宇宙というフロンティアで、人が「感じる」ことの意味

mv
筑波宇宙センターにある「きぼう」運用管制室。

宇宙というフロンティアで、
人が「感じる」ことの意味

コムアイ(アーティスト)

×

油井亀美也(宇宙飛行士)

国際宇宙ステーション(ISS)におよそ半年間滞在した経験を持つ宇宙飛行士・油井亀美也と、民俗学に興味を持ちアーティストとしてさまざまな土地で歌うコムアイさん。理性と感性を行き来しながら、宇宙の視座が人類にとって必要な意味を考えた。

13年ぶりの宇宙飛行士候補者の募集、
アーティストも宇宙へ行くべき理由

油井亀美也(左)とコムアイさん(右)

油井亀美也(左)とコムアイさん(右)

コムアイ

私がライブで歌う時に大事にしているのは、もちろん準備も必要ですが、瞬発力です。そして素直にやった結果として失敗しても、それもまたその場限りのものとして、オッケーとなるような気がします。その点が宇宙のミッションと一番違うところかなと思うんです。まず持久力が必須だろうし、精神的にもチーム内で摩擦が起きないように自分の心を鍛えておく必要もある。一つのミスも許されない状況なのだろうと想像してしまいます。

油井

ミスしてはいけないところは当然そうなんですが、やっぱり緊張し続けるのは無理なので、オン/オフのメリハリはあるんですね。厳しい訓練を一緒にして、仲良くなって、なんでも言い合える関係を地上で築いておく。すると仲がいい人同士が宇宙の厳しい環境に行くと、もっと仲良くなるんですよ。

コムアイ

スケールはまったく違いますが、それは山登りに行くと感じます。
この「きぼう」のモデルは、原寸大なんですか?

油井

はい。打ち上げる前に地上で同じモデルを作って検証したものです。

コムアイ

思ったよりも小さいですね。

油井

でも、この中にバスがすっぽり入るくらいのサイズなんですよ。国際宇宙ステーション(ISS)に関する質問で「閉鎖環境で息が詰まりませんか?」とよく聞かれますが、ISS全体では、おおよそジャンボジェット機と同じくらいの容積があるんです。そこに7人くらいしか滞在していないので、とても広くて余裕があるんです。
「宇宙で何かあったら」と考え出したら怖くなってしまうかもしれませんが、我々はどんな非常事態が起きても対処できるように訓練をずっと繰り返しているので、自信が出てくるんです。私は宇宙飛行士候補者に選ばれてから宇宙に行くまで6年ほど訓練してましたから、打ち上げの時には「早よしてくれ」と。「もう訓練できとるわい」という感じ(笑)。

宇宙ステーション試験棟にある「きぼう」のエンジニアリングモデル。

宇宙ステーション試験棟にある「きぼう」のエンジニアリングモデル。

為末大さん(左)と、金子グループ長(右)。
NASAジョンソン宇宙センターで船外活動訓練を行う油井宇宙飛行士。©JAXA/NASA

コムアイ

そうですか、本当に万端の状態でいくわけですね。

油井

コムアイさんは、コンサートのために6年間準備することないですよね。

コムアイ

ないですね(笑)。打ち上げからISSまでは、どのくらいかかるんですか?

油井

私の時は6時間。

コムアイ

えっ、短い。

油井

宇宙は遠いところと思われがちですが、意外とあっという間です。
ちなみにISSは、秒速8キロというすごいスピードで動いているんですね。そこに到達するためには、ISSが真上に来た時か、地球の反対側にいる時に打ち上げるんです。ここを理解するには理系の知識が結構、必要で。

コムアイ

軌道力学ですね。

油井

そうです。私も一から教えてもらいました(笑)。私はもともと自衛隊のパイロットだったのですが、軌道力学に基づく宇宙船の操縦と飛行機の操縦って全然違うんですね。飛行機の場合、前にいる別の飛行機に追いつこうと思ったら加速するんですよ。でも軌道力学的な宇宙船の操縦では前にいるISSに追いつこうとして加速したら、遠心力で外に振られる形で高度が上がってしまう。すると移動経路が長くなって逆に後ろに下がってしまうんです。

コムアイ

面白い!また違う考え方で捉えなおさないといけないんですね。私は文系脳で完璧に理解はできていないかもしれないけど、こういうお話は興味があります。

油井

今、文系という言葉がでましたが、今回の宇宙飛行士候補者の募集では「理系の大学を卒業していること」という要件がなくなりました。試験はありますが、理系の大学を卒業した人と同等レベルの理解があれば、別に卒業してなくてもいいわけです。

コムアイ

素晴らしいですね。独学の方もいらっしゃるでしょうし。私の周りでも、フリースクールだったり、家で勉強している子も多いです。公立学校のペースは合わなくても、みんな自然に勉強して、好きなことに熱中しているから、そうやって育ってきた人たちにも開かれていますね。

コムアイさん

油井

私は典型的な理系人間で、高校の時の国語の成績が10段階で3。要は落第寸前だったんですね(笑)。宇宙飛行士って、宇宙に行くと歴史に残るような素晴らしい発言をしますよね。でも、私はそういう言葉が出てこなくて(笑)。

コムアイ

いえいえ、油井さんのお話とても引き込まれます。

油井

だとしたら訓練の賜物です。コミュニーケション、メディアトレーニング、メールの書き方まで教えてもらいましたから。アメリカは実践的で、昼休みが終わって帰ってきたら、いきなりカメラが回ってて「NASAがこんなことを発表したんですが、どう思いますか?」って。

コムアイ

抜き打ちで。

油井

はい。その反応に対して、評価を受けるという。宇宙飛行士の発信はすごく重要なのだと思います。発信力や人に伝えるという力は、音楽や芸術にはかなわない。コムアイさんのような方が宇宙に行って、その体感を歌にしたら、きっと地上の人たちも感動して、宇宙に行ってみたいと思うのではないでしょうか。コムアイさんは、どんなことを感じるんだろう。私には才能がないから上手に言葉にできなかったけれど、宇宙をどうやって表現するんだろうと思うんですよね。そもそも歌っている時には、どんなことを考えているんですか?

画像

コムアイ

私はいろんな場所に行って、その土地に呼応して何かを生むということが多いんですね。自分がその情景の一部になって歌うというか。未練を残して亡くなった人がいればその物語に想いを寄せながら歌ったり。もっと言えば人間としての視線でもなく、例えばその場にある石や山や雲に同期させるように歌おうと努めることもあります。

油井

すごい。

コムアイ

目の前にある景色を見て、自分が鏡のようになって歌う感じでしょうか。考えているわけではないんです。でも歌う前には、心をきれいな状態にしておきたい。静かに、純粋な、この世で一番平和な瞬間のように。なかなか出来ないんですが。生きる喜びを先に存在させるというか......。それが音になっていく。音楽って、時間と空間を借りて、絵を描くような感じがするんです。そこにあるのは心だけで、声を発さずに空気が振動していなくても、届く。それが不思議です。

油井

宇宙って、まさに時と空間なんですよ。空気がないので音は伝わらないけれど、それでも何かが伝わるという感覚を持たれている人ならば、新たな可能性を感じますね。
実を言うと宇宙飛行士になるまでは、こういう感覚的な話は、よくわからなかったんですよ。パイロットの時には、機械相手で、あらゆることを数式で計算していく。このG(重力加速度)なら、この旋回速度で曲がれる、みたいな理詰めの世界。でも宇宙に行って、「感じる」という言葉の意味がよくわかるんです。

コムアイ

もしかしたら、現代に有人で宇宙に行く意味は、「感じる」ことにあるのかもしれませんね。

21年11月20日、岩手県遠野市で行われたイベント『遠野メグリトロゲ』にてパフォーマンスをした際のコムアイ
21年11月20日、岩手県遠野市で行われたイベント『遠野メグリトロゲ』にてパフォーマンスをした際のコムアイ ©Ryo Mitamura

山の力を蓄えた鹿、
宇宙で育ったレタス

画像

油井

コムアイさんの特技が「鹿の解体」と書いてある記事を見ました。

コムアイ

今はもうできないと思うんですけど、10年くらい前に教えてもらっていました。ファームステイをして、養豚や養鶏を見て、暮らし自体は楽しいなと思ったんですけど、動物が広いところを走れずにいて、しかもすごい量を食べるから、そのための餌を毎日集めなきゃいけないし、休めない。そう思った時に、鹿は山の中を走り回って、好きなものを食べているなと。増えすぎて「木の皮だけしか食べられない」みたいな状況もあるわけですけれども、その元気な山の力を鹿や猪の肉としていただくっていう方法がもう少し普及したらいいなと思ったんです。補助金のためだけに殺されて、食べ切れていない肉もある。私は食べてみたら鹿肉の血がみなぎるような味が好きだったから、鹿の解体をして、みんなに知ってもらおうという活動をしてました。
最初の入り口は畑だったんですが、油井さんは農家のご出身なんですよね?油井さんについて検索しようとお名前を入力すると、「レタス」って出てきて......。

油井

そうなんです(笑)。私はレタス農家の長男で、本来は農家を継がないといけなかったんですが、子どもの頃からずっと手伝っていたら、野菜も農家も嫌いになってしまって。自衛隊に入ってパイロットになって、宇宙飛行士になってしまった。

コムアイ

どんどん遠いところへ行きますね(笑)。

画像

油井

父も、私が自衛隊でテストパイロットをやっている時には「もしかしたら帰ってきてくれるかも」と思っていたみたいですが、さすがに「宇宙に行ったら諦めた」と言ってました(笑)。
でも宇宙に行ったからこそ、地球がかけがえのない故郷だということがよくわかるんです。宇宙に行ったからこそ、実家の農家の手伝いが、喜びになった。宇宙でもレタスを作って食べる機会があったんですね。本当に歴史的な瞬間で、ISSで初めてレタスを作って食べたんです。みんなで「乾杯」って言って「おいしい」って言いながら食べたんですけど、実はまずくて(笑)。ISSは二酸化炭素濃度も高くて、温度も一定で、電力を節約するために白色光ではなくて、葉っぱが反射する緑を取り除いたピンクの光を当てているんです。生育に必要と考えられている素晴らしい環境があって、すぐに育つけれども、野菜はまずい。

画像
ISSの中でレタスを持つ油井宇宙飛行士 ©JAXA/NASA

コムアイ

それ、不思議ですね。人間にはまだわかっていない要素があるんでしょうね。

油井

やっぱりストレスが必要だと聞きました。暑かったり寒かったり、虫がかじっていたり。

コムアイ

雪に埋もれたニンジンが甘くなるように。そうか、それは人間と一緒ですね。

油井

まさに。苦労した方が、味があるんです。

宇宙開発に対する問い、
宇宙に出るからこその希望

画像

コムアイ

私は民俗学に興味があり、古代に置き換えて考えがちなのですが、外に展示されている巨大なロケットを拝見して、オベリスクや縄文時代の石棒信仰などを思い出しました。それらは威厳を示したり、生命力や活力の象徴するものだったと推測するのですが、ロケットも、「自分たちが暮らすエリアをさらに外へ広げたい」という原始的な開拓心のようなもの、いずれもマスキュリンなエネルギーの象徴に感じます。もちろん機能的に突き詰められた結果の形だということはわかっているのですが、巨大なこれをつくりたい、空に向かって立てたいという動機は、人間の感覚的なところからきているような気がしました。
実は、私は宇宙に対して夢を持ちつつも、宇宙開発自体には少し冷静な気持ちもあるんです。気候変動に対して切実な危機感を持ってからです。ビル・ゲイツが「地球の問題を解決するので忙しいのに、君たちは何をしているんだ」という趣旨の発言を他のミリオネアたちの進めている民間の宇宙飛行に関してしていましたが、私も共感する部分があります。今までは、それこそJAXAのように国ごとの研究機関が担っていた宇宙開発を、グローバルな民間企業が行っていくようになると、法律で取り締まれなかったり、莫大な地球資源を消費してしまったりする。

油井

私自身は、もっと遠くへ行きたいという欲求は、実はいいことだと思っています。やっぱり人間にはフロンティアが必要で、フロンティアがあると思えばこそ、この世界は素晴らしい場所だとポジティブな考えになっていく。経済もうまく回るし、将来に明るい希望を見出せるんじゃないかなと思うんです。
けしからん話ですが、宇宙に行く前は地球は大きいし空気も水もたくさんあるから、多少汚しても大丈夫じゃないかと思っていました。でも宇宙から地球を見た時に、大気ってほとんど見えるか見えないかの薄い層なんですよ。空気はこれしかないの?と。

油井宇宙飛行士がISSから撮影した地球。空気の薄い層がみえる
油井宇宙飛行士がISSから撮影した地球。空気の薄い層がみえる ©JAXA/NASA

コムアイ

ああ、宇宙では空気が見えるんですね。

油井

暗黒の死の空間と生に満ち溢れている地球を隔てているその空気の層が、本当に薄いんです。これはちゃんとみんなで考えて守らないとダメだよねと率直に思ったんです。

コムアイ

フラジャイル(壊れやすい)な感じがしたんですね。

油井

はい。ではどうしたらいいんだろうと考えた時に、ISSは水も空気もリサイクルしているし、電気も太陽電池で発電していて、エコな技術を最大限に使っているんですね。

コムアイ

宇宙で使っている技術を地球に還元すればいいと。

油井

そう。要は環境問題でも何でも、課題に気がついて人類が協力をすれば、持っている技術で実現できるはずなんです。「宇宙から見ると国境は見えない」っていう言葉をこれまでの宇宙飛行士たちが言っていて、それはほとんど事実なんですが、実は夜に国境が見えることもあります。それは国境に壁を作って、夜になると光を当てて監視しているからです。
私は自衛官だったこともあって、余計に「こんな狭く小さなところで争って何をやっているのだろう」と思うんです。宇宙から見たら、そんなことをやっている場合ではないと、誰もが気がつくはずなんですよ。

コムアイ

直感的に感じますよね。

油井

私が宇宙に行った当時も、ロシアとアメリカの関係が緊張していた時期がありましたが、宇宙開発に関してはすごく協力していました。ISSでは、互いを尊重し、相手の母国語で話しかける場面をよく目にします。ロシア人はアメリカ人に英語で話しかけて、それを受けてアメリカ人がロシア語で答えたりするんですね。ISSでの相互理解の文化を地上に持ってくることができたら、おそらく地上のほとんどの問題は解決するでしょうね。それはやっぱり宇宙に出たからこそ、わかったこと。

帰還前の準備の一環で、ロシアのソコル宇宙服を着た油井宇宙飛行士(右)ら 。
帰還前の準備の一環で、ロシアのソコル宇宙服を着た油井宇宙飛行士(右)ら 。©JAXA/NASA

コムアイ

確かに、互いの国をどうするということの外側にある問題だし、共通のマターだから。本来、地球環境のこともそう。空気も水もみんなで共有しているものなのに。宇宙開発で結束や連帯をして、それが国交の正常化につながったら本当に素晴らしいですね。

油井

お互いにどちらが間違っているわけでもなく、ただ視点が違うというだけなんですよね。そんな話をISSでもしていて、だから仲良くやっていけるんです。

コムアイ

本当にリベラルでオープンで、地球市民っていう感じですね。

油井

まさに人類を代表している感覚があるんです。

すべての人が自由になれる、
愛すべき無重力の世界。

コムアイ

もしも私が宇宙飛行士になれたら、宇宙ゴミの回収がやってみたいんです。

油井

非常に大切ですね。宇宙ゴミはレーダーで捉えているので、ぶつかりそうになったらあらかじめISSの軌道を変えるんです。小さなものまで含めると宇宙ゴミは何十万、何百万とある。低い軌道のものは比較的早く落ちて燃え尽きるんですが、高い軌道に上げてしまうと落ちてくるまでに時間がかかりますから。

地球の周りにある宇宙ゴミのイメージ
地球の周りにある宇宙ゴミのイメージ

コムアイ

宇宙に行くことが一般的になってくると、いよいよ目を向けなきゃいけなくなってきますね。

油井

そうですね、秒速8キロとか、すごいスピードなので、本当に危険なんです。

コムアイ

どうやったら回収できるんでしょう?

油井

大きいものであれば宇宙ゴミを捕獲する人工衛星でキャッチして一緒に落としたり、今まさに掃除しなければという機運が高まってます。でも人類のすごいところは、課題として認識すると協力をして解決できるところ。協力すれば、ですけどね。いがみ合わずに、協力すれば解決できる。それは地上の環境問題でも同じですね。

コムアイ

本当ですね。実はとても単純な話なんですよね。

油井

そう、能力はあるんです。もしも私たちの世代ではできなくとも、次の世代にその成果を申し送れば必ずどこかで解決できる。そのためには互いを知って、それぞれが正しいという感覚が必要で、そのためには芸術の力が有効なんじゃないかな。

コムアイと、ミュージシャンのオオルタイチによるプロジェクト「YAKUSHIMA TREASURE」。そのパフォーマンスをインタラクティブな映像作品としてオンライン配信する「YAKUSHIMA TREASURE ANOTHER LIVE from YAKUSHIMA」が始まっている。
コムアイと、ミュージシャンのオオルタイチによるプロジェクト「YAKUSHIMA TREASURE」。そのパフォーマンスをインタラクティブな映像作品としてオンライン配信する「YAKUSHIMA TREASURE ANOTHER LIVE from YAKUSHIMA」が始まっている。

コムアイ

音楽では、相手を否定せずに感覚を表現することができる気がします。

油井

人間の潜在能力ってすごいなと思うんです。宇宙でも、すごい勢いで体も脳も適応していくんですね。

コムアイ

脳も変わっていくんですか?

油井

空間を3次元でしっかり使って行動できるようになるんです。重力がないことに最初はすごく戸惑うし、嫌な感じなんです。だから必ず何かに掴まって、自分を止めようとするし、足を地球の方向に向けようとする。でも、それがどんどん自由になっていく。

ISSでスーパーヒーローの真似をする油井宇宙飛行士
ISSでスーパーヒーローの真似をする油井宇宙飛行士 ©JAXA/NASA

コムアイ

すごい!面白いなあ。逆に帰ってきて地球に慣れる時はどうでしたか?

油井

また戸惑うんです。でも、そこで暮らしていたわけですから、地球に慣れる方が、ずっと早かったですね。

コムアイ

脳も体も思い出すんだ。

油井

私は重さを完全に忘れていたので、「宇宙服を脱いでください」と言われて前傾姿勢になった時に、頭を支えるのを忘れていて、ボーンと倒れそうになりました(笑)。

コムアイ

前傾になったら頭が重力に引っ張られるのか。普段、そんなこと気にしてないですからね。無重力、楽そうですね。

油井

とても楽ですよ。寝ていてもすごく快適です。どこにも触れずに寝られる、最高のマットレス(笑)。

コムアイ

床ずれもしないですね。

油井

そう。もしも誰もが簡単に宇宙に行けるようになったら、たぶん寝たきりの人はいなくなる。例えば何か障害があったとしても、それが障害にならない世界。

コムアイ

愛すべき無重力の世界。

油井

その感覚は、きっとコムアイさんのような芸術家の創作にも影響あって、まったく違う脳の部分が活性化されて、新しい歌や絵画が生まれるんだろうなと思うんです。だからぜひ、宇宙に行ってみてください。

Profile

画像

アーティスト
コムアイ KOM_I

神奈川県出身。ホームパーティで勧誘を受けて加入した「水曜日のカンパネラ」のボーカルとして、国内だけでなく世界中のフェスに出演、ツアーを廻る。2021年9月に脱退。2019年、オオルタイチと屋久島でのフィールドワークをもとに制作した音源「YAKUSHIMA TREASURE」をリリース、公演を重ねる。現在はオオルタイチと熊野に通い、新作を準備中。

有人宇宙技術部門
宇宙飛行士運用技術ユニット
宇宙飛行士グループ 宇宙飛行士
油井亀美也 YUI Kimiya

長野県出身。宇宙飛行士グループ長として、宇宙飛行士の業務分担や職務環境の改善などのマネージメント業務にあたる。多趣味で、さまざまな新しいことにチャレンジしてみることが多い。現在は、飛行士訓練で学んだ地質学に興味を持ち、趣味として勉強中。

写 真:原田数正
取材・文:村岡俊也
ヘアメイク(コムアイ):TORI.

PAGE TOP