ラジオ日本で『ディープな宇宙をつまみぐい』放送

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番組パーソナリティを務めた藤平(左)と畠中(右)

JAXA研究者のリアルな声を届ける

ラジオ日本で
『ディープな宇宙をつまみぐい』放送

JAXA職員がパーソナリティを務めるラジオ番組、
ラジオ日本『ディープな宇宙をつまみぐい スウィング・バイ!』が
2023年10月から12月にわたって放送された。
研究開発部門の研究者たちをゲストにディープな話を繰り広げるこの番組の
パーソナリティを務めたのは、藤平耕一と畠中龍太。
ふたりに番組の内容や狙いなどを聞いた。

JAXAの研究者たちにスポットライトを

パーソナリティをJAXA職員が務めるラジオ番組、ラジオ日本『ディープな宇宙をつまみぐい』がスタートしたのは、今から8年前、2015年のことだ。そこから2019年に第2弾の『ディープな宇宙をつまみぐい フル・チャージ!』が放送され、そして今回、2023年には第3弾『ディープな宇宙をつまみぐい スウィング・バイ!』が放送された。(現在、各種ポッドキャストで配信中)

第3弾『ディープな宇宙をつまみぐい スウィング・バイ!』番組トップ画像
第3弾『ディープな宇宙をつまみぐい スウィング・バイ!』番組トップ画像

第1弾からパーソナリティを務めてきた藤平耕一と畠中龍太が、このラジオのコンセプトを語る。

「スタートした当初から、ラジオのコンセプトは変わっていません。今、JAXAではどんな研究が進められているかを知ってもらうこと。さらに研究者自身がそれを語ることで、日ごろスポットライトを浴びることがない地道な研究を粘り強く続ける彼らの姿を感じていただくことを大切にしています」

ラジオの内容は、毎回テーマごとに取り組む研究者をゲストに呼び、その内容を語ってもらう『宇宙、ディープ&ディープ』を中心に、宇宙分野やJAXAの専門用語を紹介する『宇宙どっちどっち』、宇宙に関する豆知識を紹介する『宇宙まめしらせ』、研究者と共に歩む文系スタッフの仕事を紹介する『宇宙バディ太鼓』などで構成。約30分間、宇宙にまつわる内容をディープに語りつくしていく。

これまでもJAXAの研究者がラジオなどに出演することはあったが、「ゲストで登場し、研究内容を噛み砕いて分かりやすく解説する」といったものが多かった。しかし、『ディープな宇宙をつまみぐい』では、「研究内容を噛み砕いて分かりやすく解説する」ことよりも「研究者本人が、深く熱く研究内容を語る」ことに重点を置いている。

「JAXAには、宇宙開発を支え、将来に向けた研究開発を地道に続けるエンジニアや研究者が数多く所属し、自らの研究に情熱をもって力を注いでいます。そんな彼らの生の声を届けたい」というJAXAの想いと、ラジオ日本の、従来とは全く異なる「深夜のエンターテインメント教養番組として、日本の宇宙技術に焦点を当て、専門技術に関心の高い層をターゲットに紹介していく番組を制作したい」という想いが一致して、この番組が生まれた。

JAXA職員×JAXA職員だからこそできる、深掘りの面白さ

この番組の大きな特徴は、JAXA職員がパーソナリティを務めていることだ。ラジオ内の言葉を借りれば、「パーソナリティはA系、B系を担当するふたり。不測の事態に見舞われてもしっかりとミッションを遂行できるよう、宇宙業界で言う『冗長系』(ミッションを遂行する上で重要な機能が失われた場合でも、リカバリーできる体制)を組んでいる」のだ。

A系パーソナリティである藤平は、現在は新事業促進部で民間企業と宇宙開発をつなぐ仕事をしているが、以前は研究開発部門で人工衛星の開発・運用に従事していた。そして、B系パーソナリティの畠中は、現在も宇宙機(人工衛星や探査機)の熱技術の研究をメインとし、新しい熱制御技術の実現に取り組む研究者だ。

「私たちのようなJAXA職員がパーソナリティになって、同僚であるJAXA職員の話を聞くことでより深く研究内容を聞き出すことができ、ゲスト自身も、研究にどんな意味があるのか、どこが難しいのか、何を目指しているのかなどを、自由に熱く語ることができます。その熱量をリスナーには知ってほしいと思っています」

畠中はそう語り、「それゆえに内容がかなり専門的で理解しづらいこともある」と続けた。確かに、番組内では専門用語が飛び交い、詳しい解説などをしないままに会話が進んでいくことも多々ある。

「専門用語を使わないで研究内容を解説することは難しいのです。分かりやすく説明し始めると、その解説だけで30分のラジオ番組が終わってしまう......。だからこそ、専門用語はどんどん使いますが、放送後に番組HPに『Deep Words』として紹介されています。興味を持った人は調べてみてください、というスタンスですね。詳細は理解できなくても、研究者の熱い語りに面白みを感じてくださる方も多いです」

その面白さから宇宙に興味を持ち、身近に感じてくれるようになればうれしいと、藤平は語る。

ラジオのメインコーナーである『宇宙、ディープ&ディープ』のテーマは、「JAXA内の旬な研究」を軸に選定するため非常に幅広い。例えば第3弾で取り上げたのは「ナノブリッジFPGA」「デブリ捕獲技術」「ライダー技術」「宇宙のAI技術」「生命維持技術」など。

テーマを羅列するだけでもそのディープさが分かるが、これまでの放送に対し、リスナーからは「専門的すぎると、素人にも面白く感じる」「技術の最先端に触れられる番組に刺激を受けている」「宇宙を身近に感じるようになった」などのコメントが多数寄せられた。また、リスナーは当初想定していた「専門技術に関心の高い層」のみならず、宇宙技術にこれまで触れたことのない層にも広がっていった。

各収録の様子。毎回さまざまなゲストを招いてディープな話題を繰り広げる
各収録の様子。毎回さまざまなゲストを招いてディープな話題を繰り広げた

新たな宇宙プレイヤーや、研究者同士に刺激を与えるラジオに

第3弾『ディープな宇宙をつまみぐい スウィング・バイ!』の放送も好評に終わり、いつの日か第4弾が放送される日も来るのかもしれない。そんな未来に向けての意気込みをふたりに聞いた。

「JAXAの研究、研究者の姿を知ってもらいたい、という想いでスタートしたラジオですが、徐々にリスナーの層が変わってきたと感じています。スタート当初は、普段からラジオを聴く一般リスナーの方や、宇宙に興味がある方がよく聴いてくれていました。しかし、回を重ねるごとに、より深く宇宙のことを知りたい方、宇宙に興味のある学生の方、また、宇宙産業に進出した企業の方なども勉強のために聴いていてくれたようで、たくさんの反響をいただきました。もし第4弾が実現したらそういった方々にさらに、宇宙を身近で面白いと感じていただけるような内容をお届けしたいですね」

そう藤平は語り、「8年前と比べると、宇宙産業に関するプレイヤーが増えてきたことを肌で感じているからこそ、さらなるプレイヤーの増加、宇宙産業の拡大に少しでも貢献できればとも思っています」と続けた。

また、畠中は「普段研究者として仕事をしていても、違う分野の研究者に話を聞く機会は実はそれほど多くありません。自分自身も楽しんで他の方の研究の話を聞いているので、その楽しさがリスナーに伝わるようなラジオにしていきたいと思います」と語る。

「同じ研究者として、ゲストの話はとても興味深いですし、聞いていて楽しいです。でも実は、自分の研究がここで取り上げられるまでの成果を残せていない悔しさもあって......(苦笑)。早く成果を出してラジオにゲストとして登場し、藤平さんにディープな話を聞き出してほしい。それも目標にしていきたいですね」

JAXAの宇宙研究について、そして、地道な研究に取り組む研究者の熱い姿を広くリスナーに届けてきたラジオ番組は、JAXA内でも研究者に刺激を与える存在になっていた。
楽しみにしてくれているリスナーがいる限り、今後もまた、ラジオで「ディープな宇宙の話」が聴ける日がくるかもしれない。

※ラジオ日本『ディープな宇宙をつまみぐい スウィング・バイ!』は各種ポッドキャストで配信中(約1年間)です。詳細は番組公式HPをご確認ください

Profile

藤平 耕一

新事業促進部
事業開発グループ
藤平 耕一(ふじひら こういち)

埼玉県出身。共創型研究開発プログラム(J-SPARC)のプロデューサーとして、社内外のプレイヤーとの共創により、宇宙で使う/宇宙を使う/宇宙も使う事業の創出をめざす。以前は、人工衛星の開発・運用に従事。趣味はアヒル(rubber duck)集め。

畠中 龍太

研究開発部門
第二研究ユニット
畠中 龍太(はたけなか りゅうた)

横浜出身。宇宙機プロジェクトの熱制御系開発や、将来に向けた熱制御技術(断熱、蓄熱等)の研究開発に従事。再突入カプセル向けに発案・開発した技術をベースにJAXA発ベンチャーを創業(兼業)。趣味は旅行。

取材・⽂:笠井美春  編集:武藤晶⼦

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