5分でわかる!「あかつき」ミッションのおさらい

2015年11月11日(水)

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いよいよ12月7日(月)に金星の周りを回る軌道への投入が予定されている、金星探査機「あかつき」。でも打ち上げから5年たって探査機がなにをするか忘れちゃった方、当時はこどもでした…という方はいませんか?

くわしくは、ぜひ「あかつき」特設ページを見ていただくとして…ここでは「あかつき」のミッションを5分でおさらいしましょう。

「あかつき」はどこへ行き、なにを調べるの?

「あかつき」は金星へ行き、金星の周りを回って、金星の大気の様子を調べます。

金星は、地球にもっとも近くてサイズも似た惑星で、「地球の兄弟星」ともいわれます。でも、実は地球と環境が大きくことなり謎が多い星なのです。
「あかつき」が解き明かそうとしている、金星の代表的な謎をご紹介しましょう。

金星の暴風“スーパーローテーション”

金星は自転がとても遅く、金星が1回転するのに地球の時間で243日ほどかかります。
しかし金星上空の風は時速360km。自転よりはるかに速い!この現象は“スーパーローテーション”と名づけられていますが、どうして自転が遅いのに速い風が吹き荒れるのか、理由がわかっていません。

硫酸でできた雲

金星の雲は硫酸の粒でできていますが、どうして硫酸の雲が存在し続けられるのかなど、多くのことが謎です。

雷がある!?

硫酸の雲におおわれた金星に、雷があるのか?実は30年にもおよぶ大論争がつづいています。地上から望遠鏡で観測したという人もいれば、それは別のものでは…という人も。

そのほか、詳しい金星の情報はこちら

「あかつき」は6台の観測装置を積んで、これら金星の謎を探りにいきます。

金星を調べると、どんなことにつながるの?

金星のしくみが分かれば、「兄弟星」地球を理解する大きな手がかりになると考えられます。

  • 地球はどうして金星とは違う環境になったのか
  • 大昔の地球はどんな環境だったのか?(金星のように大気の量が多かった時代があったようだけど…)
  • これからどうなるのか?

また、共通点をみつけて、おおくの惑星にあてはまる大気モデル(ふるまいの法則)をみちびきだせるかもしれません。

金星探査機「あかつき」のあゆみと、これからの予定

2010年
5月17日
種子島宇宙センターからH-IIAロケット17号機により打ち上げ

2010年
12月7日
「あかつき」は金星の周りを回る軌道へ入ろうとしましたが、主エンジンが故障して失敗。金星を通りすぎてしまいました。

その後、ふたたび軌道へ入るための検討がおこなわれました。なぜ失敗し次はどうするか。軌道、太陽光や宇宙放射線による機器の劣化、過酷な熱…さまざまな課題をどうクリアするか解析し検討しました。

この間に、姿勢を制御(コントロール)するエンジンで軌道制御し、運用を続け、金星や太陽風の観測をして成果をあげています。
2015年
8月30日
9回目の近日点を通過!
近日点とは「あかつき」の道中で特に太陽に近づくタイミングです。探査機の機体がとても熱くなるので壊れないか心配ですが、ここまでの確認では探査機の状態は健全です。
いま、投入再チャレンジに向けて最後の準備がすすめられています。
※「あかつき」のあゆみは、特設ページ「ミッションのあゆみ」が詳しいです。
2015年
12月7日
午前
金星の周りを回る軌道への投入に再チャレンジ予定! 姿勢を制御するエンジンを使います。
2日ほど後 投入に成功したかどうかが確認される予定です。

「あかつき」再チャレンジの厳しさと決意

2010年から5年、探査機ははじめの予定より長く過酷な宇宙環境にいるため機器が劣化しています。また主エンジンが故障しているため、再度の軌道投入は姿勢を制御するエンジンでのぞみます。
チャレンジにのぞむプロジェクトの決意は、5分では語れません。記者説明会の録画配信で中村プロマネの声をお聴きください。

「あかつき」が目指す金星を観察しよう

いま、明け方の空に金星がかがやいています。近くには火星が、すこし高いところに木星もあるので、見つけやすいでしょう。
みなさん、早起きして金星をさがしてみませんか?

お住まいの地域で金星がどこに見えるかは、国立天文台「今日のほしぞら」で調べられます。

金星が見えたら、「あかつき」にエールを送ってくださいね!