「だいち2号」大涌谷の隆起を観測

2015年5月15日(金)

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2014年10月9日~2015年5月7日の観測データによる解析結果
大涌谷(おおわくだに)内の直径200メートル程度の非常に狭い範囲(丸印)で、最大6センチ程度隆起する地殻変動が見られました。画像提供:国土地理院

国土地理院は5月8日、神奈川県にある箱根山の大涌谷で、直径約200メートルの範囲が最大約6センチ隆起(陸地が周囲に対して高くもりあがる)したと発表しました。この解析は「だいち2号」の観測データをもとに行われました。

上の画像は2014年10月9日~2015年5月7日の観測データによる解析結果を示した図です。丸印の部分で、最大6センチ程度の隆起する地殻変動が見られました。この変動は、地下の浅い所での膨張をとらえている可能性がある、と考えられます。 なお、2014年12月12日~2015年4月17日の解析では、このような地殻変動は見られませんでした。

今回判明した隆起は、気象庁によって地表に設置された傾斜計で観測された山体の膨張傾向との合致が確認されました。気象庁では火口周辺警報(噴火警戒レベル2)を維持し、大涌谷に監視カメラを設置する等観測を強化しています。



地形の変化を電波で見る

「だいち2号」に搭載されているLバンド合成開口※レーダ(PALSAR-2)は、観測センサ自体からマイクロ波(電波)を発射し、反射されたマイクロ波の様子を観測する。この方法では、昼夜や天気に関係なく山や谷の凹凸(おうとつ)などを細かく調べることができます。

※マイクロ波を1度だけ発射するのではなく、地球の周りを飛びながら何度も連続して発射しその反射の変化を捉えることでより細かく地上の様子を知る技術

[動画] 人工衛星「だいち2号」の機能

もっと知りたい

  • 「だいち2号」はほかにどんな観測をしているの?

「だいち2号」は昨年9月の御嶽山噴火後、火口付近が最大10センチ程度隆起したことも観測しています。

また最近では、南米チリ南部のカルブコ火山噴火ネパール地震の観測も行っています。

  • 大涌谷ってどんなところ?

大涌谷は、約三千年前の箱根火山最後の爆発によってできた神山火口の爆裂跡。現在もあちこちから硫化水素を含む噴煙が上がっています。
※火口周辺警報(レベル2)により大涌谷を通るロープウェイや、そこへ繋がる道路は現在通行止めになっています。