H3ロケットの開発が本格スタート

2015年7月27日(月)

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新型基幹ロケット名称決定!「H3ロケット」

新型基幹ロケットの名称が「H3ロケット」(エイチ・スリー・ロケット)に決まりました!
この名前とした主な理由は

  • 日本がこれまで積み上げてきた大型液体ロケットの技術を受け継ぐので、その系譜を示す“H”を継承
  • H-IIA/H-IIBロケットからコンセプトおよびシステムを根本から見直した新たなロケットなので、“H3”とする

といったことです。

「世界中の人たちが使いたくなるロケット」へ

H3ロケットは、いったいどんな狙いのもと、開発されるロケットなのでしょうか。
岡田プロジェクトマネージャによると、顧客の声を実現することを第一にしたロケット…「価格・高い信頼性・柔軟なサービス」の3つが揃って、「世界中の人たちが使いたくなるロケット」を目指しています。

「価格(コストを下げる)」については、今までの受注生産から一般工業製品のようなライン生産に近づけていくことや、自動車等で使われている部品を活用することなどで実現します。
「高い信頼性」は、これまでのH-IIAロケットでつちかった技術を受け継ぐとともに、新たな第1段エンジン(LE-9)の開発に数値シミュレーションを活用した新しい手法を取り入れることなどで実現します。
「柔軟なサービス」については、受注から打ち上げまでの期間を短くするとともに、年間の打ち上げ可能機数を増やすことで、「打ち上げたい」という顧客の声に素早く応えます。そのために、ロケット組み立て工程や、衛星のロケット搭載などの射場整備期間も、H-IIAロケットから大幅に短縮します。

これまでのロケット技術を集大成し、日本が持つさまざまな分野の技術を融合することで、H3ロケットを「世界中の人たちが使いたくなるロケット」にしていきます。

※H3ロケットの1段エンジンは2基・3基から、固体ロケットブースタは0本・2本・4本から選択可能。

日本の液体ロケット開発の系譜。H3ロケットは、蓄積された技術の集大成

どうして今、新型ロケットの開発が必要なの?

2001年8月29日
H-IIA試験機1号機打ち上げ

2014年5月24日
H-IIA24号機(「だいち2号」搭載)打ち上げ

現在運用中のH-IIAロケットは1996年から開発が始まり、試験機1号機が打ち上げられたのは2001年です。以来30機近くの運用経験と高い信頼性を積み上げてきました。
その一方、ロケットの新規開発から長い時間が経ったことで、今世界で主流になっている「人工衛星のサイズ」や「打ち上げ価格」とずれてきているとともに、開発を経験した技術者の年齢が高くなって日本のロケット開発技術の伝承が危ぶまれるなど、いくつかの課題をかかえています。

そこで、日本がこれからも自力でロケットを打ち上げられるよう、また、世界中の人から「使いたいロケット」として求められるよう、2020年度の試験機1号機の打ち上げに向け、2014年度より開発を行っています。