小惑星探査機ドーンが目的地ケレスの姿を捉える

2015年2月2日(月)

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NASAの小惑星探査機Dawn(ドーン:夜明け/あかつきの意)が目的地である準惑星Ceres(ケレス:セレスとも読まれ、Celesとも書かれます)の画像を送ってきました。まだ20万キロ以上離れているので細かい部分までは分かりませんが、これはこれまで撮影された最も詳細なケレスの画像です。

画像提供: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA

こちらは、拡大し複数の画像をつないで動画にしたもの。ケレスが自転していること、表面に濃淡があること、またクレーターの影らしきものも見えますね。

画像提供: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA

ケレスは火星と木星のあいだに広がるメインベルトと呼ばれる小惑星帯の中で最も大きな天体です。直径が952.4kmあり、自分の重力で球形になっています。いびつな形をしたイトカワなどと比べると、丸くてまるで惑星みたいに見えますね(これがケレスが現在「小惑星」ではなく「準惑星」に分類されている理由のひとつです)。発見されたのは1801年。発見当時は新しい惑星か? と言われましたが、その後同じような天体が複数見つかり、火星と木星のあいだの小惑星帯の発見につながりました。




画像提供: isana

ケレスの軌道はこんな感じ。ちょうど火星と木星の間をほぼ円形の軌道を描いて回っています。

さて、今このケレスに到着しようとしている小惑星探査機ドーンは、2007年9月27日にアメリカケープカナベラルから打ち上げられました。2011年には小惑星帯で2番めに大きいベスタに到着。約1年の観測の後、2012年9月、ベスタを離れ次の目的地であるケレスに向かいました。小惑星のすぐそばを通り過ぎるフライバイミッションでは複数の小惑星を訪れた探査機はありましたが、複数の小惑星の軌道に入って仔細に探査するのはドーンが初めてです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

ドーンが最初に訪れたベスタも直径400kmくらいで、じゃがいものような形をした大型の小惑星です。他の小惑星とは異なり内部が一様ではなく惑星のように層をなしていると考えられています。また、ドーンの観測によりかつて火山活動があったと思しき地形も見つかりました。

画像提供: NASA/JPL-Caltech/UCAL/MPS/DLR/IDA

今ドーンが向かっているケレスはさらに大きく、ベスタと同じように内部が層をなしていると考えられます。しかし一方でベスタとは異なり内部は氷で出来ていて、つめたく冷えた天体なのではないかとも考えられています。2014年にはヨーロッパ宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡ハーシェルがケレスから水蒸気が噴出しているのを観測しました。もしかしたら、ケレスは彗星に似た性質を持っているのかもしれません。

こうした大型の小惑星や準惑星は、イトカワや1999 JU3のような小型の小惑星と、我々が住む地球のような大きな惑星とのあいだをつなぐ存在といえるかもしれません。また小惑星帯に水を大量に含む天体が存在することは太陽系の成り立ちを考える上で重要な要素の一つとなります。こうした天体のことが詳しく分かれば、さらに太陽系の歴史についての理解が深まるかもしれません。

ドーンがケレスに到着するのは2015年3月の予定です。これからケレスに近づくに連れてさらに詳細な画像が送られてくるでしょう。楽しみですね!

【参考文献】