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宇宙実験室 08 - 彗星を作ってみた

彗星ってそもそも何?

まずは彗星について調べます。そもそも彗星って何でしょうか? そして何からできているんでしょう?

彗星というのは、太陽の周りを回る天体のうち、比較的小さく、主に氷と塵からなり、太陽に近づいて特徴的な尾を出す天体の事です。多くの物は数年から数百年の周期で太陽の周囲を回っていますが、一部の物は一度だけ太陽に近づいて二度と戻ってきません。また、アイソン彗星のように、太陽に近づきすぎて消えてしまうものもあります。

さて、彗星は何からできているんでしょうか?  
上にも書いたように、彗星は大半が水と塵からできています。約80%が氷です。次に多いのが凍った一酸化炭素や二酸化炭素。これらの表面に塵が降り積もっています。 彗星は『泥だらけの雪玉』と言われたりします。他にも、わずかながらアンモニアやメタン、エタン、メタノール、エタノ ール、シアン化水素、ホルムアルデヒドなどを含んでいます。さらにアミノ酸などの有機物も検出されています。
わお。全部そろえるのはちょっと大変そうです。シアン化水素やホルムアルデヒドは毒ですし…

レシピ紹介

水、ドライアイス(二酸化炭素)、ココアパウダー(塵の代わり)、リキュール(メタノール・エタノールの代わり)、スポーツ飲料のパウダー(アミノ酸の代わり)

というわけで、彗星のレシピはこんな感じです。
どうぜ全部はそろえられないので、なるべく簡単に手に入るもので似たような組み合わせを考えます。

あれ? なんだかおいしそうな組み合わせ...

早速作ってみます

その前に注意。ドライアイスを扱う時は乾いた軍手をしてください。マイナス80度なので素手で触ると大変なことになります。また、ドライアイスは液体にならずに 直接気体になります。二酸化炭素が大量に出て体積が大幅に増えるので絶対にガラス瓶やペットボトルなどの密閉容器の中で作ってはいけません。

まずは、かき氷器でドライアイスを削ります。ごりごりごりー。
つづいてビニール袋に入れたドライアイスに水を加えます。ドライアイスに触れると水がすぐに氷になりますね。すごーい。
さらにココアパウダーを振りかけて、リキュールとスポーツ飲料も忘れずに。なんだかお菓子みたいないい香りがしてきました。
でも、なかなかうまく固まってくれません。ドライアイスで凍った水を接着剤のように使いながら少しづつひとまとめにしていきます。もしかしたら本物の彗星もこうやってひとまとまりになっているのかも?

完成!

じゃーん、できました!
いかにも『泥だらけの雪玉』という感じです。
ごつごつして、あちこちから白い氷がのぞいて、想像以上にそれっぽいです。かっこいい!

じゃじゃーん

stop!&ohno

でも、ちょっと待って下さい。もし、こんなふうに本物の彗星が地球にぶつかったらどうなるんでしょうか? 博士たちの作った彗星はせいぜい拳2つ分ぐらい、中身も氷とドライアイスでスカスカです。でも本物の彗星は数百メートルから数キロメートルにもなります。そんなのがぶつかってきたら...

そんな心配をしていた博士たちは、とある噂を聞きつけました。日本に彗星や小惑星が地球にぶつからないか、日夜監視している施設があるらしい。
その名も「スペースガードセンター」
なにそれかっこいい。

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宇宙実験室ノート


彗星は『ほうき星』とも呼ばれるように、美しい尾がその特徴です。でもなぜ尾を出すのでしょうか? 


実は、彗星には2種類の尾があるんです。彗星を望遠鏡で写真に取ると、白っぽい尾と青っぽい尾の2本が見えます。

彗星

この2つの尾は少し角度が違います。実はこの角度の違いが世紀の発見を産みました。一つの彗星か ら2つの尾が出るということは、彗星に2つの力が働いているということになります。一方の力が働く物質と、もう一方の力が働く物質が違うということです。ダストテイルの方は太陽の重力と光の圧力 で説明ができます。でもイオンテイルの方は? イオンというのは電気を帯びた粒子ですから、なにか電気的な力が太陽から働いているに違いない。ドイツの科学者ビアマンは1951年に、この彗星の尾の観測から「太陽からわれわれの知らない何かが流れている」という説を発表しました。こうして発見されたのが、太陽から出る電気を帯びた粒子の風、太陽風です。

近年になって研究が進み、この太陽風と地球の磁場が相互作用を起こすことで、オーロラが起きたり、停電や人工衛星の不具合などが生じるなど、地球の環境や私たちの生活とも大きく関わっていることがわかってきました。今では、人工衛星で太陽風が常時観測され、太陽の変化をリアルタイムで捉え、その影響を予測する「宇宙天気予報」などにも役立てられています。こうした研究は、実はあの美しい彗星の尾から始まったんです。

[2014.7]