JAXAタウンミーティング

「第20回JAXAタウンミーティング」 in 那覇(平成19年11月18日開催)
会場で出された意見について



第三部「わが国の航空機開発への挑戦」で出された意見



<小型超音速機実験について>
参加者:オーストラリアでのロケット実験機の飛行実験は、最初に失敗してその1年半後に成功したとこのパンフレットに載っています。この最初の実験の失敗というのは、確か、マスコミの報道では、ロケットが発射した後、わずか0.2秒後に破損して、実験機が脱落して落っこちて実験できなかったと報道がありました。最初、材質がどうこうという報道があって、その後ニュースとかホームページをいろいろ見ていたんですが、最終的にこの原因が何であったのかというのは報道されていません。
もう一つ、日本の技術はすごいぞというのはよくわかるんですけれども、航空機を仮に日本で自主開発した時に、いわゆる型式証明とか耐空証明の為には日本の当局に申し出るだけではダメで、アメリカの耐空証明が出ると自動的に日本の耐空証明が得られるということが、確か昔の航空機の技術雑誌に載っていました。そのへんの事情というのは今だにそうなんでしょうか。
坂田:失敗のことについて、詳しく申し上げたいと思いますが、ボルトの破損が原因です。初めから仕組んであったのは、フライト70秒後ぐらい、ロケットの燃焼が終わり、姿勢がしっかりした後に、ボルトにそういう破断信号を発します。この信号の中に全体の電気系統がおかしくなった時には破断をして捨てるというのがありました。しかし電気信号がおかしくなった時のその部分が最初に落っこちてしまいました。どうして起こったかというと、これは失敗の多くのものがそうであると思いますけれども、例えば振動によってショートをしやすい部分があり、そのショートがコンピューターに異常信号を発生した。その異常信号が破断信号を送ったということです。そのショートを起こさせたのは、その回路設計と回路のハードウェアの置き方に問題がありました。また、誤作動で早期に破断が起こらないように、50秒以上、即ちロケットが燃焼している間は破断信号が行かないという対策もして、技術的にはクリアになりました。さらに起こった原因としては、ある種のシステム設計をする際の品質管理に問題があったと考えまして、メーカー側にも協力いただいて、システムを作る際に、情報を審査するとか情報の統合を図るとか、そういうことを中心に改良しました。
それからもう一つTC(型式証明)の問題は、型式証明と耐空証明と二つあってちょっと混同しますが、耐空証明とは飛行機が飛んでいる際に2年に一度ぐらいチェックをして次の2年間飛んでも良いという評価を出すのが耐空証明。型式証明はこの飛行機を作ってもよろしいというのが型式証明です。日本は今までは、飛行機を作ってこなかったということが一番大きいんですけれども、それを発動する場面が少なかったんです。従って輸入している飛行機をチェックしたり、輸入する飛行機について耐空証明を与えることは良かったんで、輸入元であるアメリカのFAA(連邦航空局)の基準をそのまま採用すれば、事足れりが多かったわけです。今度新しい飛行機を作ろうとすると、革命が起こります。即ち新しい技術を採用するならば、その技術は日本の技術基準をもって判断しなければなりません。

<70~90人乗りクラスの国産旅客機の意義について>
参加者:100人クラスの飛行機というのはボーイング737というものが既にあります。またANAとかJALなど航空会社と、開発段階からいろいろ設計の上で関わっています。そういう既に世界で他の外国の企業が独占している中で、そこに国産旅客機が入って行くというのは非常に難しいことだと思うので、ボーイング737とかの飛行機とどのように違いを見せていくのかを具体的にお願いします。
坂田:正確に言いますと、日本の国産旅客機は90人から70人乗りです。相手はボンバルディアとエンブラエルです。ボーイングとは直接競合しません。それから現在は、セグメンテーションと呼ばれていて、10人、20人違っていても、全く違う飛行機なんです。それぐらいそれぞれの乗客数に合って最適化した設計をしています。だからボーイングと、我々がこれからやろうとしている70人の設計はだいぶ違うんです。第2点は、そうであっても、商品として、安くて、使いやすくて、性能を良くします。空港にはそれぞれ環境基準があって、騒音とか排ガスが良くないと入れませんので、そこに入って行くためには環境に良いことが必要です。騒音基準や排ガス基準はどんどんどんどんきつくなります。どんどんきつくなっても、使い続けられるのは、現在の基準よりもはるかに良い環境性能を持っていることが必要です。さらに整備が簡単なことも重要です。もう一つ大事なのはある種のブランドです。日本の品質というブランドはやっぱり生きているんです。製品の品質はやはり日本という名前は効果的なんですね。それが今、少し使えているように思います。航空会社とは具体的には始まっていません。ボーイング787は、ボーイングと、Working TogetherやWorking Pairという言い方をするんですけれども、開発の段階から航空会社と一緒にやっています。これは椅子の配置だけの問題ではなくて、まさに基本構造、何人乗りが良いとか、エンジンがどんなのがいいかとか、そういう基本的なものから航空会社の要望を聞いています。我々もそれをやるべきだと思っていますが、現時点ではそういう契約でやっているわけではありません。正式に開発がGoになってからだと思います。

<YS-11について>
参加者:YS-11についてお伺いしたいんですが、ほぼ100%純国産と考えてよろしいでしょうか。
坂田:残念ながらエンジンが違います。他のものはほとんど国産でございます。

<旅客機の名称について>
参加者:飛行機の名前とかはどこでどうやって決めるんですか。
坂田:一番難しい質問ですが、ものすごくいろんな決め方があると思います。ボーイングはBなんですね。それからエアバスはもう簡単です。BよりAが先であるし、エアバスのAです。日本はどうかと言いますと、実はYというのは試験機の意味を持っているんですね。Xが実験機でYが試験機です。この次、MRJという名前を付けました。これは三菱の社長さんが付けました。「三菱リージョナルジェット」と言います。Rはリージョナル、Jはジェットです。カナダの飛行機はCJと言う名前がこれはカナディアン・ジェットですね。エンブラエルというブラジルの会社はEMで、最初はブラジリアというBをつけたんですけれども、Bは混同するからEMと付けました。