“L+475” イオンエンジンの連続運転を本日の運用から開始!

2016年3月22日(火)

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L+475となりました。前回のL+からかなり間が空いてしまい申し訳ありません。

昨年の地球スイングバイから3カ月あまりがたち、「はやぶさ2」は安定した宇宙航行を続けています。

本日の運用より、「はやぶさ2」は、小惑星Ryuguへ向けたイオンエンジンンの連続運転を開始します。
イオンエンジンは日本時間の午後10時55分頃から運転予定です。

今回の運転時間は800時間程度を予定しています。
昨年実施した連続運転が一番長いもので409時間でしたので、かなり長期にわたる運転になります。
連続運転にはイオンエンジン4台の内のA,C,Dの3台を使います。

「はやぶさ2」イオンエンジン

800時間もイオンエンジンは動きっぱなしなの? と思われるかもしれません。
実際は、1週間に1回程度運転をお休みする予定です。この間に、次の週のイオンエンジン噴射方向に向くよう、探査機の姿勢を変えるのです。この毎週の姿勢を決めるために,運用では、「はやぶさ2」の正確な位置や速度を計算したり、イオンエンジンの性能評価を継続して行います。
 地球スイングバイのあと、1月中旬から、「はやぶさ2」は太陽から離れていくように飛んでいます。探査機の航行速度は、太陽から見た速度で表示するので(太陽相対速度)、太陽から離れると遅くなります。
 一度L+の中で出てきたことがありましたね。地上で真上にボールを投げ上げたときに、ボールの高さが高くなるにつれてボールの速さが遅くなっていくことと似ているという表現だったと思います。
 地球スイングバイ直後の「はやぶさ2」の速度は秒速約31.9km(太陽相対速度)でしたが、太陽から離れるにつれて少しずつ遅くなっています。もちろん、これを計算にいれた上での地球スイングバイでの加速でした。今日からはこれに、イオンエンジン運転による加速が加味されることになります。


<「はやぶさ2」航行ステータス>
2016年3月22日14時0分(日本時間) 現在

太陽からの距離 1億5,706万km
地球からの距離 2,836万km
赤経 -106.02度
赤緯 -52.60度
航行速度(対太陽) 30.01km/s

地球から見た「はやぶさ2」の方向

「はやぶさ2」と地球、太陽、小惑星Ryugu の位置関係(概略図)

はやぶさ2カウントアップレポート“L+(エルプラス)”とは―

打ち上げ後の経過時間を示す際、運用現場では「Launch(打ち上げ)」と「プラス○日」を組み合わせて「L+1(=エルプラスイチ)」と表現します(あくまでも一例ですが…)。
今後、「はやぶさ2」の航行ステータスなどをお伝えするにあたり、6年間という長いミッション期間での“時間経過”を皆さんと一緒に感じていきたいとの想いから、レポートタイトル名といたしました。
“L+”では、はやぶさ2広報担当者がミッション内容や運用状況にまつわるトピックスをお伝えしてまいります。