JAXAの求める人物像とキャリアパスとは
新卒採用サイトオープン
JAXAの求める人物像と
キャリアパスとは
2023年入社からの新卒採用サイトがオープンした。そこで今回は、JAXAの求める人材像や選考フロー、入社後のキャリア形成や最新の働き方、そして技術系の全分野を対象とした早期選考について、人事部の清水香菜恵に聞いた。
今、技術系の早期選考をする理由
JAXAでは次の新卒採用から、技術系の職種に限り早期選考を行う。その理由について、人事部の清水香菜恵はこう語る。
「昨年度、電気系分野に限り試験的に早期選考を実施した際、例年よりも応募数が増え、さらにこれまで接触できていなかった学生たちにも会うことができました。学生からも『電気系以外にも、早期選考を拡大してほしい』との声があり、技術系の全分野で行うことになりました。今回の早期選考が、選考スケジュールの関係でJAXAを視野に入れていない方にも興味を持っていただくきっかけになれたらと思います」
技術系職種には、人工衛星やロケットの開発・運用、宇宙環境利用、基盤的な技術研究、地球観測データ利用、民間企業等の協業による新事業創出などがあたり、JAXA職員の約70%が技術系に属している。宇宙航空分野の技術系と聞くと、入社試験から宇宙航空に関する専門知識が求められるというイメージが先行してしまうが、実はそうではないと清水は続ける。
「エントリーシート、書類選考、適性検査(WEBテスト)、一次から三次までの面接という、一般的な選考フローです。よく説明会などで、『特殊な試験はありますか?』『面接は英語ですか?』と聞かれることも多いのですが、選考内容もほかの企業と変わらないと思います。
技術系へのエントリーは、12月から募集が始まり一次締め切りは1月中旬、二次締め切りが2月中旬、3次締め切りが3月末を予定している。事務系に関しては例年通り、3月初めから末までのエントリーが決まっており、詳しいスケジュールは新卒採用サイトでアナウンスされる。
JAXAが求める人物像とは?
学生からの質問のなかで一番多いのが、「宇宙航空分野を専攻していなければエントリーできないのか」という質問だ。これに対し、清水はこう答える。
「宇宙航空分野を専攻していなくてもエントリー可能です。実際の新入職員を見ても、必ずしも宇宙航空分野を専攻していた人ばかりではありません。あと、英語についても心配の声が多いのですが、もちろん入った後に日常的に必要となる部門もありますが、英語がそれほど日常的に使われない部門もあります。入社後に助成制度を活用して、英会話教室に通う職員もいますよ」
JAXAが求める人材像について、「大きく3つある」と清水は話す。
「一番重要視しているのが『専門能力』。必ずしも宇宙航空分野に限ったものではなくても大丈夫です。実際に働く職員には、電気・電子、情報、機械、制御、材料、物理、化学、生物など、多様なバックグラウンドを有する職員がいて、各々が活躍できるフィールドがあります。JAXAに入ってから、みなさんの専門性をより高めていただきたいと考えています。次に『提案力』です。JAXAは宇宙航空を通して新たな価値を創造することを目指しているため、提案力を求めています。最後に求めるものが『主体性』です。宇宙航空分野は未知なことが多く、まだまだできることがたくさんあります。未知の領域を切り拓くため、課題解決のために、自ら主体的に動く力が重要と考えています」
この3つの力を求めるJAXA。採用の際に注目するポイントに、「入った後、軸となる専門能力を身につけて高めていけるかどうか」と清水は続ける。
「その素養があるかを確認するために、面接では、学生時代にどれだけ自身の専攻での学業や研究を頑張ってきたかに注目しています。学生の話を聞いていると、みなさんすごく勉強に打ち込んでいて、私自身感激することがたくさんあります。学業だけでなく、サークルなどの別軸にもバランス良く取り組んでいる方は魅力的ですね」
実際、JAXAの職員には「バンドを組んでいたり、トライアスロンに参加したり、オペラをやっていたり、趣味にも全力で取り組む人が多いかもしれません」と清水。このような選考フローや職場での働き方、雰囲気については、オンライン採用説明会でも紹介されている。
入社後のキャリアパス
JAXAの職員は、大きく技術系と事務系に分かれるが、それぞれに多様なキャリアパスがある。
「技術系職員は、学生時代の専門分野を考慮し、最初は技術力を磨く部署に配属されることが多くなります。それから5年くらいをかけて自分の専門を軸にしつつ、研究開発系かマネジメント系に分かれていきます。研究開発系は当該分野の専門家としてキャリアを重ねていきます。マネジメント系は、衛星やロケットのプロジェクトのマネジメントを中心に、一般管理部門と呼ばれる経営推進部や各部門の事業推進部などで機構全体、部門全体を見渡して事業をマネジメントする経験を積む人もいます。
一方で事務系職員は、7年くらいをかけて3部署をローテーションし、自身の進みたい方向性を見つけ、専門性を伸ばしていけるようになっています」
キャリアパス以外にも、ワークライフバランスも学生たちが気になる部分だが、JAXAでは「年々充実度が増している」と清水。
「学生のみなさんが気にするところでいうと『年休』があります。JAXAでは、有給20日間に加え、ワークライフバランス休暇といって、1年のなかで好きなタイミングで7日間の休暇を取得できます。また、最近は男性の育休取得についても質問がありますが、育休を取得している男性職員もいます」
また、2021年10月からは、テレワークとフレックスタイム勤務の条件も緩和された。
「テレワークに関しては、時間も場所も制限がなくなりました。また、フレックス勤務もコアタイム関係なくできるようになり、職員がより働きやすい制度へと見直されています。他にも、育休は3年間取得できますし、敷地内に保育園のある事業所もあります。女性が少ないと思われがちですが、昨年度の新入職員は女性の方が多いですし、ジェンダー関係なく活躍できる職場です」
最後に、JAXAの魅力について、清水はこう話す。
「JAXAは、世界各国の宇宙機関、国、企業や大学などと連携し、ハブとなって日本の宇宙航空の研究開発を推進する組織です。そのやりとりを通じて自分の見識が広げられる職場だと思っています。
宇宙航空と聞くと、どこか夢物語のようなイメージがあるかもしれません。でも、その夢を現実にできる職場がJAXAです。そう言うと限られた人にしか無理だと思われるかもしれませんが、繰り返しになりますがそんなことは全くありません。少しでも興味があれば、ぜひ新しくオープンした新卒採用サイトやオンライン説明会などを見てみてください。そして、エントリーをお待ちしています」
Profile
人事部
清水香菜恵
静岡県出身。新事業促進部、有人宇宙技術部門の広報を経て現職。最近の趣味はNetflix鑑賞。トレンドのコンテンツのパトロールを楽しんでいる。
取材・文:野村紀沙枝
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