ERG衛星ペーパークラフトをつくろう!

2016年12月7日(水)

  • グッズ
  • 人工衛星・探査機
このエントリーをはてなブックマークに追加
ジオスペース探査衛星(ERG衛星)のペーパークラフトをつくろう!

ジオスペース探査衛星(ERG衛星)のペーパークラフトができました。
ERGプロジェクトのペーパークラフト開発担当者いわく、とても難しくなってしまいました…とのこと。それを聞いた編集部sugiが、腕に自信ありとチャレンジしてみました。
この記事では、作成しながら気づいた点などを紹介するとともに、sugiなりのアレンジを加え、完成までを紹介します。

まずは道具!

道具
ペーパークラフト
準備したもの

必要なもの
カッターナイフ、ハサミ、カッティングマット、ノリ(固形ノリと木工用ボンド速乾)、定規、キリ(今回sugiは爪楊枝で代用)

あると便利なもの

爪楊枝、デザインナイフ、両面テープ、マジック(黒・他)


印刷用紙のオススメ!

ペーパークラフト専用紙か、厚手のケント紙を使用しましょう。今回はペーパークラフト専用紙を使用しました。
なお、1ページ目は小さなパーツが多いので、可能であればすこし薄い紙にすると作りやすいと思います。

※注意事項

下記の範囲でご自由に印刷してご利用ください。

  • 非営利目的(料金の発生するものはお控えください)
  • 一切の改変禁止
    授業やワークショップ等の参加者に配布される場合は、JAXA特設サイトにあるものをご自身でダウンロードして使っていることをご明示ください。

バス部構体・ミッション部構体の組立

まずは手順通りバス部の組み立て。
このペーパークラフトは、衛星のバス部構体とミッション部構体で本体が分かれています。どちらも立方体なので、組み立ては余裕ですな!

切り抜き
方向注意

バス部、ミッション部ともに方向があります。
組み立てを進めていくと、どこがどの面かわからなくなることがあるので、写真やメモを取って確認できるようにしておこう。

立方体

よーし!秘技のりしろ剥がし! (「秘技のりしろ剥がし」とは、のりしろ部分を薄く剥がして接着をしやすくするとともに貼り合わせ部分の厚みを減らせる技術である!)

のりしろ
立方体組み立て

Check Point!!

山折りの箇所にカッターナイフを軽く当てて切っておくと折り曲げがしやすくなります。次のCheck Pointでも案内していますが「筋引き」と言います。
紙が折りやすくなるので仕上がりが良くなりますが、切り込みを入れた場合は切り口が目立ちます。また、あやまってパーツを切り離してしまわぬよう、注意して作業をしてください。

おっと!
箱型に接着する前に、三角形の穴を開けておかないといけませんでした。
接着前の仮り組みは必ずしましょう! 開けた穴にちゃんとパーツが通るのを確認するため、先に三角形の桁を作ります。この三角形の桁は、バス構体部に太陽電池パドル用2本、ミッション構体部にマスト用の1本があります。

あぶないあぶない。いきなり失敗するところだった。

パドル用の三角の軸

ロケット結合リングの取付

次はロケット結合リングの取付。ロケットと衛星をつなぐ台座である衛星分離部(Payload Attach Fitting: PAF)に結合する衛星側の部分ですね。
このパーツは出来上がったバス構体パーツに直接貼りつけるのですが、それだとのりしろ部分が目立つので、写真のようにバス部構体の接着箇所にのりしろが通るサイズの切り込みを入れて差し込み、バス部構体の中にのりしろ部分を隠してみることにしました。

意外と難しかった…けど、いい感じ!

差し込んだのりしろ
ロケット結合リング

よーし! ここまでは完成!

ロケット結合リングをつけた衛星本体部の完成

太陽電池パドルの組み立て

説明書通り、パドルの裏側のパーツに筋引きをします。
台紙から切り出した後だと筋引きをするガイドラインがなくなってしまうので、切り出す前にすること。
また、X面とY面でパドルの形が違うので、組み立て・接着の際に注意しよう! バス部のX面Y面のメモはここで活躍!

Check Point!!

筋引きとは、最初のCheck Pointと同じ要領で、カッターで軽く切込みを入れたり、刃のない方で凹みを入れたり、金属の棒(インクの無くなったボールペン)などで筋を付けることです。力加減に気をつけましょう!

筋引きしたパドルのパーツ
切りだしたパドルのパーツ

観測機器の取り付け

メーンイベント、観測機器の取り付けです。アンテナを入れると15パーツもあり、そのうち円柱状のものが10パーツもあります。秘技のりしろ剥がしを発動したために地獄を見ることに…一体いくつの三角形を剥がすのだろう…(あとでのりしろ部分を数えてみたら132箇所ありました)

マストの組み立て工程1

気を取り直して、まずはマスト部から。桁と同じ三角柱の長いパーツです。太陽電池パドルと同じく筋引きをしてから切り離しましょう。こういう長いパーツの接着は両面テープを使うと楽チンです。のりしろ部の幅にあわせて細く切った両面テープをはみ出ないようにのりしろに貼った後、剥離紙の端を少しだけ剥がして貼り合わせ、位置合わせをしながら剥離紙をゆっくり横から引き抜きながら貼り合わせていくときれいに仕上がると思います。

マストの組み立て工程2

マストの先は円柱状のパーツになっています。切り離す前は某国営テレビ局のキャラクタみたいなパーツです。ふむふむ。「フラックスゲート型磁気センサ」と「磁場サーチコイル」です。間違えないようにしましょう。(嘘です見分けつきません。)

円柱状のパーツを組み立てる際は、ペンなど円柱状のものに押し当てて、カールを付けてやると組み立てしやすいです。

フラックスゲート型磁気センサ
円柱状のパーツを組み立てる

スタースキャナを組み立てます。

ここで、限界なので告白します…。
今回、トナー式のプリンタを使用して印刷したのですが、紙を折り曲げるとトナーが剥がれ落ちてしまいます。トナー式はペーパークラフトには不向きです。
悪いことは言いません、インクジェット式をおすすめします。

…トナーが剥がれて白い線があちこちに出てしまい、すごいかっこわるい。こういう場合はペンで塗ってごまかします!
ごまかしも重要な技術なのです!

失敗! 白い線が
マジックでレタッチ

Check Point!

トナー式インクジェット式にかかわらず、筋引をしたときにできた切り込み線や折ったときの線や、組み立て後に見える切り口(断面)なども、パーツに合わせた色で着色すると仕上がりが良くなります。ペンや色鉛筆などを使って工夫してみてね。

なお、ミッション部構体に接着する観測機器には方向があります。バス部構体側を下として説明すると、中間エネルギーイオン質量分析器は下の写真の通り、白い部分がミッション部構体側で上を向く(※)よう接着してください。 中間エネルギー電子分析器と高エネルギー電子分析器は黒い色の部分が下向きになるようにつけましょう。
※ 当初、中間エネルギーイオン質量分析器を間違えて組み立てたと記述しておりましたが、正しい向きでした。失礼しました。

中間エネルギーイオン質量分析器
低エネルギーイオン質量分析器、中間エネルギー電子分析器、高エネルギー電子分析器

Sバンドアンテナの取り付け

Sバンドアンテナはとても細い円柱です。カーブを付ける場合は、太さの近い爪楊枝を使ったほうが良いでしょう。
アンテナ取付位置に穴を開け、差し込んで接着をしますが、すぐに取れてしまいそうで心もとないので、爪楊枝の長さを調整して軸にして接着しることにしました。
Sバンドアンテナの短い方(1と2)は、先端に円盤を載せるため、安定して接着できるように爪楊枝とアンテナの長さが合う(面が一致する)よう調整しました。

アンテナ
爪楊枝でカーブ
アンテナ取り付け工程1
アンテナ取り付け工程2
アンテナ取り付け工程3

完成?

観測機器等、全てのパーツを取り付けたら、バス構体部とミッション構体部を合体させて完成です! 接着の際、X面Y面に+とーがありますので向きを確認しましょう!

と、本来はここまでなのですが、手芸屋さんで使えそうなメタリックなシールシートをみつけて買っておいたので、一手間加えて(ディテールアップ)みることにしました。
ホントは太陽電池パドルに貼ろうと購入したのですが、思いの外分厚くて重量があるのと、形(シールは正方形でパドルは長方形)が合わなかったので、衛星本体の銀色(グレー)の部分に貼ってみることにしました。
お? かっこいいね。よーし! どんどん貼っちゃえー!

シールシート
シールシートカット
シールシート貼り付け

Check Point!!

説明書通りに組み立てないと組み上がらなくなるようなもの以外のパーツを後回しにしても問題はありません。全体を俯瞰しながら、自分なりに作りやすいように組み上げましょう。

こんどこそ完成!

ヤッター! 完成したー!(感涙)

ここまで1カ月ちょっとかかったのは内緒ですが…

完成1
完成2
完成3
完成4