「ひとみ」クリティカル運用期間が終了!初期機能確認へ

2016年2月29日(月)

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X線天文衛星「ひとみ」のクリティカル運用期間* が終了し、初期機能確認期間に入りました。現在、衛星の状態は正常です。

* クリティカル運用期間とは、衛星がロケットから分離した後、最低限の運用ができるようにする重要な期間のことです。ロケットに搭載する時にはたたんでおいた各機器を広げたり、衛星が宇宙空間で一定の姿勢を保てるように制御したり、地上から衛星を追跡管制する設備の機能を確認したり……という作業を、24時間体制で実施していきます。

「ひとみ」はクリティカル運用期間に、主に次のことを行いました。

H-IIAロケット30号機から分離するX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)

・冷却システムの立ち上げ

2月17日の打ち上げ後、SXSの冷却システムを試験運用のため動作させ、2月22日に、絶対温度50ミリ度(摂氏マイナス273.1度)に到達したことを確認しました。

・軟X線分光検出器(SXS :Soft X-ray Spectrometer)の試験動作

「ひとみ」に搭載される冷却システムは日本で開発されました。多層の真空断熱容器(デュワー)、多段の冷凍機、液体ヘリウムなどを組み合わせ、コンパクトながら高い冷却性能を発揮します。

・伸展式光学ベンチ(EOB :Extensible Optical Bench)の伸展

図:「ひとみ」分離から観測開始までの「ひとみ」の様子。
打ち上げ後、太陽電池パドルを展開して、伸展式光学ベンチ(EOB)を伸展させます。



今後、「ひとみ」に搭載されている機器の初期機能確認を約1ヶ月半、その後キャリブレーション(較正)観測* を約1ヵ月半かけて実施する予定です。
ファーストライト(初画像)が今から待ち遠しいですね! 引き続きみなさまの応援をおねがいいたします。

* キャリブレーション(較正)観測とは、衛星に搭載された観測機器の個性を把握し、観測精度を高めるために、これまでによく観測されてきた天体などを観測することです。