航行速度 28.1km/s

地球から見た「はやぶさ2」の方向

はやぶさ2と地球、太陽、小惑星1999 JU3 の位置関係(概略図)

はやぶさ2カウントアップレポート“L+(エルプラス)”とは―

打ち上げ後の経過時間を示す際、運用現場では「Launch(打ち上げ)」と「プラス○日」を組み合わせて「L+1(=エルプラスイチ)」と表現します(あくまでも一例ですが…)。
今後、「はやぶさ2」の航行ステータスなどをお伝えするにあたり、6年間という長いミッション期間での“時間経過”を皆さんと一緒に感じていきたいとの想いから、レポートタイトル名といたしました。
“L+”では、月・惑星探査プログラムグループ広報担当者がミッション内容や運用状況にまつわるトピックスをお伝えしてまいります。