第3回 彗星

長い尾をひいて輝く彗星(すいせい)。その正体は、直径数kmの核と呼ばれる氷と岩のかたまりです。これが太陽に近づくと熱せられ、ガスや塵(ちり)が放出されて、核の周囲に「コマ」と呼ばれる大気をつくります。また、放出されたガスや塵は、太陽風に流されて「尾」を作ります。 さまざまな彗星が長い時間をかけて太陽系に近づいてきますが、2013年は3月にパンスターズ彗星、10月にアイソン彗星が太陽に最接近します。このうちパンスターズ彗星は地上から肉眼で見られるほど明るいと予想されています。悠久の彼方を旅する彗星との遭遇に思いをめぐらせて素敵な一句をお寄せいただけると幸いです。

募集期間:2013年2月1日~25日
発表日:2013年3月1日

今回は彗星の特徴をとらえつつも川柳ならではのひねりが利いているかどうかを基準に以下の10作品を選定いたしました。

入選作品

彗星と 呼ばれた俺も 窓際に
さごじょう
多すぎる 願いに彗星 一目散
策々
彗星を 待つ星 他にも有りますよう
たいちゃんバアバ
さようなら 次に会うのは 僕の孫
ながれやま
彗星の 正体知れば ロマン消え
石川照夫
宇宙では 箒は塵を 撒き散らす
宇宙悠々
彗星を 眺めて慧眼 なれるかな
しーた
彗星に 流星隕石 三兄弟
大槙櫻子
妻太陽 俺は彗星 ただ回る
だいちゃんZ!
太陽に 焦がれた魔女の ほうき星
白梅

JAXAクラブ(*)でおなじみのそらみちゃんが一番心惹かれた作品を選ぶ、「ソラミ賞」には次の作品が選ばれました。そらみちゃんの選評と合わせてご紹介します。おめでとうございます!

ソラミ賞

彗星よ 旅のお話 聞かせてよ
白梅

宇宙を駆け抜ける彗星。
私たちが見ることのできない世界をたくさん知っているんだろうな。壮大な宇宙に想いを馳せる素敵な一句だわ。(そらみ)

* JAXAクラブはファン!ファン!JAXA!の前身となるウェブサイトで、2013年に運用を終了しました。

宙川柳コラム

「彗星(すいせい)」と「流星(りゅうせい)」の違いって?

今回のテーマは「彗星(すいせい)」ですが、一部の作品を見てみると「流星(りゅうせい)」との区別があいまいなものも見られましたので、その違いについてご紹介します。

宇宙の小さなチリが地球の大気圏に入ると、大気を押す力で加熱(空力加熱)され、燃えて輝きます。これが「流星」です。「流れ星」とも呼ばれ、数秒もかからずに見えなくなることがほとんどで、いつどこにあらわれるかわからないタイプと、毎年決まった時期にたくさんあらわれる「流星群」があります。願掛けをする方はこちらですね。

流星群の元となるのが、太陽のまわりを回る「彗星」です。彗星の軌道には多くのチリが残されていて、その中を地球が通ると流星群になるのです。

彗星は、太陽に近づくとその影響を受けて“コマ”や“尾”ができます。尾が伸びている姿から「箒星(ほうきぼし)」とも呼ばれています。
また、地球に近づくときに一定期間地上から観測できる明るさになることもあり、流星のように一瞬で見えなくなるということはありません。

ちなみに流星のなかでも特別明るいものを「火球(かきゅう)」として区別しており、その火球のうち、大気の中で燃え切らずに地上に落ちてくるものを「隕石」と呼びます。
本日(*)、「ロシアに隕石が落下?」と報じられていますが、地球には毎年、大小様々な隕石が何千個も落ちてきています。
* 2013年2月15日