JAXAタウンミーティング

「第23回JAXAタウンミーティング」 in 阿南(平成20年1月26日開催)
会場で出された意見について



第二部「宇宙からさぐる宇宙」で出された意見



<日本独自の有人宇宙技術の獲得について>
参加者:有人技術を、日本で持つということは非常に重要だと思うんです。今、宇宙飛行士の募集はされてないと思うのですが、いずれ月面開発とかが進んでくると、そういう採用があって、宇宙飛行士を希望している人たちの夢が叶うかなというところもあるので、その為にも技術を確保していかなければいけないと思うんです。非常に予算の厳しい中、ISSに参加することで、技術を獲得していき、「きぼう」も間もなく打ち上がります。それから、H-IIBという強力なロケットやHTVという補給機というのものも開発されます。そうなるとスペースシャトルが打ち上げられなくなった後、そのあたりを組み合わせることで、お金さえあったら、日本も有人機を打ち上げられる技術は最終的に獲得できるのでしょうか。
間宮:宇宙開発のやり方というのがありまして、明確な目標、例えばアポロであれば1960年末までに人を月に送って無事に還すという、宇宙開発の目標からスタートするというわけですね。その目標を達成するにはどうしたらいいかということで、要素分解をするわけです。例えば月までどうやって行くんだとか、行った後、どうやって降りるんだとか。そこからどうやって還ってくるんだとか。その為にはロケットがいるなとか、月面着陸船がいるなとか、このコンポーネントをさらに部品レベルまで要素分解をした後に、各要素はどうしたらできるんだろう、どれぐらい時間がかかるんだろう。どれぐらい人員とかコストがかかるんだろということを考えるんですね。それがシステム工学ということで、事前に十分にそういう議論をして詰めて、後は今日やることを今日やる。明日やることを明日やって、最後に月に行くというのが、宇宙のやり方なんですね。そういうやり方を仕事の中にも入れようということで今考えていまして、例えば最後に月面に基地を作って、そこで意味のある活動をするというゴールを考えた時に、その為にはと、今考えているわけです。何十もリストが上がり、そのうちのこことここの部分は、国際宇宙ステーションに参画することによって得られる、という見通しを付けるわけです。そして残った所は何だろう、そこをどうやったらいいんだろうというふうに考えていくわけです。そういう作業をした後に段取りを組んで、着々と技術開発をしていくというのが我々の考え方でありやり方です。従って表に出る部分と、出ない部分はありますが、我々としては20年後をにらんで、そういう考え方で宇宙開発を進めようとしているし、一部はもう進めています。予算の制約があるので、少し時間がかかることはあるかと思いますけれども、そういうやり方でやっていくということです。

<はやぶさ2について>
参加者:今、「はやぶさ」が頑張っていますが、NASAの10分の1の予算でものすごい成果を上げて、アメリカのサイエンスにも取り上げられて非常に注目されています。「はやぶさ2」の予算がつかないという話を聞いたことがあるんですが、このへん何とかならないのでしょうか。日本では各探査機を同時に開発していますが、例えばヨーロッパでしたらエクスプレスシリーズ、マーズ・エクスプレス、ビーナス・エクスプレス、アメリカだったらマーズエクスプローラー、とシリーズ化していますが、そのようにして、何か衛星のコストを下げるような方法があるかと思うんですが、日本もせっかく「はやぶさ」で世界の注目を浴びているので、何とかこれにつながる「はやぶさ2」というのが国民の声をあげて実現できたらなと思うんですが。このへんどうなのでしょうか。
間宮:「はやぶさ」とか「かぐや」という技術は非常に進んだ技術なんですね。特に「かぐや」「はやぶさ」は世界がまさにびっくりしたような技術です。この技術的な先進性が保たれている今はなるべくこれを使ってどんどん成果を出していくというふうに考えているわけです。月も惑星も、先ほど言いましたように非常に難しい技術を要するわけですね。従っていわゆるシリーズ的にやっていかない限りはうまくいかない技術なんです。だからこれまでの宇宙科学というのは、科学者のいろんな自由な発想で、あれがしたい、これがしたいということでやってきているわけですけが、これからの宇宙開発というのは、先ほど言ったように目標をしっかり見定めて、その為に物事動いていくわけですから、シリーズ化というのはこれからのキーワードになるかと思っています。
阪本:「はやぶさ2」については、皆さん切望されているようで、よくリクエストを受けます。それから外国に行っても、次はどうなのか、次も頑張ってくれというふうによく言われます。「はやぶさ2」の状況については、私が把握しているところによると、打ち上げる乗り物を何とかしなければいけないということで、イタリアが名乗り上げているという状況で、今後検討をするというふうに聞いています。シリーズ化というのは非常に重要な観点だと思います。

<JAXAの予算について>
参加者:JAXAが今、非常に予算的に厳しいということなんですが、国民にわかってもらうということで、例えば国家予算に対してNASAの予算はどれぐらいなのでしょうか。日本の国家予算は、今、ずっと不況で厳しい状態にあるんですが、日本の現在の国家予算の中でJAXAが占めている割合というのはどんなものでしょうかとちょっと思います。あと、これはカール・セーガンが本に書いていた話ですが、軍事費と宇宙開発を比較して、たぶんイラク戦争につぎ込んだお金は、JAXAの10倍の予算を持っているNASA予算の数十年分ぐらい使っているのじゃないと思うんですが、例えばそういうのと比較して、決してJAXAは高いお金を使っているのではありませんということを、逆にアピールできるのではないでしょうか。宇宙開発に否定的な国民もいるかと思うんですが、決して他の国家予算とかに比べて無駄使いしているわけではない、厳しい中でやっているんですよと。例えば、イージス艦一隻でどれぐらいの宇宙科学研究ができるのかとか、グアムの移転にアメリカにやるお金があったらどれだけのことができるかとか、具体的な話に持っていくと国民の理解も得やすいのではないかと思ったりもします。
矢代広報部長:NASAの予算は日本が国家予算に占めるJAXAの予算よりも高い比率です。確かにアメリカの場合、アメリカの国家予算の中でのNASAの予算の比率とかが公になっています。今後そういうような形で、予算について伝えられるように整理をしていきたいと思います。

<「かぐや」搭載のハイビジョンカメラの映像について>
参加者:月のハイビジョン映像がなかなか流れないんですが、これも早く何とか流していただけるように話をしていただけたらと思います。スペシャル番組みたいな金をかけたものでなくていいので、静かな音楽と、名曲アルバムみたいなショートの番組で、何かハイビジョンの画像を流すようなことがすぐできると思うんです。せっかくそういう大きな成果を上げているので、そういうものをどんどん国民に流してもらいたいと思います。
矢代広報部長:JAXAのホームページのデジタルアーカイブスを見ていただいても、今はハイビジョンではダウンロードできない状況です。皆さま方のその映像の使い方が教育用とか研究用ということであれば、JAXAの方からブルーレイディスクのようなものに落して、ハイビジョンベースでお渡しできます。逆に商業的利用、例えば本をこれで出す場合やビデオにする場合などは、許可を取っていただいた上でお渡しできるということになります。学校でお使いになりたいということであれば、先ほどの資料の中などにある私どもの電話番号だとか、それからウェブ等から広報部にアクセスしていただきまして、手続きをしていただきますようお願いいたします。NHKにもタウンミーティングでこういう話が出ましたよということを含めてご連絡いたしますので、ご期待をしていただければと思います。

<H-IIBの射点について>
参加者:JAXAのホームページを見ていますと、H-IIAとH-IIBの比較のものがあって、H-IIBは幅が大きくなっていて、能力が2倍になったと書いています。打ち上げ場所はH-IIAとH-IIBとで違うのでしょうか。違う場合、それは何故かなと思いました。
矢代広報部長:今のH-IIAは液体酸素と液体水素を使い、液体エンジン(LE-7A)は1個なんです。その代わりにSRB-Aは4本装備することもあります。直径が4mでございます。それがH-IIBで5mに直径がなって、非常に性能の良い液体ロケットエンジン、LE-7Aエンジンが二つ付くということで、非常にパワーが上がります。その径が大きくなるといったことも含めて、それに対応して、H-IIAでもH-IIBでも対応できるような射点はないかと検討しています。新射点を作るということではないと思います。

<極超音速機について>
参加者:今後20年間の日本の宇宙開発の展望ということでお話を伺ったんですが、お話の最後のほうにあったスペースプレーンにちょっと関心持っているんですが。JAXAでは研究開発、実験等どんどん進めておられると思うんです。ここのところ飛行場から滑走して行って宇宙に行ってまた飛行場に帰ってくるというような、そういう新しいタイプのスペースプレーンの開発状況と、その見通しをちょっと教えていただければと思っています。
間宮:宇宙と航空というのは非常に似ていると言われています。今、我々が航空で考えているものは、太平洋を2時間で横断できる極超音速機というもので、研究しているわけです。その研究状況ですが、この間、秋田県の能代で初めての地上燃焼実験が行われるというので行ってきました。いわゆる離陸時の静止状態からマッハ5という状態まで、同じエンジンで行けるエンジンというのはまだないわけですね。各国とも苦労しているわけですが、このJAXAでやっているエンジンは、少なくとも地上燃焼に関しては成功したわけです。これはやはり世界的にも驚くべきことで、その後来た海外の調査団も非常に驚いているわけです。だからここの展開までは世界のトップを走っているということです。ただこれから道のりは長いわけで、我々としては20年後に、例えば10mぐらいの無人の極超音速実験機が世界の空のどこかで飛ぶというところまで行きたいというふうに思っているわけです。

<地球外天体にある物質と放射線の研究について>
参加者:地球以外のところにある小惑星とか月とかで、地球にはないどういった特殊な物質があるのかなと思います。例えば隕石の中にはイリジウムがたくさんあるという話は聞いたことがあるんですが、そういうことについて教えてもらいたいです。それから、放射線についての研究をしているということを教えてもらったんですが、その放射線ということについて、どういう研究をしているのでしょうか。
阪本:まず小天体に含まれている物質ということですが、今、お話しいただいたように、イリジウムとかそういうものがたくさんあります。我々がああいう小天体に何故興味を持っているのかというと、それは我々の地球を作った元の物質が何なのか、あるいは元の天体はどういうものだったのかということを理解したいからなのです。では地球自体を調べればいいんじゃないかと思われる方もいらっしゃるんですが、地球みたいに大きくなってしまうと、ドロドロに溶けて、重たい物が沈み込みます。重たい物というのは鉄とニッケルなんですが、その鉄と馴染みやすい親鉄元素、イリジウムなんかがそうなんですが、そういったものも、鉄に引きずられて沈んでいってしまいます。表面にはこの地殻を構成するような石ころ、ケイ素で出来たような軽いものが浮かんできます。ですから我々は、地球全体が何で出来ているかというのをちゃんと理解する為には割って中身をちゃんと取り出して見なければいけないんです。もちろんそういったことは、どういうふうに密度が分布しているかというのを調べることによって、ある程度中身はわかるんですね。一方で、宇宙にはすごく原始的な天体と、それからもう少しちょっと変成を経たような天体とかいろいろ種類があるわけですけれども、それぞれを調べることによって、地球というものが元々どこに、こういう天体の寄せ集めとして作られてきたものかということを理解したいというのが我々の願いです。ですから新種の物質というよりはむしろ、隕石なんかに含まれているそういう物質がどういう天体にどれだけ含まれているというのを探っていくというのが一つの我々の研究です。それから後、放射線のお話ですが、地球にいると大気が遮ってくれますので放射線を浴びることはありませんが、宇宙の環境において、例えば宇宙ステーションに行くと、放射線が降り注ぎます。また宇宙ステーションの壁に当たって発生する二次放射線を浴びます。そういったものが生命体にどういった反応を及ぼすか、それが短期的にどうなのか、長期間あるいは世代交代した後でどういう影響が見られるか、そういったことを、宇宙ステーションなどを使いながら調べるということです。

<民間衛星と宇宙飛行士の採用について>
参加者:今年、H-IIAロケットの空いたスペースに、民間の衛星、香川大学の「STARS」とか、大阪の「まいど1号」とかそういうのが載って実験すると思うんですが、うまく成功したとすれば、今後、どういう目標をもてば、民間衛星を宇宙で実験できるようになるのかということです。後、これは素朴な疑問なんですが、子供とかが宇宙飛行士になりたいと言った場合、今は募集はしていないですよね。今、宇宙飛行士になっている人は30代、40代、中年の方だと思うんですけれども、何かそういう予備生とかが、20代で今いいのかなと。今後子供たちが宇宙飛行士になりたいという場合、どういうプロセスを経て今の皆さんのような宇宙飛行士になれているのかなということをお伺いしたいです。
矢代広報部長:来年度打ち上げるGOSAT、先ほどの温室効果ガス観測衛星を上げる時に小型衛星を一緒に上げます。今JAXAの長期ビジョン含めて、できる限りこういう機会を作りたいと考えております。理事長はできれば年に1回飛ぶ機会があればというふうに申しておりますけれども、なかなかそのタイミングがないというのが事実でございまして、GOSATの次にはいつ上がるか予定はございません。ただ、いろいろな全国の大学だとか、民間企業とかチャレンジする企業を育てるという目標もございまして、そういう機会は今後もあるということを申しあげたいと思います。それから宇宙飛行士ですが、今年から、土井宇宙飛行士が飛び、星出宇宙飛行士が飛び、その次にまだ5人、6人といるんですが、彼らは飛んでいくと思います。宇宙ステーション計画は今後もNASAで2015年まで継続されると思います。その後、アメリカが火星に人を送るために、月をステップとした有人計画があります。日本はそのあたり、まだどうするかというのが決まってませんが、おそらく今の宇宙飛行士で終わりということはあり得ないと思いますので、あるタイミングで宇宙飛行士の募集があるのではないかと思います。一般的な募集の条件ですが、これまでは工学、理学研究者、あるいはお医者さんとか、理工系の人の募集枠でした。将来的にはもう少し広がるのではないかというふうな事を言っている方もいますが、僕はちょっと予測できません。では何歳ぐらいかというと、今までは、大学を卒業して実務経験5年とか27歳ぐらい。大学院に入っていても同じです。大体採用される方は20代後半から30代ぐらいが今までの状況です。私も若い頃、毛利さん、向井さん、土井さんたちを選抜した時の裏の事務方をやってまして、日本で初めて宇宙飛行士を募集するという仕事に携われて光栄だったのですが、多分今の若い方、特に小学生、中学生は、毛利さんが飛んだというのはもう知らないわけですね。ですから今年、土井さんと星出さん、若田さんが飛びますが、子供たちは夢を見て、将来なりたいと思ったら、募集の機会はあると思いますので待っていただきたいなと思います。

<GOSATの取り組みと宇宙観光について>
参加者:2点お伺いしたいことがあります。1点が、今もお話に上がりました「GOSAT」ですが、それを使って、実際、地球温暖化に対してどういう形で取り組みを計画されているかということです。もう1点が、この間ちょっと新聞とかニュースに出ていましたけれども、英国のヴァージングループで、宇宙観光とかが2千万から1千万になって、いずれは2百万になるという話で、結構、簡単にこういう有人宇宙観光ができるかどうかと聞きました。今までお聞きした宇宙の話ですと、有人飛行というのはなかなか難しそうに感じるんですけれども、いったい何が違うのでしょうか。
間宮:まず「GOSAT」、地球温暖化問題に宇宙がどの程度貢献できるかということですが、どこからどの程度、炭酸ガスが出ているのかということを観測しなければいけないということです。今度の「GOSAT」は、アジア大陸からどれぐらい炭酸ガスが出入りしているか、さらに先に行けば日本とか中国からどの程度出ているかというのが分かるんですね。そうすれば全体として炭酸ガスをどう管理するかという時に、中国はどうしなければいけない、日本はどうしなければいけないという議論ができるようになるということです。我々としては環境問題への取り組みとして、これからGCOMシリーズというのを上げていきます。このGCOMシリーズは雲とかエアロゾルの影響を見るわけですね。どういう分布をしていて、どういう動きをしているかということを見るんです。これは何に役に立つかと言いますと、今、何年後に何度上がるという議論がありますが、上がり方には幅があるわけですね。不確かな要素があるから、2度とか4度とか幅があります。この幅を縮めたいと皆思っているわけです。正確に何度と言いたい。それによって打つ対策が違ってくるわけです。その時、今一番わからないのは、雲とかエアロゾルとか、そういう水分系がどういうふうに寄与しているのかわからないということです。それを明確にするためにGCOMという衛星シリーズを上げていこうとしています。世界的に役割分担しながらそういうことを明らかにしていく。こういう方向で宇宙は貢献できるのではないかというふうに考えています。
ヴァージングループが考えているのは成層圏まで行って帰ってくるということですね。皆さんが宇宙に行きたいという時に、成層圏まで行って帰ってくるということで良ければ、それでいいわけですね。行った以上は地球一周したいとなってくると、これは全く違う話になってきて、1ケタか2ケタか跳ね上がってくるわけです。今、ロシアで行くと一人23億ですか。何をお望みかによってコストが変ってくるかなというふうに思っています。
矢代広報部長:温室効果ガスについて、現在、地上の観測地点は256点。非常にまばらで、陸地が多いですけれども、海洋は少ないし、全体的にも少ないです。GOSATでは、上空から5万6000点の観測地点を、条件が良ければ3日間で全部撮れるということです。この観測ポイントと密度を全地球的に短期間で撮れて、そこのところの炭酸ガス濃度が大体わかるということなので、3日毎に炭酸ガスの濃度の変動も含めた状況がかなり分かってくるのではないかと思っています。これだけ定期的に人工衛星で3日毎に撮れるようになったというのは画期的なことでして、海洋上に無い地点、北極、南極等で、炭酸ガス濃度が全球的に覆うような形で撮れる観測衛星ということで、研究者の方、それからこれを利用する方は世界中から期待しています。来年度の打ち上げが成功して衛星が機能を果たして観測でき、JAXAとして貢献、できるというふうに思っています。

<GOSATを活用する組織について>
参加者:GOSATのデータですが、世界的な規模で活用できるような組織とかネットワーク的なものが用意されているものなのでしょうか。
矢代広報部長:国内では環境省。それから、その他の機関も含めて、そういう利用・研究グループを、どんな形でJAXAとやりとりできるか、研究者同士は世界中にいるので、そういうつながりはできていると思います。そうでなくても、世界的にも利用できるデータだということです。

<日本の航空機開発と宇宙からの放射線物質の計測について>
参加者:さっきエンジンのお話があったんですが、普通のエンジンとの違いというのは何なんですか。それから今まで日本はあまり飛行機は作ってきてないし、あまり経験はないと思うんですが、今後の競争力とかはどうなっていますか。また、ガンマ線のカメラを宇宙に飛ばしてガンマ線バーストを調べようという研究があると思うんですが、それを地上に向けた場合に、原子炉からの放射線物質などを計測するということは可能なんでしょうか。
間宮:私の知識の範囲でお話ししますと、日本の航空機の実力ですが。これまで戦前はゼロ戦を持っていたわけですから、ある程度の飛行機は作れたし、戦後もYSという航空機を作っていましたから、作れる能力はあると思います。ただYS以降はアメリカの下請けの地位に甘んじていて、例えば翼を作るとか、部品を作ってきたということです。今現在、ボーイングの新しい飛行機の30~40%というのは日本から供給しているわけで、どんどん心臓部に迫っているわけですね。技術というのは覚悟を持ってやらないとできないんです。できる、できないということはやってみないとわからない。だけどやろうと思えばできるわけですね。日本のロケットも技術導入から始めたんですが、あの時に自分で作ろうと思ったから今があるわけです。リスクはいつもあるわけです。だけどそれを覚悟でやろうと思うとできるわけです。今、三菱重工がMRJという飛行機作ろうとしていて、もうすぐやるという宣言をすると期待しています。部品を作ってくれば、ある瞬間から全体ができると思うようになってくるんですね。その思いが浮かんできた時に、そこへ向かって一歩を踏み出さないとできない。今そういう状態なんです。能力的にはあっても、実際に作ってみて、売ってみてどうなるかということなので、これは三菱重工としても会社を上げてどうなるかという、すごい事業になるだろうと思っています。だけどそれを乗り越えないと今の、トヨタのようなことはあり得ないということですね。それで、極超音速機のエンジンと普通のエンジンの一番大きな違いは、日本の極超音速機というのは燃料は液体水素を使います。普通のいわゆるガソリン系ではないわけです。それとやっぱり超音速で飛びますから、エンジンのあたりがものすごく温度が高くなってくるわけですね。液体水素というのは非常に温度が低いですから、その液体水素をうまく回すことによってエンジンを冷やしながら飛ぶという構造です。
阪本:ガンマ線のお話ですが、ガンマ線バーストを観測する為に衛星を飛ばすのは、地球の大気によってガンマ線が吸収されるからです。逆に言うと、地球上のガンマ線源から出たガンマ線も地球の大気によって吸収されます。ですからそれを上空から見るというのは、あまり適した方法ではないと思います。

<青少年に対する宇宙教育活動について>
参加者:JAXAという大規模の組織ですが、四国にはどこもサテライトがございません。本当に今日のようなタウンミーティングで一斉に大人が集まっている程度で、低い年齢層までの呼びかけが非常に難しい状況なんです。そうしますと、将来的展望としては、やはり青少年に対する活動、特に宇宙活動というのは、先ほどの宇宙飛行士の話じゃございませんが、青少年に向かった発信、青少年教育活動が重要で、これはJAXAで取り組まれていると思います。特にここ数年、宇宙教育センターがJAXAにできまして、大変これが大きな推進力になっていまして、非常に私ども期待しております。その宇宙教育センターが宇宙少年団を支援し、あるいは四国各地にそういう宇宙教育センターの施策、あるいは宇宙少年団の支援といったものが普及すれば、この徳島にも以前には宇宙少年団がございましたが、今現在ございません。今あるのは四国では西条と高松でございます。そうしますと是非今日のようなイベントをして欲しい、あるいは青少年に対する宇宙教育をますます推進していただきたい。そういう数年後の構想があれば、お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
間宮:どうもありがとうございました。力強いご支援の声だと思っております。おっしゃる通りで、やはり宇宙は青少年のものであるというふうに我々は思っております。青少年に夢を持ってもらって、その夢に向かって努力してもらうためには、宇宙は非常にいい分野であるというふうに思っておりまして、宇宙教育センターを立ち上げたのもそういう思いからでございます。宇宙教育センターですが、非常に人気がありまして、引く手あまたでなかなか人数的にも立ち行かなくなってきているかなということで、これについては宇宙少年団と連携を取りながら、もっと規模を大きくしていきたいと思っております。今度四月からJAXAは第二期の中期計画に入ります。今、新しい中期計画を作っているところですが、その中でも宇宙教育のところは力を込めて書いておりますので、中期計画ができましたらご覧いただければと思うんですが。やはり目標を持ちながら、各地域と連携を作るとかですね、地域教育を作るとかということを書いてございますので、これから5年かけて実施していきたいというふうに思っておりますので、是非各地におかれまして、ご支援をお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。