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H3ロケット4号機
ミッション概要
H3ロケットは、次世代の大型基幹ロケットです。日本が宇宙への輸送手段を持ち続けられるように、H-IIAロケットの後継機として開発されました。
4号機ではXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」をH3としては初となる静止トランスファー軌道へ投入します。機体形態はこれまでの1~3号機と同じ「H3-22S」です。LE-9エンジン(Type1A)2基、固体ロケットブースタ(SRB-3)2本、ショートフェアリングを使用します。また衛星分離後には、将来のロングコーストミッションを見据えたデータ取得を行う予定です。
機体形態
H3-22S
- ・フェアリング:
- ショート(S)
- ・LE-9エンジン:
- 2式
- ・固体ロケットブースタ(SRB-3):
- 2本
静止トランスファー軌道への投入
今回のペイロードは気象衛星や通信衛星と同様に「静止軌道」で活躍する人工衛星です。静止軌道は赤道上から約36,000㎞先にあり、この軌道上の衛星は地球の自転と同じ速度で移動するため、地球上のほぼ同じ場所を観測し続けることができます。地上から見ると常に衛星が「静止」しているように見えるため、「静止衛星」と呼ばれています。衛星は静止軌道に入る前に、ロケットによって「静止トランスファー軌道(GTO)」という途中の楕円軌道に投入されます。GTO投入後、衛星は自力で(つまり衛星自身の燃料を使い)静止軌道まで飛行します。
ロングコーストミッションを見据えたデータ取得
4号機では、搭載衛星の軌道投入後に将来のロングコーストミッションに見据えたデータ取得を行う予定です。現在、静止軌道へ衛星を投入する場合、H3ロケットの打上げ発射場がある「種子島」は赤道からやや高い緯度にあり28.5度の軌道傾斜角が付くため、赤道直下に打上げ射場がある場合に比べて、打上げ能力の観点でやや不利に働きます。
それを緩和するためロケットが宇宙空間を長時間飛行(ロングコースト)し、2段エンジンを着火(再々着火)することで、衛星を「静止軌道により近い軌道」まで運ぶことができるようになります。この場合、軌道傾斜角は約20度となり衛星が消費する燃料を低減することが出来ます。この技術はH-IIAロケットの「高度化プロジェクト」として開発された技術で、将来的にはH3でも適用するべく、今回必要なデータ取得をおこないます。