赤外線天文衛星「あかり」の観測データにもとづく「大マゼラン雲」の天体カタログを公開

2013年3月11日(月)

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2006年から2011年にかけて運用を行った赤外線天文衛星「あかり」の観測データから作成した「大マゼラン雲」と呼ばれる銀河の赤外線天体カタログとスペクトルカタログを公開しました。


「あかり」による星が生まれている場所の赤外線観測画像

生まれたばかりの星がどのように一人前の星に進化していくのか知る手がかりになる

このカタログには5つの異なる赤外線の波長で捉えた66万個以上の天体の位置や明るさが掲載されており、そのうちの1,757個には赤外線の光の成分(スペクトル)についてもまとめられています。
これらは大マゼラン雲中の天体を正確に分類し、生まれたばかりの星や、進化した星の研究を大きく推進させる重要なデータとなります。
赤外線天文衛星「あかり」は2011年に運用を終了していますが、観測データを元にした研究は現在も続けられています。

「大マゼラン雲」ってなあに?

大マゼラン雲は私たちの銀河系の伴銀河で、太陽系からおよそ16万光年という距離に位置する比較的近くの銀河です。
太陽系からこの銀河の様子を真上から眺めることができるので、一つの銀河の中で星がどのように誕生して進化していくのかを観測しやすく盛んに研究されています。
小柴昌俊博士が1987年にこの銀河に出現した超新星からニュートリノを検出したことがノーベル賞受賞のきっかけになったことでも有名です。

さらに詳しく知りたい方はコチラ

赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)

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