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「こうのとり」でしか運べない? 7号機(HTV7)のお届け品。(JAXA編)

「こうのとり」でしか運べない?

9月23日に打ち上げ、28日に国際宇宙ステーション(ISS)に結合した「こうのとり」7号機(HTV7)によって、たくさんの物資が運ばれました。

「こうのとり」7号機(HTV7)が運ぶ物資は合計で約6.2トン。中には、「こうのとり」でしか輸送できない物資もあるのはご存知ですか?

今回は、JAXAの主な「お届け品」を紹介するとともに、今回の輸送のポイントも探っていきます。

宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)のハッチを開き入室するクルー

宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)補給キャリア非与圧部に搭載された曝露パレット
©JAXA/NASA

HTV搭載小型回収カプセル

「こうのとり」7 号機ではISSでのミッション終了後の地球への再突⼊の機会を利⽤し、⼩型回収カプセルを使って、⽇本が今まで有していなかったISSからの物資回収技術の技術実証を行います。

HTV搭載小型回収カプセル

HTV搭載小型回収カプセル

カプセルは直径84cm、高さ約66cmの円錐状で、実験試料を除いた質量は約180kg。窒素ガスを噴射して姿勢を制御する機能を持っています。

HTV搭載小型回収カプセルの構成

HTV搭載小型回収カプセルの構成

カプセルでは電力を使わずに保冷するため、真空二重断熱容器(魔法瓶)と蓄熱剤(保冷剤)を搭載し、その内側に実験試料を格納します。

HTV搭載小型回収カプセルと試料収納部の構成

HTV搭載小型回収カプセルと試料収納部の構成

小型衛星放出機構(J-SSOD)と超小型衛星(CubeSat)

2012年から実施してきた、小型衛星放出機構(JEM Small Satellite Orbital Deployer:J-SSOD#10)を利用した超小型衛星CubeSatの放出は、10回目のミッションを迎えます。「こうのとり」7号機では3機の超⼩型衛星と、それらを放出するための⼩型衛星放出機構を輸送します。

小型衛星放出機構(J-SSOD)

小型衛星放出機構(J-SSOD)

【「こうのとり」7号機で運ぶ、超⼩型衛星 CubeSat】

「こうのとり」7号機が運ぶ超小型衛星CubeSatは、九州⼯業⼤学とシンガポール南洋理⼯⼤学(Nanyang Technological University)が共同で開発した超⼩型衛星の他、⼀般社団法⼈ リーマンサットスペーシズや静岡⼤学等が開発した超⼩型衛星。
これらの衛星をJAXAの⼩型衛星放出機構の衛星搭載ケースに収納し、ISSに輸送します。

ISSに輸送した超小型衛星3機は、10月6日(土)に「きぼう」から放出されました。


・SPATIUM-I(九州工業大学/シンガポール南洋理工大学)

SPATIUM-I(サイズ:2U)

ミッション:超小型衛星搭載用チップスケール(超小型)原子時計および上空の電離層の電子密度測定・3次元マッピングに向けた技術実証。


・RSP-00(一般社団法人 リーマンサットスペーシズ)

SPATIUM-I(サイズ:2U)

ミッション:衛星搭載カメラによる画像撮影および地上送信技術実証・新型高速無線機の動作実験。


・STARS-Me(静岡大学)

SPATIUM-I(サイズ:2U)

ミッション:軌道エレベータの小規模デモンストレーション・2機体衛星+クライマー(移動機構)の構成実証評価。


※「CubeSat(キューブサット)」は、10cm⽴⽅体を基本とした衛星です。1U=約10cm×10cm×10cmであり、2U、3Uとなるごとに、⻑さは20cm、30cmとなります。

ループヒートパイプラジエータ技術実証システム(LHPR)

可動部分がないため故障リスクがほとんどないヒートパイプは、無重量状態の宇宙空間で発熱部から放熱部に熱を効率的に輸送することができ、⼈⼯衛星などで多数使われています。ただ、宇宙機の⾼度化・⼤型化が進み、より⾼効率な冷却システムが求められる昨今では、⾼機能な熱輸送が可能なループヒートパイプ(LHP)が使われるようになってきました。
今回「こうのとり」7号機は、宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟を使って軌道上実証する計画に伴い、リザーバ外付型ループヒートパイプを搭載した展開型ラジエータ「ループヒートパイプラジエータ(LHPR)」をISSに輸送します。

ループヒートパイプラジエータ(LHPR)技術実証システム実験のイメージ図

ループヒートパイプラジエータ(LHPR)技術実証システム実験のイメージ図

今回の実証目的は、次世代静⽌通信衛星を⾒据えた技術試験衛星9号機に採⽤される展開型ラジエータの設計に反映することで、衛星開発のリスク低減を図ることにあります。

ISS用新型リチウムイオンバッテリ

「こうのとり」7号機は6号機に続き、補給キャリア⾮与圧部の曝露パレットにISS⽤の新型バッテリ(⽇本製のリチウムイオン電池セルを採⽤)6台を搭載して運びます。

「こうのとり」の構成

「こうのとり」の構成

バッテリを搭載した曝露パレット

バッテリを搭載した曝露パレット

実験を⾏うための⼤型の標準ラックと、「きぼう」船外実験プラットフォームで使⽤する⼤型の船外実験装置やバッテリを同時にISSへと輸送できるのは、「こうのとり」だけです。

信頼の技術でISSを支え、未来へとつなげる

「こうのとり」7号機で運ばれた生鮮食品の紹介

⼤型・⼤量物資の輸送能⼒を誇る「こうのとり」は、他の補給機には輸送できない量の物資の輸送も可能。のみならず今回の7号機においては、記念すべき10回目の放出を迎える超小型衛星や、今後の宇宙開発において重要な意味を持つ実証にも関わっていることが分かりました。
2018年9月23日に打ち上げられた「こうのとり」7号機。打上げの映像は映像情報で見られます。
「こうのとり」でしか運べないお届け品を、ぜひご覧ください!



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