第7回 宇宙船
国際宇宙ステーション(ISS)は人類にとって初めての「国境のない場所」で、米国、日本、カナダ、欧州各国、ロシアの計15ヶ国が協力して作り上げた巨大な有人宇宙船です。
2014年に若田宇宙飛行士は日本人初のISS船長に就任します。「和の心」でクルーをまとめ、ISSのかじ取りを任されることになった若田宇宙飛行士へのエールを込めて、今回のテーマは「宇宙船」としました。
人類が宇宙の大海原に漕ぎ出す第一歩を踏み出したと後世に語り継がれるであろうISSをモチーフに月や火星、その先の宇宙へ思いを馳せて素敵な一句をお寄せいただけると幸いです。
募集期間:2013年11月20日~12月25日
発表日:2014年1月20日
「宇宙船」という言葉は想像力を様々にかきたてるのか実にバラエティに富んだ投稿が相次ぎました。編集部では川柳ならではのおかしみが込められた句を中心に以下の10作品を選定いたしました。
入選作品
- カルタ取り 「う」は宇宙船の 「う」と覚え
- かぐや姫
- 行き先は 希望と告げる 宇宙船
- 汐海 岬
- 宇宙船 50年後は 無抽選
- まこっちゃん
- 夢画夢宙 クレヨンで描く 孫の船
- トライ明日論
- ISS 内燃機関は 和の心
- そらぽこ
- きぼうから 再度再三 初日の出
- ばいなりい
- 日本人 初の船長 ワカッタか
- よったんぼうや
- 「きぼう」なら 願い3回 言えるかも
- wish upon the KIBOU
- 宇宙船 幾多の星への 始発駅
- 氷川の杜
- 宇宙船 15か国の シェアハウス
- 希望の星
カルタの題材になるくらい、一般の人が宇宙船に乗れる時代が早く来てほしいですね。
宇宙の大海原には「夢」や「探究心」をかきたてる未来への希望があふれています。
今でこそごくわずかな人にしかチャンスがありませんが、いつかこの目で宇宙を…。
三つ子の魂百まで。若田宇宙飛行士もたくさん宇宙船の絵を描いていたとか?!
ハードは電気で動けどもクルーを動かすにはこれが欠かせませんね。
一周90分で地球を周回するISSならでは。若田さんの書き初めは何度目の初日の出の頃でしょうね。
ピンポーン!(早押しボタンの音)「若田光一宇宙飛行士!」→「正解っ」
朝焼けの空を行くISSなら地上から1分近く見える時もあるので、たくさんお願いができますね。
ISSは人類が宇宙の大海原へ漕ぎ出すための序章なんですね~。いくぞ、月・火星!
ISSは国境のない開かれた場所です。ISSで生まれた成果は人類共有の財産ですね。
編集長が一番心惹かれた作品を選ぶ、「ソラセン大賞」には次の作品が選ばれました。選評と合わせてご紹介します。おめでとうございます!
ソラセン大賞
- ソユーズに 乗る夢追って ダイエット
- ぽん
お正月にごちそうをたくさん食べた人がドキッとする、季節感がある(?)川柳です。
調べてみるとソユーズの身長体重制限は「身長150cm~190cm以内 体重50~90kg」。乗船に向けてスリムアップ&ビルドアップ頑張りましょう。(編集長 machiko)
宇宙船の古今東西
今回のお題は「宇宙船」ですが、SF映画やアニメなどで架空の宇宙船をたくさんご存知のことと存じます。ところが「実際の宇宙船って一体どんなものがあるのだろう…?」と疑問に思われたことがあるのではないでしょうか?
ということで、今回は古今東西の宇宙船をご紹介します。
宇宙船は「カプセル型」と「宇宙往還機」の2種類に分かれます。「カプセル型」は打ち上げの都度、機体を使い捨てる前提で作られている宇宙船で、先日若田宇宙飛行士が搭乗したソユーズ宇宙船などがその代表です。
- ボストーク(旧ソ連)*世界初の有人宇宙飛行の偉業を達成したガガーリン搭乗
- ボスホート(旧ソ連)
- ソユーズ(旧ソ連~ロシア)*運用中。JAXA宇宙飛行士も搭乗。
- マーキュリー宇宙船(アメリカ)
- ジェミニ宇宙船(アメリカ)
- アポロ宇宙船(アメリカ)
- オリオン宇宙船(アメリカ)*現在開発中
- 神舟(中国)*運用中。ロシアの技術を導入して開発された。
スペースシャトルの登場でいったんは影が薄くなったカプセル型ですが、コストや信頼性の高さなどの点から再評価されており、アメリカはスペースシャトルの後継となるオリオン宇宙船ではカプセル型を採用しています。
「宇宙往還機」は地上と地球を周回する軌道上を繰り返し往復する宇宙船で、機体の一部の再使用を前提としており、人が搭乗する部分は翼を備えた設計とされることが多く、滑空して地上へ帰還します。ご存知スペースシャトルがその代表です。
- スペースシャトル(アメリカ)
- ブラン(旧ソ連~ロシア)*軌道周回試験飛行のみで計画休止
- スペースシップワン(アメリカ)スケールド・コンポジッツ社製
スペースシャトルは二度の事故による安全性への懸念、莫大な運用コスト等が問題視され現在は運用されていませんが、誰も気軽に宇宙へアクセスすることができるようになるには、再使用型の宇宙輸送システムの実現が不可欠です。
スペースシップワンは既に実験機による有人宇宙飛行に成功していますが、海外ではこのほかにもさまざまな宇宙船の研究・開発が民間主導で進んでいます。
「こうのとり」は宇宙船じゃないの?
「こうのとり」は国際宇宙ステーション(ISS)へ補給物資を運ぶための無人の宇宙機で、ソユーズ宇宙船のように人間を載せて打ち上げられるように作られていません。
但し、ISSへの船内補給品(実験ラック、飲料水、衣料など)が搭載される補給キャリア与圧部は、その内部が地上と同じ1気圧に保たれており、ISSに結合中はクルーが内部に乗り込んで荷降ろしできます。
JAXAではこの補給キャリア与圧部を大気圏再突入が可能な「回収機」に置き換えて、将来の有人宇宙船に必須の帰還・回収技術を実証しようという計画を検討しています。
回収機能付加型HTV(HTV-R)と呼ばれるこの計画、現在は研究から開発準備段階へ移行できるよう慎重に検討を進めているところですが、いつの日か日本人が日本独自の有人宇宙船に乗って旅立つ日が来るかも?! と思うと、胸の高鳴りが抑えられないですね…。