宇宙を身近に感じるイベント
JAXA TIMES 広報部
宇宙をもっと身近に感じる
授業&工作イベントを開催
色のしくみや地球観測衛星「しきさい」の役割を学ぶ授業と、簡易分光器を作り観察するという2本立てで行われた夏休みの子ども向けイベント。
時には真剣に、時にはにぎやかに。保護者も一緒になって楽しんだ当日の様子をレポートする。
「しきさい」の役割は地球の"健康診断"
2019年8月21日、小学3年生〜6年生を対象とした「JAXA夏休みこども"宇宙"研究~虹を作って地球観測センサを知ろう~」が開催された。会場となったのは、JAXA東京事務所にあるプレゼンテーションルーム。ふだんはJAXAの記者会見する際に会場として使われている場所だ。
企画と当日のスタッフを担当した広報部の服部桃子は、「東京事務所は、23区内に住まわれている方にとって便利な立地にありますが、一般の方をお招きする機会がほとんどありませんでした」と言う。「まずは夏休みの時期に自由研究のヒントになるイベントを行うことで、特に東京事務所近隣にお住まいの、今までJAXAにあまり関心がなかった方に宇宙のおもしろさを伝えるきっかけになればと思いました」
イベントのテーマは「"色"を知り、地球観測衛星を知る」こと。この日に3回開催され、各回、24名の子どもたちとその保護者が参加した。前半はプロジェクトに携わっているJAXA職員が講師を務め、「『しきさい』がとらえた地球の姿と、光の波長の違いを活かした観測の仕組みについて」と題した講義が行われた。
光には、目に見える光(可視光線)と目に見えない光(近赤外線など)があること、しきさいが19色の光を観測することで地球の「健康診断」をしていることなどを解説。参加者たちは学んだことを熱心にノートに書き留めていく。講義のなかでは、いくつかのクイズも。たとえば「しきさい」の観測データが世界地図上のどこを写したものであるのかを聞くと、すぐに手が上がり見事正解!思いがけない子どもたちの知識量の多さに驚かされた。
手作りの装置で虹を観測しよう
後半は、特製のキットを使って簡易分光器を作る工作タイム。講義で学んだ光や色のしくみをより深く知ることができる。参加者たちはみんな、マスキングテープやのりを使って器用に作業を進め、あっというまに分光器が完成した。
黒い筒状の分光器は片側にスリットが入っており、反対側から覗くと分光によって「虹」が見えるしくみだ。
会場内を自由に動き回って分光器を覗く子どもたち。分光器の中に見える虹の色調は、かざす光の色、たとえば赤色を表示したモニターと青色を表示したモニターでは違って見える。その違いを色鉛筆を使ってワークシートにスケッチし、まわりの参加者との色の見え方の違いを見比べるシーンも見られた。
保護者も一緒になって分光器を覗き、会場はにぎやかな雰囲気に包まれた。最後は記者会見のように壇上に並び、記念撮影。少し照れながらも、満足そうに笑う子どもたちの姿が印象的だった。
こうして1時間半ほどのイベントは終了。服部は、「好奇心旺盛な子どもたちがたくさん集まってくれて、活気あるイベントになりました」と話す。
「『なぜ?』という疑問や、『こうしたらうまくいった!』という工夫の声が多く上がったのが印象的でした。私自身も、子どもたちと話をするなかで宇宙のおもしろさをあらためて感じることができました。また、保護者の方々からも多数のご質問をいただけたことも印象的です。私は、宇宙に対する好奇心は飽きることのないものだと思っているので、子どもたちだけでなくより多くの方々に宇宙をより身近に感じていただける機会を、これからも提供できればと思っています」
保護者から「小さな子供がいるので、筑波や調布は少し遠くて行けなかった。東京で開催されたので来ることができた」という声も寄せられ、「東京事務所でイベントを行う意義を感じられた」と服部。
今後も宇宙、そしてJAXAを身近に感じ、もっとよく知ってもらえるイベントを開催予定だ。
Profile
服部桃子 Hattori Momoko
埼玉県出身。種子島にてロケット打上げ時の広報やイベント運営業務を担当した後、現職。前職では作業着で現場を走り回っていたが、現在の主な担当は、事業進捗管理、予算管理などのデスクワークが多く、今回が久しぶりのイベント運営。趣味はトライアスロン。
取材・文:平林理奈