さあ宇宙探査ミッションへ!はやぶさ2クリティカル運用期間を完了

2014年12月5日(金)

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  • 人工衛星・探査機
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本日JAXAは、小惑星探査機「はやぶさ2」のクリティカル運用期間が終了し、初期機能確認期間に入ったことを発表しました。現在、探査機の状態は正常です。

“クリティカル運用期間”とは、探査機がロケットから分離した後、最低限の運用ができるようにする重要な期間のことです。ロケットに搭載する時にはたたんでおいた各機器を広げたり、探査機が宇宙空間で一定の姿勢を保てるように制御したり、地上から探査機を追跡管制する設備の機能を確認したり……という作業を、24時間体制で実施していきます。

画像:ロケット搭載時の探査機

画像:宇宙空間での「はやぶさ2」想像図(イラスト 池下章裕)

「はやぶさ2」クリティカル運用期間では、主に次のことを行いました。

  • 太陽電池パネルの展開
  • 太陽捕捉制御
    探査機は大量の電力を必要とするので、太陽電池で発電します。
    そこで宇宙に出た後まず、太陽電池が貼られたパネルを広げ、パネルに太陽光が当たるよう姿勢制御を行います。これが無事に行われ、「はやぶさ2」は電力を確保できるようになりました。
  • 探査機が所定の軌道に投入されていることの確認
  • サンプラホーンの伸展
    太陽電池パネルとおなじく、ロケット搭載時にはたたんでおいたサンプラホーンを伸ばします。
    この様子は、多くの皆さまより「はやぶさ2」にいただきましたご寄附により製作・搭載した小型モニタカメラ撮影した画像にて確認できました。
    改めまして、ご寄附に対し深く感謝し、心から御礼申し上げます。
    関連:「はやぶさ2」には皆さまからお寄せいただいた寄附金が活用されています!

画像:「はやぶさ2」無線局の試験電波データ転送により取得した試験画像

画像:サンプラホーンと小型モニタカメラヘッドの搭載場所

画像:ロケット接合部に結合された「はやぶさ2」と収納状態のサンプラホーン

画像:ご寄附により製作・搭載した小型モニタカメラヘッド

  • イオンエンジンの方向を制御するジンバルのロンチロック解除
    搭載機器のなかでも繊細なものは、打ち上げ時の振動で壊れてしまわないようにロンチロック(固定具)で固定しておきます。宇宙空間に出た後、これを解除します。
  • リアクションホイールによる三軸姿勢制御の確立
  • 地上の精密軌道決定システムの機能確認

……など。

これら一連の様子は、次のCGでもイメージできます。



この後、およそ3ヶ月かけて、探査機に搭載されたミッション機器などの初期機能確認を行う予定です。

「挑戦が力を生み、継続が力を深める」。「はやぶさ2」の宇宙探査ミッションが、今始まりました。長い旅になりますが、引き続き温かな応援をおねがいいたします!