JAXAタウンミーティング

「第8回JAXAタウンミーティング」 in 堺(平成18年10月14日開催)
会場で出された意見について


<ISS(国際宇宙ステーション)の今後について>
参加者:アメリカはシャトルを退役させて、月を目指すと聞いていますが、ISSへの関心が薄れているという気がします。そうした中でISS計画に参加している気持ちを聞かせてほしいのですが。

土井:アメリカは、日本のJAXAとちがってやはり規模が10倍ぐらい大きいんです。そういう意味で、彼らは宇宙ステーションをやりながら、月へも行くという、2つの仕事をすることができる。そういう力をもっています。それは本当に素晴らしいことだと私は感じています。

<シャトル退役後の日本の有人宇宙活動について>
参加者:シャトルが退役して、「オリオン」が主力になったとき、日本の宇宙飛行士はそれに乗ることになるのでしょうか。

間宮:今の日本の計画では、アメリカの月・火星開発に参加するかはまだ決まっていませんが、宇宙ステーション計画で参加しているので、月でこれからいろんな活動が行われるときは、日本も参加していきたいと考えています。

<国際間の競争・協調について>
参加者:有人ロケットについては、日本独自で開発するとあまりにも費用がかかるので、国際協力が必要だと思っています。ただ、他の惑星や小惑星等、いろんな天体を探査するシステムは、日本独自の技術を使ったものを開発してもいいと思います。

土井:スペース・シップ・ワンのように、それほどお金をかけなくてもできる機体もあります。どういうロケットを作るかによって、一緒に開発するか、競争してやるかが決まってくると思いますし、多くの皆さんの意見を聞く必要があると思います。

<きぼうを使った教育について>
参加者:「きぼう」がドッキングした後、日本人が長期滞在する6か月間、有人宇宙活動から学校教育、教育現場にどんな貢献ができるのかということをお聞きしたいです。音声とか映像とかを使ったら、宇宙に行かなくてもその宇宙の興奮を宇宙に行った人から、しかもリアルタイムで味わえるのは迫真性があり、fidelity(=描写の正確性)の高い教育ができると思います。

土井:子どもたちが興奮するのはやはり本物に触れることだと思います。そういう意味で、宇宙はやはり日常生活の中でなかなか入り込めないところがあるので、JAXAとしていかにしてそういう宇宙の興奮を皆さん方、学校の現場、生徒の皆さんに伝えることができるのかを真剣に考えていかなければならないと思います。

<中高等教育における科学教育について>
参加者:小中学生を対象とした、科学の面白さを伝えるプログラムやイベントは充実していますが、その後、高校以降の教育につながっていくような部分がないような気がします。高校以降についても、学習していることが、宇宙とか面白い話につながっているという点を教えるようなプログラムが提供されれば、日本の科学教育にとってもとても良いんじゃないかと思います。

土井:JAXAでは毎年夏に合宿形式で、数日間、筑波宇宙センターなどに来て、宇宙服を着て体験するといったこともやっているので、そういうのがもう少し全国規模で広がっていけば、宇宙に対して興味を失わず、中学生が高校生になって大学に行く感じがします。これはJAXAの宇宙教育センターの方にしっかり頑張るように伝えておきます。

<ISSの利用について>
参加者:たとえば日本上空を通るISSからリアルタイムで情報を降ろしてもらうという試みをぜひ考えていただきたい。もちろん夜か明け方かしか見れないので時間的に難しいと思いますが、インパクトのあるものになるようお願いしたいと思います。

土井:国際宇宙ステーションに日本のモジュールが付くと、日本人宇宙飛行士がほぼ常時宇宙にいることになります。できる限り宇宙ステーションを皆さんに使ってもらう、そういう計画でいま、JAXAはいろいろ計画を練っています。ですから皆さん方も、ユニークでやってほしいことがあれば、こんなふうに国際宇宙ステーションを利用したいというアイデアをJAXAまで寄せて頂きたいと思います。

<タウンミーティングの年齢制限について>
参加者:タウンミーティングの参加要件を18歳以上にしているのは何か理由があるのでしょうか。高校生にもこのような機会を提供して頂きたいと思います。

矢代広報部長:タウンミーティングについては、宇宙事業に対して、特に納税者の方から、どのような思いをされているのか、将来、宇宙事業はどういう方向に行くべきなのか、といった大人の意見を聞きたい、ということで最初にスタートしています。高校生の参加については、今後のタウンミーティングのあり方を検討する中で、課題として状況を見て行きたいと思います。
 (*平成19年度より、高校生以上が参加者の対象になりました。)

<日本独自の有人ロケットについて>
参加者:どうも世の中というのはいつも費用対効果ということを、特にそういう金銭的な物差しで考え過ぎていると思います。有人飛行を、有人のロケットを上げるといった夢と希望を与えていただきたい。ぜひそういう雰囲気でやっていただきたいと、私は思います。

間宮:われわれもそのつもりでやっています。ただ有人となると当然非常に巨額なお金も必要になってくるわけで、その辺については、まず10年間準備をして、日本が有人をやるとしたらこういう形でやりたいという提案をつくって政府に問いかける、あるいは国民に問いかけると。それでやっていいということになれば、やりたいと思っています。

<JAXAのブランドイメージについて>
参加者:日本の若者が見るJAXAとアメリカの子どもが見るNASAのイメージはどう違うのでしょうか。自分はJAXAをかっこいいととらえています。また、報道では宇宙関係のニュース時に「宇宙機構」と訳されることが多いですが、JAXAでは航空のこともやってますので、報道機関にJAXAを省略するように言う理由はあるのでしょうか。

土井:NASAは夢があるというので、すごく人気があります。日本の子ども達にもJAXAをかっこいいと思わせるような組織にしたいと思っています。

矢代:「宇宙航空研究開発機構」という表現を覚えていただくのは重要ですけど、それと同時に「JAXA」という言葉も広めたいと思っていて、いろいろな策というか、検討をしております。