おはようロゼッタ! 彗星探査機「ロゼッタ」冬眠から目覚める

2014年2月4日(火)

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2014年1月20日、欧州宇宙機関 (ESA) の彗星探査機「ロゼッタ」が無事冬眠から目覚め、今春に予定しているチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星観測の準備をはじめました。おめでとうございます!

ロゼッタは2004年3月2日に南米のギアナ宇宙センターから打ち上げられました。地球や火星の重力を使って加速を行うスウィングバイを何度か行い、小惑星の観測などを行った後、探査対象であるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に接近する軌道に入りました。ロゼッタが冬眠に入ったのは2011年6月8日、冬眠明けまで3年近くも眠っていたわけです。

探査機が冬眠? と思う人もいるかもしれませんね。ロゼッタはこの間、彗星の軌道にそって木星より遠くまで遠ざかっていました。そこでは、太陽からとても遠く、太陽電池を使っても充分な電力を生み出すことができません。そのため、消費電力を抑えるために、最低限の機能だけを残して殆どの機器を止めた状態で2年以上過ごしていたんです。そう、食料の少ない冬の間を眠って過ごす動物たちみたいに。

冬眠している間に動いていたのは、コンピューターと電池などを温めるヒーターだけ。じゃあ、どうやってロゼッタは目覚めたのか? 皆さんは朝起きるとき何を使いますか? そう目覚まし時計ですね。実はロゼッタも目覚まし時計を使ったんです。ただし、アラームが鳴ったのはおよそ2年半後。世界標準時2014年1月20日10:00ちょうどに目覚めたロゼッタは、そこから数時間かけて、自分で姿勢を確かめ、アンテナを地球に向け、通信を送ってきました「おはよう!」



ロゼッタからのあいさつが地球に届いたのはその45分後。緑色のグラフの真ん中が1か所ピコンと高くなっているのが分かるでしょうか。これがロゼッタのおはようです。




もちろん、ロゼッタの声を今か今かと待ちわびていた地球ではみんな大喜び。TwitterやFacebookでも世界中でおはようの声が溢れました。おはよう、ロゼッタ!

さて、目覚めたロゼッタがこれから観測するのは「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」です。彗星はご存知のように太陽に近づいて尾を出すのが特徴。主に氷や塵などからできています。彗星のことを「泥で汚れた雪だま」なんていう人もいます。ちょうどあんな感じだと考えられています。彗星が太陽に近づくと氷が溶け、塵などと一緒に宇宙空間に吹き出します。それが太陽の光に照らされて尾として見えるというわけです。

彗星は、はやぶさが向かった小惑星「イトカワ」などと同じように、これまであまり熱にさらされたり、大気の影響などを受けたりしておらず、太陽系が生まれた頃の状態をかなり残していると考えられています。こうした天体を「太陽系始原天体」と呼び、太陽系がどのように生まれたかを知る上でとても重要な目標です。

「はやぶさ」が向かったイトカワは主に岩などからなるS型と呼ばれる小惑星でした。2014年末に打ち上げ予定の「はやぶさ2」は炭素を多く含むC型の小惑星1999 JU3 に向かいます。そしてロゼッタが向かう氷と岩からなる彗星。このようにいろいろな性質を持つ天体を調べることで、太陽系の成り立ちをより詳しく調べることができるんです。

ロゼッタは2014年5月ごろ、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着、11月頃には着陸機「フィラエ」を彗星の表面に下ろします。彗星への着陸は世界初の挑戦です。その後、彗星とともに太陽に近づきながら、表面の様子や変化を詳しく観測することになります。楽しみですね。

(画像提供/出典:ESA - Jürgen Mai / ESA–J. Huart, 2013)

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追記: 公開時に冬眠期間を「3年以上」としていましたが、正確には冬眠期間は31ヶ月ですので3年は超えていません。大変失礼いたしました。