第8回 雨雲
世界でただひとつの雨雲スキャンレーダ「DPR」を搭載したGPM主衛星の打ち上げがいよいよ来週に迫ってきました。今月は話題の「南岸低気圧」が幅を利かせてくれたせいで全国各地で大変な大雪に見舞われましたが、こうした降雨、降雪の気まぐれなメカニズムを解き明かすのがDPRの使命です。
ということで今回は「雨雲」をお題にします。あくまで「宙川柳」ですので、俳句のような風情を狙うのではなく宇宙から地球を見る、という視点からひねりの利いた作品をお待ちしています。
募集期間:2014年2月20日~3月20日
発表日:2014年4月7日
「雨雲スキャン」という言葉が皆様の想像力をかきたてるのか、実に川柳らしいおかしみにあふれた投稿が相次ぎましたが、編集部では熟考の結果、以下の10作品を選定いたしました。
入選作品
- 台風の目と 宇宙の目とが にらみ合い
- 駄馬
- 「読む」ことが 大事空気も 雨雲も
- ふみ
- 雨雲が 暮らしに生きる 宙スキャン
- 上の空
- 雨乞いは 衛星データ 見た後で
- 千葉さざんか
- スキャンして ほしい女房の 低気圧
- らくちゃん
- 雲の下 恵みの雨か 災いか
- よったんぼうや
- 衛星が 雨雲知らせ 救う国
- ちょいまる親父
- 雨雲に 相合傘の 願を懸け
- ふうたん
- 雨雲が 在るから見える ものも在る
- tomos1876
- 雨雲の 機嫌見透かす GPM
- 陽香
台風内部の雨の様子をもらさず伝えるのがDPRですね。
先を見通して適切な対応をとる。これ人生の教訓なり。
スキャンしたデータは洪水の予報・警報などに役立てられます。
激変する地球環境ではもはや神頼みだけで雨は降ってこない?!
低気圧が発達しないで太平洋上に抜けることをお祈りしています。
慈雨にもなるし、災害のもとにもなる。雨との付き合い方は慎重に。
流域の広い河川を持つ国では治水はとても重要ですね。
雨が降ってもいいことありますよね、きっと。
雨雲の様子を立体的にとらえることで降雨の仕組みがより明らかに。
強い雨なのか弱い雨なのか。立体スキャンでたちどころに判明!
ソラセン大賞
- 雨雲と 明日のデート 相談中
- もこもこ
今回ご投稿いただいた句は、男性から奥様のご機嫌スキャン要望を表現したものが多かったように思います。キーメッセージは「嫁さんを、味方にせよ。」? 思い当たる皆様、どうかこの句で初期運用中の気持ちを思い返してみてください。(編集長 machiko)
世界の雨分布を準リアルタイムで見てみよう!
「GPM計画」は今回打ち上げられたGPM主衛星を中心に世界各国の地球観測衛星が協力して時間の経過に伴って大きく変動する雨の振る舞いを宇宙から見極めようという壮大な試みです。
これに先立って、JAXAでは地球軌道上にある各国の衛星からデータを収集し、地球全体の降雨量を示す「衛星全球降水マップ(GSMap)」をGPM計画のためのプロトタイプとして既に運用しています。
今回打ち上げられたGPM主衛星のデータが基準値となってこのGSMaPの運用も本格化されるため、人工衛星による降水観測が観測領域の拡大、観測頻度の増大、観測精度の向上など様々な分野で今後飛躍的に高まることが期待されています。
この「衛星全球降水マップ(GSMap)」は「世界の雨分布速報」と銘打って一般の方にもご覧いただけるようになっています。関東地方はあいにくの雨模様ですが、ほぼリアルタイム(観測から約4時間遅れ)で1時間ごとに複数の衛星データを元に更新されていますので、この機会にぜひご覧ください。