的川:日本で宇宙活動を展開するときにいつも議論になるのが有人輸送の問題です。お金がかかることではあるのですが、その点を伺ってみたいですね。
参加者C:お金は国民の理解が必要です。また、今の青少年にいかに宇宙への夢を持ってもらうかが大切です。1つ提案ですが、アメリカの「コンタクト」のような、科学に裏付けられた、コンテンツとして充分通用する映画を作ってほしいです。国もコンテンツ産業を柱の1つに据えていますので、その中の1つに乗ってしまえばよいのではないでしょうか。
また、広報活動は非常に大事だと思っていまして、本来の活動と同等だと思っています。ケネディ大統領がかつて、「1960年中にアメリカ人を月に立たせる」という宣言を行いましたが、これは最高の目標設定であったと同時に、最高の広報活動だったと思います。
的川:私は広報が大事でないといっているわけではなく、技術が大事だと思っています。私は広報もしっかりと充分やっていきたいと思っています。映画の件はこれから考えていきたいですね。
内富:NASAにはハリウッド産業担当もいるので、そういったコーディネートができる人を増やしていくのはどうでしょうか。
参加者D:宇宙ステーションの開発後の日本の目標がまだ決まっていないということでしたが、目標を高く持って行くことが大切なことであったと思います。総合科学技術会議で明示されていた目標も、すばらしいことでわかるのですが、ゴールがわからない。どこまでやればいいのかが提示されていない。明確なゴールを設定して進めていくことが必要ではないでしょうか。
参加者E:広報に関しては技術的なコンテンツに基づいたことにすべきです。宇宙開発については、日本が宇宙開発を入れていくことによって、韓国など既に宇宙開発に乗り出しているところも含めて、アメリカに頼らずにアジア圏として力をまとめていけるのではないでしょうか。自分たちの利益に基づいた計画が必要だと思います。自発的な宇宙開発計画を作ることが国民に納得できる計画を得られる第一歩だと思います。
参加者F:学生です。宇宙に行くことがいずれ環境問題の解決になるだろうと意見には反対で、宇宙に行くことのゴールはあまり近い未来ではないことだと思います。その前に人類が亡んでしまうのではないでしょうか。私もかつてはいきたいと思っていましたが、それは横文字から来る新鮮さではないでしょうか。宇宙開発は先進国の人間が盛り上げている活動であって、途上国はあまり知らないと思います。JAXAには優秀な方が多いと思いますが、その優秀な人材をゴミ問題や温暖化問題に力を使った方がよいのではないでしょうか。
的川:それは有人活動だけではなく、オゾン層監視もやるべきではないということなのでしょうか?必要だと思いません?地球の状況はこれ以上分からなくてもいいですか?
土井:彼女が言っているのは、おそらく「地球の環境はこれだけ悪くなっているのだから、地球にもっと投資すべきだ」という意見ではないでしょうか。これはいろんな考え方があります。確かに地球の環境をよくするために私たちが宇宙から観測してもよくなりません。しかし、それからもう一歩先に考えてみますと、その環境問題を起こしている原因を取り除くことが必要です。たとえば、私たちは電気を使っていますが、そのために火力発電や推力などで自然に負荷を与えています。それが地球上だけで解決するとは思いません。例えば、宇宙空間に太陽光発電所を作って地球に送電するなどすれば、根源的な問題はなくなります。地球のことを考えるときに地球のことだけを考えるというのは視野が狭いと思います。その中でもう一度、宇宙開発を見直してもらったらどうでしょうか。
参加者G:宇宙にはいっぱいゴミが散乱しているということを聞いたことがあります。日本の宇宙開発の貢献ということを考えたときに、スペースデブリを回収するような機械を開発してみてはどうでしょうか。独自の有人飛行はして欲しいのですが、宇宙空間をクリーンに保てるような機械を日本が開発するということに、JAXAが貢献するという流れを作って欲しいです。
的川:数百万個の物体が宇宙を回っているという、非常に重大な問題です。90数%はアメリカ、旧ソ連が出したもので、それを日本が引き受けるという点については多少抵抗がないわけでもありませんが、日本の技術が貢献できるのであれば非常にいいことだと思います。
樋口:今技術的な開発は進めています。また、新しいロケットや衛星がゴミにならない工夫を行っています。
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